《斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】》26.悪役令嬢は仮面舞踏會に出席する
回想を終え、目の前の現実を見る。
侍に髪を梳かれたヘレンは、いつも以上に輝いて見えた。
「本來なら単なる視察で終わっていたはずなのだけれど」
クラウディアにとっては勉強の一環だった。
思わぬ方向に話が進んで驚くばかりだ。
ヘレンが神妙に頷く。
「ブライアン様の観察眼には驚かされました」
「わたくしたちだけだったら見逃していたわね」
戦時下における資――兵站の重要は知っていた。
そしてその兵站を賄うには商人が必要不可欠だということも。
知識としてはあったけれど、実際にどういったきが生じるかまではわかっていなかった。
「経験不足を嘆くばかりだわ」
自分の至らなさに視線が下がると、橫からヘレンの手がびてくる。
「クラウディア様は自分とは違う視野を得るために、ブライアン様やレステーア様を同行させたのでしょう? 何も間違ってはおられません」
ぎゅっと手が握られ溫もりが伝わってくる。
どんなときでも自分を勇気付けてくれるヘレンの存在に、心が満たされていく。
「そのための視察であると理解しています」
「ありがとう、ヘレンの言う通りだわ」
逆行して歳を重ねていても、新たな學びを得ていても、自分には偏った経験しかない。
文字だけの知識では見落としてしまうことがあるのをクラウディアは痛させられた。
(シルが公務で各地を視察するのも、このためなのね)
現場での人のきを知ることが肝心なのだ。
「改めて商人の凄さを目の當たりにしたわ」
俯瞰的に事をとらえていると言ったレステーアの言葉に納得する。
いつ、どこに商機があるのか。
それを分析するための報や経験を彼らは貪に積み重ね、一般人にはわからないものの流れを正確に摑んでいた。
「問題は辺境伯がハーランド王國の外を信じているのか、ニアミリア様が婚約者になるのを信じているかね」
「前者であると願っています」
後者であれば、リンジー公爵家をはじめ婚約者候補を出している家との軋轢は免れない。
どちらにせよ楽観しているが拭えないものの、サスリール辺境伯には確証があるのかもしれなかった。
この場合、確証があったほうが問題だ。
商人ギルドの支部同様、サスリール辺境伯は王家への報告を怠っていることになる。
「仮面舞踏會で明らかにできるでしょうか」
「支部長補佐が本部への示しとしてブライアンを招待したのなら、何かしら報は得られるはずよ」
クラウディアたちが気付かなくとも、ブライアンが見逃さないだろう。何にせよ辺境伯家の仮面舞踏會で報を集めなければ。
準備が整い、クラウディアとヘレンは二人揃って椅子から立ち上がる。
ヘレンのドレス姿を見たクラウディアは、満面の笑みを浮かべずにはいられなかった。
サスリール辺境伯は砦と城壁に囲まれた石造りの無骨な城に居を構え、砦の一部を仮面舞踏會の會場として開放していた。
想像に反したひっそりとした佇まいに、クラウディアはヘレンと顔を見合わせる。
外から賑やかさは窺えず、付に人が立っていなければ場所を間違えたのかと心配になるくらいだ。招待狀を付に渡しながら、ブライアンがこっそり訊ねてくる。
「もっときらびやかなじを想像してたんですけど、仮面舞踏會ってどこもこんなじなんですかね?」
「主催者によると思うわ。砦でパーティーをおこなうこと自が稀ですもの」
クラウディアが軍事施設を訪れるのはこれがはじめてだった。
レステーアは隣で溜息をつく。
「部外者に砦の造りを公開してどうするんですか」
ごもっともである。
招待客はハーランド王國の貴族に限らないのだ。
「公開しても差し支えないということでしょう。この一畫だけ造りが違うのかもしれないわ」
「だとしても意識が緩んでいるのは否めません」
何かあればすぐに騎士たちが殺到する立地ではある。
だが、かえってそれが慢心を呼んでいるとレステーアはを歪ませた。
「ぼくたちがきやすいということは、別の誰かにとっても同じだということです」
「あえて招待客を泳がせているとは考えられないかしら?」
「否定はしません。けど、どうでしょうね」
決してぼくから離れないでください、と念を押される。
辺境伯への信頼は皆無のようだった。
(商人ギルドを介しているのを考えれば危険はなさそうだけれど)
仮面舞踏會は、本部への示しとしてブライアンが招待されたものだ。
ただ何が潛んでいるかわからないという點では、クラウディアもレステーアに同意した。
會場である砦へ続く廊下を四人で歩く。
ローズガーデンの拠點と似た空気をじるのは窓がないからだろうか。
照明として焚かれているかがり火がゆらゆらと影を落とし、著飾った男を會場へとった。
木製の扉を越えた先。
よく晴れた日にカーテンを開けたような眩しさをじる。
「わぁ」
驚きに聲を上げたのはブライアンだ。
道中の靜けさが噓のように會場では至るところでが反し、優雅なピアノの演奏が空間を彩っていた。
仮面を著けた招待客はグラスを片手に談笑する慌ただしさとは無縁の風には、大人の社場という響きがよく似合う。実際、招待客がクラウディアたちより世代が上なのも要因だろう。
品の良い調度品の數々が、ここが砦であることを忘れさせた。
悪役令嬢の中の人【書籍化・コミカライズ】
乙女ゲームの好きな平凡な少女、小林恵美は目を覚ますと乙女ゲームアプリ「星の乙女と救世の騎士」の悪役令嬢レミリアになっていた。世界の滅亡と自身の破滅を回避するために恵美は奔走する! ……その努力も虛しく、同じく転生者であるヒロインの「星の乙女」に陥れられた恵美は婚約破棄された上で星の乙女の命を狙ったと斷罪された。そのショックで意識を失った恵美の代わりに、中から見守っていた「レミリア」が目を覚まし、可愛い「エミ」を傷付けた星の乙女と元婚約者の王子達に復讐を行う。 主人公は「レミリア」です。 本編は完結してますが番外編だけ時々更新してます。 おかげさまで一迅社から書籍化されました! コミカライズはpixivのcomic poolさんにて11/19から始まります! ※ガールズラブタグは「人によってはガールズラブ要素を感じる」程度の描寫です
8 187【書籍化】男性不信の元令嬢は、好色殿下を助けることにした。(本編完結・番外編更新中)
「クレア・ラディシュ! 貴様のような魔法一つ満足に使えないような無能は、王子たる私の婚約者として相応しくない!」 王立學園の謝恩パーティで、突然始まった、オリバー王子による斷罪劇。 クレアは、扇をパタンと閉じると、オリバーに向かって三本の指を突き出した。 「オリバー様。これが何だかお分かりになりますか?」 「突然なんだ! 指が三本、だろう? それがどうした」 「これは、今までラディツ辺境伯家から王家に対して婚約解消を申し入れた回數ですわ」 「なっ!」 最後に真実をぶちまけて退出しようとするクレア。 しかし、亂暴に腕を摑まれ、魔力が暴走。 気を失ったクレアが目を覚ますと、そこは牢獄であった。 しかも、自分が忌み嫌われる魔女であることが発覚し……。 ――これは、理不盡な婚約破棄→投獄という、どん底スタートした令嬢が、紆余曲折ありつつも、結果的にざまぁしたり、幸せになる話である。 ※本編完結済み、番外編を更新中。 ※書籍化企畫進行中。漫畫化します。
8 136スカイリア〜七つの迷宮と記憶を巡る旅〜
空に浮かぶ世界《スカイフォール》に暮らす少年ナトリは生まれながらに「飛ぶ」ことができないという致命的な欠陥を抱えていた。 王都で配達をこなす変わり映えのしない日常から、ある事件をきっかけに知り合った記憶喪失の少女と共に、少年は彼女の家族を探し出す旅に出る。 偶然に手にしたどんなものでも貫く特別な杖をきっかけに、彼は少女と自らをのみ込まんとする抗いようのない運命への叛逆を決意する。 やがて彼等の道行きは、世界に散らばる七つの迷宮に巣食う《影の軍勢》との世界の存亡を懸けた熾烈な戦いへと拡大していくのであった。 チートあり魔法ありダンジョンありたまにグロありの王道冒険ファンタジー、の予定です。 ※三部構成第一部完結済み
8 183天下界の無信仰者(イレギュラー)
三體の神が神理(しんり)と呼ばれる法則を作り出した世界、天下界(てんげかい)。そこで人々は三つの神理のいずれかを信仰していた。 そんな神が支配する天下界で、唯一の無信仰者である神愛(かみあ)は生きていた。友達もおらず家族にも見捨てられた神愛。 しかしそんな彼へ少女ミルフィアが現れた。輪廻する運命によって二人は出會い新たな戦いが始まる。 これは新たな神話。 神の秩序を揺るがすイレギュラー、ここに開幕! 神律學園編 入學生としてやってきた無信仰者の宮司神愛。しかしそこは信仰者ばかりの學園だった。クラスメイトからの冷たい対応に孤立する神愛。そんな神愛には唯一の味方であるミルフィアがおり彼女だけが心の支えだった。しかし彼女は奴隷であろうと頑なに譲らない。彼女と友達になろうと神愛は行動するがそれには信仰者である恵瑠や天和、加豪の協力が必要だった。果たして神愛はミルフィアと友達になれるのか? そしてミルフィアの正體とは一體なんなのか? 神律學園編ではキャラクター関係や世界観、設定などを明かしていきます。 慈愛連立編 突然神律學園が襲撃を受ける。それは恵瑠を狙ったゴルゴダ共和國の正規軍だった。なぜ恵瑠が狙われるのか。そして恵瑠に隠された真実とは? 神愛は友を守るために戦う。そこには二千年前から続く天羽(てんは)の悲願と六十年前ある約束をした一人の男の思いがあった。慈愛連立編ではサブヒロインである恵瑠にスポットを當て物語が展開していきます。また作品の歴史を掘り下げキャラクターや物語に厚みを持たせていきます。 またコメントやいいねもぜひぜひお願いします。作者のモチベーションにも繋がりますし數が多いと見栄えがよくなり他の読者にも見てもらえるようになります。「コメントを書くのはちょっとな〜」ていう人はいいねだけでもいいのでぜひ押していってください。
8 102転生したはいいけど生き返ったら液狀ヤマタノオロチとはどういうことだ!?
いじめられ……虐げられ……そんな人生に飽きていた主人公…しかしそんな彼の人生を変えたのは一つの雷だった!? 面倒くさがりの主人公が作る異世界転生ファンタジー!
8 184現代転生で運極振りするとこうなります
人生を不幸に過ごしてきた新嶋二葉《にいじまふたば》は神様により幸運な人生をリスタートする。
8 173