《獻遊戯 ~エリートな彼とTLちっくな人ごっこ~》「俺と付き合ってくれる?」2
午後、八時。
私と清澄くんはホテルにいた。
でもいつもの別ラブホテルではなく、今夜は高級なレストランでのディナー。
予約してくれていたらしく、私は知らなくててっきり居酒屋かラブホテルだと思っていた。
「す、すごく高級そうなところ……大丈夫かな……」
持ち合わせが多くないため不安を口にしたが、はなから私にお金を出させる気のなさそうな清澄くんは私のちっぽけな質問には答えなかった。
ここまで素敵な場所に連れてこられると、逆に心配になる。
まさかお別れのディナー?
店員に注がれたシャンパンで乾杯をすると、清澄くんはネクタイを整えて私に向き直った。
「まずは莉、今日はありがとう。……あとごめん」
「……え、あ。ううん」
「莉のおかげで本當に助かった。一応、ヨツバにもよつば商事にも改めて謝罪をすることになるけど、封が開けられなかったことで報の流出は免れた。……で、安心してつい抱きしめちゃって」
がふわっと溫かくなる。
彼が赤くなったからか、シャンパンの酔いがもう回ったのか。
皆の前で抱きしめられたときの気持ちを思い出し、「うん」とうなずくだけで一杯だった。
「大丈夫だった?  西野さんとかに責められなかった?」
私は首を橫に振る。
責められたけど、全然気にならなかった。
「よかった。俺があんなことして帰ったから、莉のことが心配だった」
……でも、つい抱きしめただけで、他意はないって言い方に聞こえる。
やっぱり人には思われていないのかな。
それも含めて、今日話してくれると言っていたけど。
期待と不安がりじって、さっきからずっと心臓が痛い。
前菜のお皿が運ばれてくる。
ひと通り説明をけ、フォークでしずつ味わった。
彼が切り出すのを待てず、私は「あの」と先に尋ねる。
「清澄くん。異して海外に行くって本當……?」
彼の手が止まり、料理から私へと目を移す。
「え。うん。ニューヨークに行く。誰に聞いた?」
あ……やっぱり本當なんだ。
こんなに味しいフレンチですら味がしなくなるほどショックをけた。
覚悟していたけど、こうして聞かされるとつらい。
今夜はやはり別れのディナーか、よくても遠距離の打診をされるかだ。
どちらにせよ、清澄くんが離れてしまうのだ。
「異の挨拶に來てたって噂になってたよ。……私、全然知らなかった」
「そうだったのか。ごめん……今日それを言うつもりだったんだ。異が決まったから、莉とのことをちゃんとしたくて」
ちゃんとするって、切るってこと……?
「莉。俺と付き合ってくれる?」
「……え」
フラれる覚悟をしてうつむいていたのに、思わず顔を上げた。
対峙した清澄くんは真剣な面持ちで、まっすぐ私を見つめている。
どうやら私たちは付き合ってはいなかったらしい。
でも異するのに、これから付き合おうとするの?
どういうこと……?
「取引先の擔當が彼だと知られたら、銀行は癒著を防ぐために俺をヨツバから外してた。莉が攻められるのも嫌だし、今まで人になれなかったけど。俺はもう、ヨツバの擔當じゃなくなるから」
「……そう、だったんだ」
「嫌?」
「……そんなわけないっ……」
安堵しすぎて、涙が溢れてきた。
ずっと悩んでいた。
この関係はなんなのかわからなったけど、清澄くんは私のためを思って彼氏になれなかったんだ。
「莉……泣かないで」
「私、清澄くんの彼になりたい。アメリカに行っちゃっても、ずっと待ってる。毎日連絡する。遠距離でも、私、ずっと清澄くんを想ってるよ」
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