《ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら that had occurred during the 172 years》第3章 1983年 プラス20 – 始まりから20年後 〜 5 過去と未來(8)
5 過去と未來(8)
智子はきっとアルバムを見て、真偽の行方を確かめようとしたのだろう。そして剛志の顔をじっくり眺め、そうだと知ってショックをけた。
――でも、あれはいったいなんだったんだ?
そんな疑問を思うまま、彼は右手を己の額に持っていった。
するとあまりに呆気なく、忘れ去っていた凹凸をその手にじる。
――ああ、そうだったのか……。
あっという間に、脳裏に記憶が蘇ってきた。
彼にとっては、つい五、六年前の出來事だ。ところが剛志にしてみれば、さらに二十年という歳月がある。見た目にはほとんどわからないし、最近では意識さえしたこともない。それでもれれば僅かだが、の盛り上がりを知ることができた。
小學三年生の春だったか秋だったか、長袖を著ていたので夏ではなかったと思う。
智子と再會したあの事件こそ、ある意味すべての始まりだった。
さっき改めて剛志を見つめて、きっと似ているくらいのことはじたろう。さらに傷痕を知って初めて、目の前の中年が剛志であると確信したはずだ。
そして明日の朝、智子の態度がどうなるか、それに合わせて剛志が対応するしかない。
そう考えて、彼は再び眠ろうとするが、今度はいつも以上に寢付けなかった。
「結婚は、してるの?」
「いや、してない。未だ、獨……」
「三十六歳なんでしょ? その歳で結婚してないなんて変じゃない……あ、もしかして、離婚したの?」
「離婚? 離婚なんかしてないよ……結婚も、離婚もしてない……」
はっきり言って寢ぼけていた。
だからこの後もいろいろと聞かれたが、うまい合に答えられたか自信がない。
やっとのことで眠りについて、二時間くらいが経った頃か……、
「ねえ、起きてください!」
そんな聲が響いて、剛志は慌てて飛び起きたのだ。
すると目の前に智子が立って、いきなり結婚してるかなどと聞いてくる。そして剛志同様、きっと彼も寢ていないのだ。赤い目をした智子は「起きろ」と言って、睨みつけるような目を剛志に向けた。
そうしてさんざん質問をけてから、剛志は顔を洗ってコーヒーを淹れた。智子をソファーに座らせて、頭で必死に考えながらおおよそ真実を告白する。
どうして剛志であると隠したか? あの庭に居合わせた経緯は何か? など、智子の両親について以外は本當のことを話していった。
その間、智子はずっと不機嫌だ。相槌どころか剛志と視線も合わさない。
ところがだった。あの事件の核心について話し出した途端、智子の顔が一気に変わった。と一緒にそれまでの厳しい態度もが引くように消え失せる。
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