《【書籍化決定】公衆の面前で婚約破棄された、無想な行き遅れお局令嬢は、実務能力を買われて冷徹宰相様のお飾り妻になります。~契約結婚に不満はございません。~》大昔の話です。
「來たか」
現帝陛下は、イースティリアを見てニヤリと片頬を上げた。
前に上がる旨を伝えるとすぐに返事あって通されたことから、どうやら來るのを予測していたようだ。
その赤い瞳にどこか楽しそうなが浮かんでいるのを見ながら、イースティリアは決まりに則って頭を下げる。
王族の赤い瞳は紅玉の瞳と呼ばれ、火の魔に優れた者の瞳とはまた別の合いを持つ、特別なものである。
ーーー第四代バルザム帝國帝王、セダック・バルザム。
レイダック同様、王族の資格とされる淺黒いに紅玉の瞳を備え、未だ黒々とした髪と若々しい……どちらかと言えば顔の……容姿を持つ、どこか茶目っ気のある人だ。
しかし、外見や態度に騙されてはならない。
先々代帝王の恨から、今代の治世で発した北との戦を、ロンダリィズ伯爵家と先代帝國軍総帥、隣國の公爵家と共に和解まで導いた辣腕の政治家である。
帝位を継いだ後、北の戦以外は一度も出兵することなく全てを外によって解決し、その余力を政に還元することで、臣民の生活向上に注力し続ける賢帝でもあり。
同時に、年上の妻をこの上なく大切にしている妻家としても有名だった。
非常に食えない人である。
「書簡の件で、前に參じました」
「だろうと思った。愚息もおるな、丁度いい」
陛下が橫に立つ執政に頷きかけると、彼は一禮して退出した。
「さて、何が聞きたい?」
「あの書簡を、王太子殿下を通じて屆けたご意向をお伺いしたく」
「理由に関しては気づいておるのではないのか?」
「王太子殿下の耳にもれておきたい、という點については、心に相違ないかと愚考致しますが」
それ以上の理由が何かあるのでは、とイースティリアは考えていた。
暗殺計畫そのものよりも、あの書簡自に何か意味があるのでは、と。
すると、そうした考えを読んだかのように、陛下は満足そうに頷いた。
「うむ、それでこそイースティリア。わざわざ書面にする手間(・・・・・・・)をかけて貰った意味があろうというものよ」
ーーーわざわざ?
陛下の言葉に、イースティリアは目を細める。
あの書簡は、王都から離れた地に住む子爵から屆いたものだ。
魔導士の使い魔や竜騎士に屆けさせたとしても、往復で數日、地を駆けるのであれば一週間は掛かる距離である。
遠く離れた地に住む者と、書簡以外で迅速に連絡を取る手段はそうない。
風の伝達魔を使ったとしても、直接聲は屆かず、間の地に住む魔導士達を介した伝言ゲームになるだろう。
暗殺計畫のような機を伝えるには、それを知る人數が増える々雑な方法、と考えると。
「かの子爵は、王家に伝わる古代のを行使可能な人でしょうか?」
「どういうことだ?」
イースティリアが出した結論に、レイダックは首を傾げ、陛下は笑みを大きくする。
「いつもながら、大した察力であるな!」
「……楽しんでおられるところ誠に申し訳ないのですが、結論を簡潔に賜われますれば幸いです」
「そう怒るな。そなたの賢さを見るのは、余の楽しみである故にな」
こちらが気分を害しても一向に応えない様子は、レイダックにそっくりだ。
「父上。二人で分かり合ってないで、バカな俺でも分かるようにご説明願いたいんですが?」
「今から話す。全く、イースティリアが我が息子であれば良かったものを」
やれやれ、とこれ見よがしにため息を吐く陛下に、レイダックが青筋を浮かべて笑みを引き攣らせる。
「恐れながら、陛下? こんな堅が帝位に就いたら息苦しさでこの世の終わりが來ますよ?」
「どういう意味だ」
「まぁ、その辺りは結婚してらかくなれば申し分なかろう?」
「相手がアレリラですが」
「ふむ……まぁ、確かに。王妃としての資質という面で考えれば、ウィルダリアの方が上か」
軽口の類いではあるが、臣下(イースティリア)の前で、ここまで次期帝王をこき下ろす現帝というのも珍しいのではないだろうか。
そしてアレリラが王妃に向かない、というのは、その通りだろうと思う。
重い責任を全うしようと、働き過ぎてを壊してしまうのが目に見えている。
陛下は、そこで軽口をやめて話を先に進める。
「そなたらが一子爵としか知らぬのも無理はない。王家の醜聞として、皆が勝手に口をつぐんだからの。もう數十年も前の話よ」
「王家の醜聞? 書簡の子爵は、王家に何か関わりがあるのですか?」
レイダックの目が真剣になると、陛下は小さく頷かれた。
「王家に伝わる古代の、【風の寶珠】は現在五つ。しかし昔は六つあった」
【風の寶珠】は、『どれほど離れた土地にいても、それを持って念じればお互いの聲が通じる』というものだ。
これがどれほど帝國の建國に役立ったか知れない。
離れた部隊同士であっても、帝都から遠く離れた土地であっても、お互いにすぐさま言葉をわして意思の疎通が可能となる。
報の伝達速度において、破格のアドバンテージを得られるのだ。
「失われたその一つを、かの子爵が持っておる」
心當たりはないか? と陛下が問いかけられるのに、イースティリアはレイダックに目を向けた。
彼は眉を寄せて考えているが、やがて頭を橫に振る。
「分からん。そんな王家に関わる大事件に、心當たりがないはずないんだが」
「そなたはどうだ?」
陛下はまるで挑発するような態度だが、その目の真剣さは失われていない。
イースティリアは、【風の寶珠】の可能に気づいた時點で、悟っていた。
王家の系譜と貴族年鑑は、頭に叩き込んである。
その中で、數十年前のバルザム王家に関わること、かつ、知り及ぶ限り名前が一致するのは、一人しかいない。
「件(くだん)の子爵の名は、サガルドゥ・タイアと署名がありました」
「うむ」
「サガルドゥ……まさか」
流石にその程度は見覚えがあったのか、レイダックはようやく正解に辿り著いたようだ。
「遅いぞ、レイダック。そう、今は辺境の子爵位に収まっているがな。かつては傑と名高かった、正統な王家のを継ぐ者……」
陛下は、どこか複雑そうな笑みを浮かべて、答えを告げる。
「サガルドゥ・バルザム。ーーー本來は帝王に座す筈だった、余の兄じゃ」
バルザム王家は複雑なようです。
次の話で過去話をやって、その次からようやく主役であるアレリラが登場します! もうちょっと昔話にお付き合い下さいませ!
【書籍化】幼馴染彼女のモラハラがひどいんで絶縁宣言してやった
【コミカライズ決定しました!】 一個下の幼馴染で彼女の花火は、とにかくモラハラがひどい。 毎日えげつない言葉で俺を貶し、尊厳を奪い、精神的に追い詰めてきた。 身も心もボロボロにされた俺は、ついに彼女との絶縁を宣言する。 「颯馬先輩、ほーんと使えないですよねえ。それで私の彼氏とかありえないんですけどぉ」 「わかった。じゃあもう別れよう」 「ひあっ……?」 俺の人生を我が物顔で支配していた花火もいなくなったし、これからは自由気ままに生きよう。 そう決意した途端、何もかも上手くいくようになり、気づけば俺は周囲の生徒から賞賛を浴びて、學園一の人気者になっていた。 しかも、花火とは真逆で、めちゃくちゃ性格のいい隣の席の美少女から、「ずっと好きだった」と告白されてしまった。 って花火さん、なんかボロボロみたいだけど、どうした? ※日間ランキング1位(総合)、日間・週間・月間・四半期ランキング1位(現実世界戀愛ジャンル)になれました 応援いただきありがとうございます!
8 152地球連邦軍様、異世界へようこそ 〜破天荒皇女は殺そうとしてきた兄への復讐のため、來訪者である地球連邦軍と手を結び、さらに帝國を手に入れるべく暗躍する! 〜
※2022年9月現在 総合PV 150萬! 総合ポイント4500突破! 巨大な一つの大陸の他は、陸地の存在しない世界。 その大陸を統べるルーリアト帝國の皇女グーシュは、女好き、空想好きな放蕩皇族で、お付き騎士のミルシャと自由気ままに暮らす生活を送っていた。 そんなある日、突如伝説にしか存在しない海向こうの國が來訪し、交流を求めてくる。 空想さながらの展開に、好奇心に抗えず代表使節に立候補するグーシュ。 しかしその行動は、彼女を嫌う実の兄である皇太子とその取り巻きを刺激してしまう。 結果。 來訪者の元へと向かう途中、グーシュは馬車ごと荒れ狂う川へと落とされ、あえなく命を落とした……はずだった。 グーシュが目覚めると、そこは見た事もない建物。 そして目の前に現れたのは、見た事もない服裝の美少女たちと、甲冑を著込んだような妙な大男。 彼らは地球連邦という”星の海”を越えた場所にある國の者達で、その目的はルーリアトを穏便に制圧することだという。 想像を超えた出來事に興奮するグーシュ。 だが彼女は知らなかった。 目の前にいる大男にも、想像を超える物語があったことを。 これは破天荒な皇女様と、21世紀初頭にトラックに轢かれ、気が付いたら22世紀でサイボーグになっていた元サラリーマンが出會った事で巻き起こる、SF×ファンタジーの壯大な物語。
8 195突然不死身という最強の能力に目覚めちゃいました
西暦2200年地球には2種類の人間が存在するようになっていた。 1種は昔からいたいたって普通の人間、もう1種は生まれながらにして特殊能力を持った人間つまり超能力者だ。 そして今世界では特殊能力を持った人間を中心とした格差社會が起きていた。通う學校、働ける職場、仕事の基本給、その他etc、全てにおいて超能力者が優遇されていた。 學校に関しては小學校までは同じ學校へ通うが、中學、高校は、舊人と超能力者では通う學校が違く、さらに超能力者に関しては受験を受けなくても能力がと言う理由だけで進學をすることができる。もちろんその先にある就職だって同じようなものだ。その職場に適した能力があれば簡単に入社できる。それだけじゃな給料だって高卒で入っても同じ條件の舊人の倍はもらうことができる。 そんな世界で超能力者 神谷 玲は舊人つまり無能力者として暮らしていた。
8 119終わった世界の復讐者 ―僕はゾンビを操ってクラスメイト達に復讐する―
いじめのせいで不登校になっていた少年、夜月 帳(よるづき とばり)は、自分が引きこもっている間にパンデミックが起こり、世界中がゾンビで溢れかえっていることを知る。その中でトバリは、ゾンビと化した幼なじみの少女、剎那(せつな)に噛まれ、一度意識を失ってしまう。しかし目が覚めると、トバリはゾンビを操ることができるようになっていた。ゾンビになった剎那を好き放題にしたトバリは、決意する。この力を使って、自分を虐げていたクラスメイトたちを、ゾンビの餌にすることを。終わってしまった世界を舞臺に、トバリの復讐劇が今始まる! ※この作品は『小説家になろう』様でも掲載しています。
8 154負け組だった男のチートなスキル
都內某所にある天才たちを集めた學校、天運學高校。そんな學校に通う學生の名を高月光助と言った。 だが彼は毎日過酷ないじめにあっており、更には世間で思われているような天才でもなかった。 この先ずっとそのような日課が続くと思っていた光助の元にある転機が訪れる。彼の通う學校の全校生徒が突然異世界に転移されることとなったのだ。 新たな世界に一時は希望を抱く光助だったが、この世界でさえもステータスと呼ばれる能力の指數で彼らの足元にも及ばない。しまいには何も知らない異世界に一人で放り出されてしまうこととなったのだ。 だがそんな彼にはある秘密があった。 高月光助は神さえも驚かせるような力を秘めていたのだ。 改訂版書いてます。
8 91糞ジジイにチートもらったので時を忘れ8000年スローライフを送っていたら、神様扱いされてた件
糞ジジイこと、神様にチート能力をもらった主人公は、異世界に転生し、スローライフを送ることにした。 時を忘れて趣味に打ち込み1000年、2000年と過ぎていく… 主人公が知らないところで歴史は動いている ▼本作は異世界のんびりコメディーです。 ただしほのぼの感はひと時もありません。 狂気の世界に降り立った主人公はスローライフを送りながら自身もまたその狂気に飲まれて行く… ほぼ全話に微グロシーンがあります。 異世界のんびりダークファンタジーコメディー系の作品となっております。 "主人公が無雙してハーレム作るだけなんてもう見たくない!" 狂気のスローライフが今ここに幕を開ける!! (※描くのが怠くなって一話で終わってました。すみません。 再開もクソもありませんが、ポイントつけている人がいるみたいなので書きたいなと思っています) 注意 この物語は必ずしも主人公中心というわけではありません。 グロシーンや特殊な考え方をする登場人物が多數登場します。 鬱展開は"作者的には"ありません。あるとすればグロ展開ですが、コメディー要素満載なのでスラスラ読めると思います。 ★のつく話には挿絵がついています。 申し訳程度の挿絵です 一章 0〜5年 二章6〜70年 三章70〜1160年 四章1000前後〜1160年 五章1180〜(996年を神聖歴0年とする) 《予定》五章 勇者召喚編、ただ今制作中です ●挿絵が上手く表示されないトラブルも起きていますが、運営が改善して下さらないので放置してあります。 気になった方いたら、本當に申し訳ございませんと、今ここで謝罪されて頂きます● 【なろうオンリーの作品です】 【この作品は無斷転載不可です】
8 161