《彼氏が悪の組織の戦闘員Eなんですが…》第25話 旅行の予約
栗生院くんの院生活は2ヶ月目にった。
隠れてこそこそトレーニングしてるようでそのことを言うとしゅんとして犬みたいに落ち込んでしまうからあまり言わなくなった。
しかし今日彼は病院のトレーニングルームでレッドさんの絵柄のサンドバッグを思いっきりバシンと重いパンチを繰り出していた。
ちょっと切れて中の砂がザラザラ出てきた。
ええええええええ!!!!
「何してんの栗生院くんんんんん!!」
彼は私の聲に一瞬ビクリとして爽やかな汗と共に
「お帰り時奈さん」
と微笑んだ。
いや、お帰りじゃねぇよ!!何爽やかに誤魔化してんだお前!見てたからね!
バッチリ見ていたからね!肋骨のヒビまだ完治してないんだからな!!
そしてサンドバッグボロボロだし!どんだけレッドさんに憎しみを持っているのか。
「ごめんね、つい…一人でいるとストレスが溜まってね…院生活って退屈なんだもん…だいぶけるようになったし」
「けるようになってもまだ全然寢てなきゃダメだよっ!!」
と私は怒ってさっさと車椅子に彼を乗せる。
「お、怒ってる?時奈さん」
「うん、ちゃんと安靜にしてなかったもん!」
今日はいつもより早く授業終わったから早めに來たらこれだからな!!
「ご…ごめん…機嫌直してよ…何でもしてあげるから…」
「くっ!」
そんな、お願い許して!なんてイケメンに言われるとコロリと許してしまいそうになるがダメだ!
これはイケメンによる奧義だ!
使われた乙は甘いねだり聲とキラキラした瞳に押されて心のドアを簡単に開いてしまう!
開いたハートのドアにイケメンが侵してきて中から鍵をかけて出口を塞がれてしまうのだ!
そうなるともう逃げ場はない!ジリジリと迫るイケメンに心の壁際まで追い詰められて最後は壁ドンされてしまう!!
ベッドに戻ると栗生院くんはゴソゴソと何かを取り出した。
「これ…どこがいいだろう?そろそろ予約しておこうかなって…」
「ん?予約?何の?」
と渡されたものを見ると、ドバイからドイツ、スイス、フランス…ありとあらゆる世界中の國の観地などが目に映る。
「え?あの…何?」
「何って…後一月で僕退院するから退院祝いに旅行に行くんだよ」
「あー…なるほど!それでどこの國に行こうか迷ってるんだね?栗生院くんならどこの國でも行けそうだよね、外國語も完璧そうだし…あ、私のお土産なんてなんでもいいよ?」
「……時奈さん?君も一緒に行くんだよ?」
たらりと汗が流れた。
「ええええええええええ!!!???」
待ってえ!子高生がいきなり海外旅行とかハードル高すぎる!!一いくらするんだ!!?
いやこのサイコのクソ金持ちなら何ともないポケットマネーかもしれないけどおおお!!
パスポートもまだ持ってないし、それに私英語の點數も悪いしましてや何ヶ國もの言葉なんて覚えられねえええええ!!
「いや、當たり前でしょう?退院祝いなんだから」
退院祝いに海外旅行にいきなり行くお前が解らんわっっ!!
當たり前ってなんだ?貧乏人舐めてんじゃねーぞ?
いや高級マンション住まわされてますけど…心はまだ貧乏人だから私!
マンションの冷蔵庫の中のたくあん齧ったりしてますから!!
金持ちなんかに完全に屈しないんだからねっっ!
しかし彼は
「うーん、パリなんて定番だしなぁ…食事は味しいけどシャンゼリゼ通りとかエッフェル塔なんか見飽きたわ…最近はテロもあったしなぁ」
ひいいいっ!見飽きてるってよ!この金持ちめっ!
「に、日本じゃダメなの?せめて…」
とガクブルで聞いてみたが
「だって!せっかくの時奈さんとの退院祝いにレッドのいる日本でするとなんか思い出して腹が煮えくりかえるんだよね…もしかしたら邪魔しにくるかもしれないしさぁ…」
と栗生院くんは後ろに効果音つきそうなくらいイラ立ちを見せた。これはダメだ。
「だから日本以外でどこがいい?時奈さんの行ってみたい國とかある?」
ええっ!?そんなこと急に言われても思いつかない!
そもそも私はそんなことを考えたことがなかった!
だって一生日本で地味に暮らしてくとばかり思って今まで生きてきたのだ!
たまに見るテレビで蕓能人が派手に海外で遊んでるの見て満足しちゃうタイプだからね?
自分が行くなんて考えたこともねーよ!革命だよ!私にとっては!
「あの…よく解んないから栗生院くんが決めていいよ…」
「そう?……うーん、ならサントリーニ島にしよっか?こっちも定番かもしれないけど…」
「サントリーニ島?清涼飲料水の工場島?」
どこだっけ?なんか聞いたことあるけどアホだからどこの國かもわからん!!
「…ぶふっ!違うよ!何で工場見學になってるの?ギリシャのエーゲ海に浮かぶ島だよ、知らないなら行ってからのお楽しみにしておこうね」
ギリシャ…ダメだ…パルテノン神殿とかがボンヤリ浮かんでくるだけだ。
私のギリシャイメージそれしかない!!後、普通にアホだと思われたやんけ!
「とりあえず予約の電話しておくね?」
と栗生院くんは電話をかけ始めた。
「Εάν είστε Kuryuin, έχετε διαχειριστή; Θέλω να κλείσω ένα ξενοδοχείο ...」
は???
おいいいい!いきなりギリシャ語??みたいなん喋ってる!!!
もはや栗生院って言った所しか解んねええええ!何これなんの呪文??
とりあえず栗生院くんがハイスペックなことは判る。
しばらく訳解らない言語を喋り栗生院くんは電話を切った。
「うん、大丈夫だよ!イアのホテルもちゃんと取れたしイアの要塞はやっぱり観客だらけだから飛行船を貸し切っておいたよ」
とちょっと照れながら栗生院くんは言った。
イアって何?要塞って何?て?飛行船?え?ラ●●タとか魔の●●●に出てくるあれ?
判らん…これは帰ってグークル先生をググるしかない!
「旅行楽しみだね!!」
「その前にちゃんと安靜にして治してよ?」
「わかってるよ、素敵な思い出を作ろうね…」
と栗生院くんは私を抱きしめて頬に優しくキスしてくる。
よ、ようやくしだけ慣れてきたけどまだ完全じゃないから恥ずかしいものは恥ずかしい。
「また明日」
と別れて家に著き、グークル先生で調べたらカップル人気の高い観地で凄い可い建に特にロマンティックな夕日のサンセットが人気でイアって言う街にあるイア要塞っていう所で見るとカップルは永遠に幸せになれるとか。
そ、そう言えば3ヶ月後にファーストキスの予約が…まさかこんな…恐ろしいしいところで??
ひっひいいいいい!
思わずライメでそのことを舞川さんに言ってみたら
(は?サントリーニ島?何?清涼飲料水の工場のある島か?)
と返された。アホ仲間ここにいたり!!
それにしてもヤバイぞ?いろいろ準備したりしないと!!
やっぱりバイトはしちゃダメかなぁ?
と私は考え込むが無駄だと思って考えるのはやめた。
note+ノベルバ+アルファポリス+電子書籍でエッセイ、小説を収益化しつつ小説家を目指す日記
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