《彼氏が悪の組織の戦闘員Eなんですが…》第29話 心の準備
栗生院くんが院してからはや3ヶ月になろうとしている。
もはや彼のけた傷は完全完治し、もはや病院行かなくてもいいだろ?と思うくらいだ。
ご飯もモリモリ食べるし筋トレも始めてさらに強くなってる気がしてきた。
「とうとう退院だな…」
と枝利香さんが屋上でチョコレートを食べながら呟く。
「うん…」
「お前旅行の準備してるのか?」
「まぁ…してるというか勝手に服やらが送られてくるんだけど…」
「相変わらず獨占強いサイコだな…」
「…あの…なんて言っていいか判んないんだけど今日うちに泊まってくれる?枝利香さん?相談したいんだけど」
「うん?まぁいいけどよ」
と枝利香さんと約束して私のマンションに向かう。
今日は準備をするので病院に行くのを控えている。
だって明日退院直行ですぐに海外渡航だ。いろいろ心構えが…。
まずはファーストクラスのジェットでギリシャのアテネまでほとんど丸一日程飛び(飛行機の中で眠る)
アテネからプライベートジェットで30分でサントリーニ島到著。
フィラ観お土産など。イアホテルへ。3日目ペリッサビーチへ向かう。
のんびりビーチで遊んだ後飛行船乗車。夕日見學。イアホテルへ。帰宅丸一日。
というなんかやっぱり旅行って疲れそうよね。
栗生院くんは
「本當はプライベートジェットでぶっ飛ばしてサントリーニ島まで行ってもいいんだけど、長距離だと揺れるだろうし、安全を考慮して時間かけて行くことにしたよ。ごめんね?飛行機の中でほぼ1日くらいかかって退屈だろうけど…」
と言っていたが、そもそもファーストクラス自が一般人にとっては憧れの席である。
しかもプライベートジェットなんて…
いくらかかるのかもう想像すると気絶しそうだから考えないようにした。
夜になって荷を持って枝利香さんがやってきた。
明日そのまま行くし同行者の枝利香さんも旅行のスーツケースを持っている。
ロックを開けて私はエレベーターで登ってくる彼を待ち部屋へとれた。
「すげーセキュリティ…って部屋広くね?」
「う、うん…申し訳ない…」
未だに部屋の家とか傷つけたらヤバイと思ってめっちゃ注意しながら暮らしてる。
「それにしても海外なんて初めてだよ…お前水著どんなの持ってくんだよ?」
「枝利香さんは?」
「あたしかあ…ないから…あまり期待するなよ…上はTシャツでも著ておくけどよ…」
と、取り出したのは黒いなんかカッコいいデザインの水著だ。
一見するとワンピースみたいに見えるけどお腹の部分だけは格子になっていて著るとその部分だけが見えるやつだ。カッコいい!
「お前はどんなの?」
私は何著かの水著をクローゼットから持ってくる。
「ほお、可いなあいつの趣味かよ?」
真っ白なフリルの著いたものや控えめなワンポイントの花の著いたものに白い花柄のワンピース型のもの一応ビキニタイプもあるが私もないからこれは無理だわ。
「うーん、じゃこの花柄のワンピースでいいんじゃね?」
「私なんかがこんな可いの著ていいのかな?水著に失禮じゃない?やっぱり學校指定の水著の方がお似合いだと思う…」
と言うと
「いや、海外まで行って學校指定の水著著てどうすんだ!ここにある水著はあのイケメンサイコ野郎が送ってきたんだろ?なら観念して持ってけ!」
「解った…」
ああ、水著の神様申し訳ありません!こんなクソダサメガネがおこがましくも可い水著著ようだなんて!!
「それより時奈…可い下著も持って行った方がいいぞ?」
ん?どういう意味?
「だって…夕日見ながらチューしてそのままホテル行くなんて…もうフルコースだろ!!」
「いやいや何のフルコース!?やめて!」
やっぱりそれか!!いやそんなことにはならないよ!!きっと!きききき…きっとおおお!!
栗生院くんなら結婚するまでそんなことしないに決まってるわ!そう!意外とシャイなはず!
いやでも毎日キスされとりますわ!!!
キスの予約もっているしキスはもうされるものだとあらかじめ覚悟を決めたが…その後どうなるかは予測不能。
そもそもどんなキスされんの?
(心配しないで時奈!栗生院くんなら暴なことはしないよ!)
(でもサイコだから暴にされるかもしれないよ?)
(いやないよ!彼は優しい!)
(でもあんなイケメンに迫られたら確実に心臓が止まるかもしれない!そうだ、AEDを持って行こう!)
「鳴島さんにAEDあるかどうか聞いておかないと…」
「おい、いちいちキスされて死んでたらどうすんだよ、しっかりしろ!気合いだ!気合いでけ止めろよ?」
「くっ!耐え抜いてみせる!この旅行で耐え抜かなければイケメンとまともに戦えない!」
「何と戦ってんだよ…どうせすぐ陥落するっての」
と呆れ顔で言う枝利香さん。
ぐうっ…言い返せない!
*
病院も今日で終わりだしきちんと旅行の準備は整っているし、退院も明日すぐできる。
起きたら彼を迎えに行って…と頭の中でスケジュールを組む。
小學校の遠足なんかものすごくどうでもよくて興味はなかったが、明日のことを思うと楽しみすぎて眠れない!
僕はようやく周りが言っていた楽しみすぎて眠れないを験している。
はあ、ほんと早く明日にならないかな?
と月を見上げた。
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