《「気がれている」と王家から追い出された俺は、自説通りに超古代銀河帝國の植民船を発見し大陸最大國家を建國する。 ~今さら帰って來てくれと言っても、もう遅い! 超テクノロジーを駆使した俺の建國史~》決著

庭園の一角に存在するそこは、小ぢんまりとまとめられてありながら、繁茂(はんも)する花々の種類も質も、他の場所を圧倒するものがあった。

ただ、咲き誇っているだけではない……。

こちらを圧倒するほどの生命力といい、目を惹きつけられずにはいない艷やかさといい、どうにも、自然なそれとはかけ離れた何かをじられるのだ。

俺がそのようなことをじられたのは、亡き義理の姉であるエーデルの教えがあったからかもしれない。

花の名前は知らずとも、そのしさは忘れることがないのだ。

「ようこそ、いらっしゃいませ。

叔父上様」

そんな異形の花々に囲まれ、ちょこんとお辭儀をしてみせるが一人……。

年端もいかぬであるが、正裝であるドレスはきちんと著こなされ、年齢以上に大人びて見える。

何より、周囲の花々すら引き立て役にしかなれぬ、そのしさときたら……。

に惹かれるとは、また一線を畫したものがじられた。

おそらく、種族も別も年齢も問わず、彼を目にした全ての者がそのしさに魅了されることだろう。

俺が最後に會った時、彼はこーんなちっちゃい子供でしかなかった。

それが、こうも大きくなったのだから、いやはや、本當に時間がかかったものである。

まあ、中の人のせいで、俺の姪っ子がどういう狀態なのかは今ひとつよく分からないのだが。

「俺を叔父と呼びますか?

あなたこそ、全ての母たる存在でしょう?」

おどけた仕草でそう告げると、彼はくすくすと笑ってみせた。

こうしていると、この存在が姪の皮を被っているのとは無関係に、ずっと昔から知っている仲のようにも思える。

実際、彼――ややこしいので彼としよう――は、俺が生まれた時から、常に近な存在であったのだ。

俺たちの祖先が降り立つこなたより、ずっと、この宇宙にあったのだ。

「面白きこと。

勝手に押しかけ、増えておいて、子を名乗るおつもりですか?」

「それやったの、俺の先祖なもんで、どうにも答えようがないですね」

肩をすくめてみせると、彼は完璧な……完璧に作り上げた笑みを消し去り、こちらをまっすぐと見據える。

そして、その口を開いた。

「その先祖が眠らせた力を、わざわざ蘇らせたのがあなたでしょう?」

そして、遙か上空を見上げたのである。

この戦いは、早朝から始まったわけであるが……。

今は太が中天に位置しており、晝を迎えたのだとうかがい知ることができた。

そして、こうして見上げたバカみたいに青い空の向こうには、無限に広がる漆黒の空間があるのだ。

「かつての時代……あなた方が宇宙と名付けたこの世界には、聲なき悲鳴が無數に轟いていました」

コルナが……そのに潛む何かが、超古代の昔に起こっただろう出來事を語る。

「私も含め、あなた方が星と呼ぶものの中には、獨自の意思を持つ者も多い。

その悲鳴が、斷末魔が、広い広い宇宙の隅々までを満たしていたのです」

コルナの瞳が、空から俺に向けられた。

「無節に増え続け、広がり、広がった先にあるものを食いつぶし続け、挙げ句の果てには互いに爭い、その道連れとしてかけがえのないものをも破壊していく……。

あなたが呼び覚ましたのは、そのような負の産なのですよ?」

「それで、許容できなくなった」

「その通り」

俺の言葉に、コルナがうなずく。

「反省し、私への被害を最小限に留め、この中で生き、終わるというのならば、まだ、許容しようという思いはありました。

あなた方が持ち込んだこれらの命も、まあ、こうして見る分には、そう悪いものでもありませんでしたからね」

バラの花弁をそっとでながら、コルナが告げる。

その表は、どこまでも慈に満ちたものであり……。

この星で生をけた者ならば、母じざるを得ないだろう。

「しかし、かつての過ちをまたも繰り返そうというのならば、捨て置くことはできません。

今回は失敗に終わりましたが、私は、何度でもあなた方を滅ぼそうとするでしょう」

それを聞いた俺は、口を開く。

反論など、できようはずもない。

だから、これは純粋な願いだ。

「例えば、農作や牧畜、狩猟に漁……。

これらも、いかに原始的なものであろうとも、自然を破壊し、人間に都合よく歪め、この大地に傷を與える行為であることは否定しません。

人間が生きようとすれば、どうしたってそのような過程が生じる。

我々は、そういった生きだ」

「開き直るのでして?」

「開き直った上で、お願い申し上げます。

どうか、今しばし見守って頂けないか、と」

俺は、空を見上げる。

先ほど、目の前にある彼がそうしたように、ただ広い空間を眺めたのではない。

城門を破壊して以來、ずっと王都の上空に待機している『マミヤ』を見たのだ。

「先人の歴史、その失敗について、俺は學びましたし、続く者たちも學んでいきます。

だから、きっと、同じ歴史は辿らない」

「自分たちなら上手くやれると?

自信家ですこと」

「為せばる。

為さねばらぬ。何事も……。

絶対にできる、などと斷言はしません。

だが、それを目指し続ける」

そして、俺は視線を彼に戻した。

「だから、どうかチャンスを下さい。

一度、愚かな歴史は巻き戻された。

その先に、別の未來を描くためのチャンスを……」

コルナと……その奧に潛む何者かと、視線がわる。

それは、一秒が一時間にも思えるほど、長く、濃な時間で……。

そうした後、彼はふっと溜め息を吐いた。

「どうせ、私がここで止めたところで、やりたいようにやるのでしょう?」

そして、こう告げたのである。

「まあ、いいでしょう。

ですが、忘れてはいけません。

あなた方が、かつての過ちを忘れ、再び破壊者となるなら……。

私は、何度でもこれを滅ぼそうとするでしょう」

「必ず、し遂げてみせます」

自信と共に、うなずく。

俺は、人類というものが、そこまでバカじゃないと信じ抜いていた。

は、それに何も答えず……。

ふと、そのから力が抜け去ったのである。

「おっと……」

慌ててコルナに近寄り、そのを抱き支えてやった。

さっきまでの、圧迫されるような覚はない。

どうやら、俺の姪は自由となったようだった。

「見ていてくれ……」

どこに向けたものかは、自分でも分からないがそうつぶやく。

この戦いは、ロンバルド王家の紛であると同時に、この星そのものに認めてもらうための戦いでもあった。

それが、今、終わったのである。

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