《【書籍化】オタク同僚と偽裝結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど!》園式(隆太視點)

「とてもお似合いです、咲月さん」

「本當ですか? 変じゃないです? 頑張りすぎてるってじしません?」

「すごく上品で、それでいて素敵です」

「もう隆太さん、恥ずかしいですよ!」

咲月さんは照れてび、ズレた元のコサージュを直した。

今日は心海の園式だ。咲月さんは大晟くんの誕生日會の時に著たストンとしたベージュのワンピースの上に紺の上著を羽織り、元にコサージュ。

そして首元と髪にパールを付けている。

俺は咲月さんに近付いて、しズレているパールの髪飾りを直した。

咲月さんはが白いから、パールがすごく似合う。

もともとアクセサリーを付けないタイプの人で結婚指もシンプルなリングのみ。

俺が何か贈りたいと言っても「アクセサリー自は可いと思うんですけど、それが似合うように著飾るのが面倒なんですよねー」と苦笑していた。

でもこういう時の咲月さんを見ると、もっと何かを贈りたい、もっとしい咲月さんを見たい……といつも思う。

出會った頃の可い咲月さんも、今のように落ち著いた雰囲気の咲月さんもしくて大好きだ。

俺がパールの飾りにれていると、咲月さんが俺のほうを見て、

「派手じゃないですか? 自分だとよく分からなくて」

「すごく素敵です。やはり迷ったやつも買えば良かったかなと思ってるんです」

「隆太さん、心海はまだ稚園で、これからとーーーってもお金がかかるんですよ」

「はい、でもそれとこれとは別の話なので」

「別じゃなーい!」

むくれる咲月さんが相変わらず可くて、大好きで頬に優しくキスをした。

久しぶりにフルメイクをした咲月さんのからは甘い香りがしてやさしく抱き寄せた。

ただちょっと本當に仕事が忙しくて……こうしている今もポケットでスマホが鳴っている。

俺に抱き寄せられていた咲月さんもそれに気がついて、元で心配そうに俺のほうを見上げて、

「大丈夫ですか? 午前休。今日定例ですよね」

「ここは絶対に園式です。ただ……電話には出ようと思います」

「はい、じゃあ私は外で待ってますね」

そう言って咲月さんは目を細めて部屋から出て行った。

電話の相手は清川で、資料が集まりきらないと嘆いていたので、使えそうなデータをその場で送った。

テレワークが可能になり、こういう時に助かるけど、結局會社のほうが効率が良い。

心海が突然熱を出したとき、咲月さんが対応できない時もあり、仕事を抜けることも多い。

そのを埋めるように出張を引きけているが、すると土日家族でいられない。

やはり家族だけで子育てをしていく大変さはハンパではないが、ふたりでやると決めた以上、ここから數年が踏ん張りどころだ。

なにより……、

「パパーー、みて、園服!! かわいい?」

「すごく可いよ、お姉さんに見える」

「でしょ? 心海もそう思う」

そう言って心海はその場でくるりと回った。ずっとほしがっていたチェックのスカートは水と黃のタータンチェックだ。

靴下もおそろいのチェックの柄がっていて良い。

最近は制服っぽい服を好んでほしがり、それを著てドヤ顔をする所が、ものすごく可い。

心海は俺の手を引いて玄関に行き、ちょこんと丸くなった。

「みてみて! 黒くてピカピカなくつ! パパと同じなの!」

「そうだね。パパと同じだ、かっこいいね」

「でしょうでしょう。心海もすっごくそう思う!」

心海は昨日の夜から玄関に並べておいた黒い靴を履いて「これはくのすっごく楽しみにしてたの!」とポーズを決めた。

これはH&Mのキッズラインで安く売っているものだが、流行のデザインを押さえていて可い。

980円の安だが、結局すぐに小さくなるので、高いものは必要ない。

靴を履いて飛び出していく心海に聲をかけた。

「心海、桜の木の下で寫真を撮ろう。ママはそっちにいるかな?」

「さくらの下にいるよ、ママーーー!」

そう言って心海は咲月さんの方に向かって走って行った。

庭の桜の木は園式を待っていたように満開になり、青空とのコントラストがしい。

カメラを持って木の下に行くと、咲月さんが木を見上げて目を細めていた。

「満開ですね、すごくきれい。ずっとこの木の下にいるなって思い出してたんです」

咲月さんの髪のに桜の花びらが付いていたのでそれにれて取った。

咲月さんは俺のほうを見て、

「妊娠を告げたのもこの木の下でしたね。焼きをしたり、焼き鳥をしたり、ずっとこの木の下にいますね」

「あ、そうですね。そうでした」

「チューリップを植えたことを今も覚えてます。あれ會社近くの園蕓店で買ったんですけど……今もこんな風に咲くんですね」

咲月さんは桜の木の下にある花壇を見て微笑んだ。

俺はそれを見て、

「実はたまに料をあげてます」

「!! 隆太さん、そうだったんですか。さすがですね」

「咲月さんが植えてくれた時のことも忘れたくないし、ずっと咲いてほしいな……と思ったので。でも本當に雑に面倒を見てるんですけど、きれいに咲くものですね」

咲月さんが植えてくれたチューリップの球はかなり強いものだったらしく、近所のおじいさんに貰った料をあげているだけなのに今年も元気に咲いている。

咲月さんは俺の腕にキュッとしがみついて、

「寫真、三人で撮りませんか? ここは始まりの場所だし、三人の寫真がいいです」

「そうしましょうか。毎年ここで撮ったものを表紙にしても良いかも知れません」

「隆太さんフォトブックですね。毎年同じ場所で撮った寫真とか……形変化が……めっちゃばれそう……」

「咲月さん、気にしてますけどそんなこと全然ないですよ」

「隆太さん、ダメです、數値で數値が出てますから!! 數字は噓をつきませんっ!!」

「ママーーー寫真とらないなら、木にのぼってあそんでていい?」

「だめーーーー!!」

俺と咲月さんは同時にんだ。

俺はすぐに家の中に戻り、三腳を持って來た。

咲月さんは山の中育ちということもあり、子どものころはしょっちゅう木にのぼっていたようだ。

そして今も木をみると「これは……のぼりやすい……」とか言うので驚いてしまう。

人生の中で、のぼりやすいか、そうじゃないか考えて木を見たことが無い。

それを聞いた心海が「これは……のぼれる!」と言い始めてしまい、この桜の木にも何度ものぼろうとしている。

正直危ないと思うのだが、咲月さんは自分が付き沿う時だけ……と見守っている。

同時に咲月さんの子どものころの話がきけて、それが楽しくて新鮮だ。

俺たちは三人で寫真を撮影して、稚園に向かった。

「かわいい、すっごーい、いりぐちに風せん、かわいい!」

園おめでとう、心海ちゃん。心海ちゃんはさくら組さんだよ、あっちに行けるかな?」

「いける、心海お姉さんだから!!」

稚園に到著すると、いつもの門が風船で可く飾られていた。

門の所に『園式』と書いてある看板は行列が出來ているから、帰る時に撮影しよう。

心海は中にると、慣れたきで教室の方にひとりで歩いて行った。

心海は一歳の時から通っている子ども園だから、慣れていて心強い。

「滝本さん、おはようございます」

「藤間《ふじま》さん、おはようございます」

咲月さんがの方と挨拶している。

の方……藤間さんという方は保育園時代に同じ役員をしていた方で、俺も何度か話をしたことがある。

咲月さんはデザイナーさんということもあり、午後の仕事をテレワークに切り替えた。

役員の打ち合わせ等はすべて咲月さんが出ることになり、寫真撮影のために俺がやりたいと言ったのに申し訳ない。

そういって謝ったら咲月さんは目を輝かせて「藤間さんのママ、見ました? Apple Watchしてるんですよ、ママでは唯一です。そこそこのオタクだと思うんですよね。だって會社でもApple Watchしてるないですよ。オタク友達を稚園で作る気は全くないですけど、そっち方向の方のほうが気楽ですよね」と笑った。

どこにいても楽しそうな咲月さんが、俺は大好きだ。

園式が始まる。

俺はカメラを持って狀況を確認した。

園式が行われるのは育館。り口は前方と後方にふたつ。前方に子どもの席、後方に大人の席、カメラ用の高臺。

真ん中に通路がある狀態で椅子が並べられていて、育館橫に外通路……これは教室側から歩いてきて外通路を歩き、後方り口から保護者席の真ん中通路を歩いて席に著くパターンと読んだ!!

その場合寫真撮影に最適なポイントはどこだ……?

心海が保育園のイベントに出るようになって知ったのだが、子どもたちがどういうきをするかなど事前に知らせてくれない。

だから子どもたちがどのように移するか、このマップをどう攻略すべきか、どこかベストポジションか、今日持っているカメラで一番よい寫真が撮れるのはどこか、すべて一瞬で把握する必要がある。

毎回思うがこれは戦いだ。

アイドルの寫真を撮る時に培われた狀況把握能力がここにきてフルで発揮!

咲月さんは俺が別行して撮影することを知っているので、

「じゃあ、私はいつも通り畫係をしますね。あの通路の辺りが良いですかね」

「左のここら辺が良いじがします。こっちのり口からってくると思うので、正面から畫が撮れるかなと」

「わかりました、お任せください!」

そう言って席に行った。

最初こそこんなにカメラを持ち込んで撮影してドルオタだとバレてしまうのでは……と思ったが、予想より他のお父さんのカメラも大きくて安心した。

なんと超高級ラインとして有名なCanonのLレンズを持っている人がいて興してしまった。

ひとめで分かる赤のライン……カッコイイ。

持っていた方は普通のお父さんといったじだったが、Lレンズを持っている人はアイドルの現場でもあまり見ない。

この程度でオタクだなんて……思い上がっていた……。

そしてもっと気持ちに素直で良いと気がついた。

自分がどう思われるかより、心海の寫真優先だ、この瞬間はこの時しかない!

撮影を楽しんでいる俺を咲月さんは微笑ましく見守ってくれていて助かる。

正直心海の寫真を撮るのが楽しくて仕方が無いのだ。

カメラを持って通路の一番奧に座っていると、教室から子どもたちが出てきた。

きた!

正直心配なのは、前方のり口からっていってしまうことだ。

その場合出てくる時にしか撮影できない……いや後方のり口を使わない可能もある……でもその場合保護者席の真ん中に通路を作る必要はない。

保護者席の真ん中に通路があるということは、そこを花道として通るということだ。

見ていると子どもたちは先生に連れられてトコトコと……前のり口を通過して、こっちにきた、やった!!

俺は座り込んで心海の高さに合わせて待った。

そこに先生に先導されて歩いてくる子どもたち……水のタータンチェックのスカートと靴下が見えてきた。

作戦通り! すこし変わった靴下を履かせると遠くからでも目視できて撮影に有利だ。

トコトコと歩いてきて奧に座っていた俺に気がついて、

「パパ!」

と笑顔を見せてくれた。俺はシャッターを夢中で押してすぐに顔をあげて手を振った。

心海は笑顔を見せて育館にっていった。

育館の中では咲月さんが畫を撮影しているのが見えた。

ああ、稚園イベント……いや園式、最高に楽しい。

頑張り優等生なクラスメイトとを共有して、學校でこっそりキスする話

https://ncode.syosetu.com/n4175hz/

という新作を始めました。

高校生ラブコメなので読みに來て頂けると嬉しいです。

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