《「もう・・・・働きたくないんです」冒険者なんか辭めてやる。今更、待遇を変えるからとお願いされてもお斷りです。僕はぜーったい働きません。【漫畫1巻+書籍2巻】》192 魔王の最期の要求

さらに一夜明けて僕の生活は一転した。

大したことはしていない。

いつものように、魔に火球を一発くれただけ。

『魔王が負けを認めました』

だから、レビジョンさんのライブ映像は衝撃だった。

『勝った?』

「エクスすごい!」

「だよな、主。こいつは、たまげたぜ」

「さすがです旦那様!」

「お兄さん何もしてないのに!」

年、これは前代未聞だぞ」

違ったのは相手が魔王だった。

つまりは、しぶとくて意志を持つ相手だったということ。

『要求は、殺してくれ。です』

痛みに耐えかねて泣きだした。

「痛そう」

「奴さんは人間牧場を作るとか言ってたから因果応報よ。気にすんねい」

「そうよ、エクスは悪くない」

ライ姉が首をひねる。

「でも人が変わったみたいです」

「たぶん作が解けたんだと思う」

作?」

「勇気を」

「で、どうすんでい相棒?」

「うぇっ何もしないよ」

「なんでい?敵とはいえ介錯してやらねえのか?」

「うん」

「まぁ、誰かがやるか」

「お疲れさまエクス」

ルカに優しい笑顔で労われて嬉しい。

「よし、今日のお晝はお祝いでお祭りにしよう」

「おにく?」

ニトラを元気づけてミッションコンプリート。

し早いけど。みんな、スタンピード撃破おめでとうっ!」

「「いえー♪」」

「お買ってきます!」

「買い占める」

「行ってらっしゃーい」

張り切るライ姉のあとを尾をふりふりしてニトラが付いていったのを見送る。

つい、マッサージチェアのに負けてふわぁと寛いでしまい、いつの間にか寢落ちしてしまったらしい。

ゆさゆさと揺すられて目覚めると、ライ姉とニトラがいた。

「んんぅ。ごめん寢てた」

「旦那様。魔王が泣いてます」

「魔王にはがっかり」

寢ぼけ眼で突き出された映像板をぼんやり見ると、厳つい姿の魔王が泣いていた。

しかも、畫面には『エクス大魔導師にきなし』の文字が。

「うわぁ、本當だ。あれは?」

「あと『大魔導師は降參した敵をいつまでも苦しめ続ける鬼畜野郎だ!』なんて言う町の人まで出てきて」

「お兄さんが悪者みたいに言われるの嫌」

なんでこうなった?

街は半壊したけど魔王による死者がほとんど出てないからだろうか。

「ちょっと待って! マーラは?」

「やらないって畫面越しに斷ってました」

「うん。ニトラも見た」

んんう。なんでだよ!?倒せるよね??

まさかあいつ僕に気を使ってるのか、分からないけどそんな気がする。

私はエクスに味しいところを殘すだからな、とかドヤ顔で言いそう。

そういうのいいんだってば。

「分かった。行ってくる」

「さすがです旦那様!」

「ごー!」

行こうとしたらルカが邪魔するように立ちはだかった。

「ごめん、ルカ。ちょっと出掛けてくるから」

澄んだ大きな瞳で、心配そうに見てきて。

「駄目」

「え?」

通せんぼするルカに戸う。

「エクス」

「あるよ」

「え?」

ルカがびっくりした顔をした。

「相棒!凄えぜ、まだ必殺技を隠してたとは」

「は?」

今度は僕がびっくりした顔に。

無いよ、マーラにお願いするだけだし。

「分かったぜ!ファイヤーボールを増やす。どうでい?」

「うーん。それはどうなんだろう?」

マーラに頼ると言うのいかけて不機嫌になるルカを予知して急回避。

「くぅー、」

「むぅ」

ルカにどう説明しようかと考えながら玄関を開けると、護衛の人たちがひざまずいて待っていた。

「うっ」

しかも怪しい白裝束の人まで増えてるし。

「エクス大魔導師。魔王を倒した暁には勇者の椅子が待っております」

「えっと、貴方は?」

「申し遅れました。勇者協會の伝導師です。樞機卿からの言葉をお伝えにきました」

「そうですか」

「相棒!やったじゃねえか」

「ありがとう」

僕が勇者か。

護衛に護られながら崩壊した街を歩く。

からひそひそ聞こえる、町の人たちの聲が気になる。

「エクス大魔導師様だ」

「この街から勇者が出るのかな」

「パパ怖いよお」

「泣かないで大丈夫だから」

崇拝と興味と恐怖。

「そういや相棒、魔王をめて泣かしたのは歴史で初らしいぜ」

「知りたくなかったよ」

子供を泣かした勇者も追加で。

「で、正解はどうトドメを刺すんでい?そろそろ教えてくれよ」

「マーラに任せる」

「!」

ルカに裾を強く引っ張られた。

マーラを見つけてしまい思わず変な答え方になってしまったけど、ルカは戦闘向きじゃないし。

「マーラ!」

「エクスか」

気まずいまま合流。

「マーラ、もうトドメをさしていいよ」

「え?」

なぜか困った顔をされた。

「僕に遠慮はいらないから、さあ」

「出來ない」

んんん?

「え?」

「私の命題は超効率化。ほっといても死ぬのにって思ってしまうと力が出ない。すまん」

「どういう意味?」

「見た方が早いか。連撃の雷ぉぉぉ」

つまり命題に反するらしく発が失敗して、とても小さな靜電気が空へと霧散していくのみ。

「うあああ。そんなっ」

「ちなみに魔王はオートカウンターが発しているらしく雑魚では近づけなくて膠著している。自殺も出來ないらしくあのざまだ」

詰んだ。

「ルカ、なんとかならない?」

「わわわ」

振り返って頼ったら絶の瞳に、と困が宿り困らせただけ。

でも、考えてくれてありがとう。

そうこうしているうちにUターンするタイミングを見失い外壁に到著。

「道を開けてください!エクス大魔導師が魔王の呼びかけに応じ到著しましたっ!」

見た目がパワーアップしたくせに泣いている魔王が僕に気付いた。

「エクス君!待っていたぞ!痛みで、延長された痛みで、自我を取り戻した。サンダルフォンという奴から魔石を虛ろが奪ったが戦闘中はスタンピードを起こせず死ににくなっただけ」

「…」

なんか言いづらいな。

僕を見て安堵されているのはキツイ。

「勇気を願った日、自分を奪われた。スタンピードを起こしたのは俺の意志じゃない!國を滅ぼしたのも虛ろのせいだ。もう殺してくれ」

みんなが注目するなか僕はぺこりと謝る。

「…ごめんなさい」

ざわり。

空気は揺らぐ。

「なんだ?なぜ謝る??まさか赦してくれないのか」

「…出來ないんです」

魔王は信じられないって顔で、野次馬の街の人たちももう許してやれよ、という顔だけど。

「は?條件があるなら飲む。どんな條件でもっ。お願いだ、言ってくれ」

「僕は」

「なんだ?いや、なんですか?」

伝えなければならない。

僕の命題を。

すぅーと息を吸い込み。

「僕は、初級魔法しか使えないんです」

相手の目を見る。

「それは、知っている、が?」

「貴方の期待には添えません」

の表がようやく言葉の意味を理解してくれたのか、怒りの赤に変わる。

「きっきっきさまっ!まさか」

「はい。これ以上、火力を上げられません」

ずっと弱火。

それが僕の魔法。

「殺す!殺す!殺すぅぅぅ!この無能めえええっ!!!鬼畜な初級魔法を今すぐやめろ。やめてくれ。もう殺してくれよぉぉぉぉ」

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