《【書籍化・コミカライズ】誰にもされなかった醜穢令嬢が幸せになるまで〜嫁ぎ先は暴公爵と聞いていたのですが、実は優しく誠実なお方で気がつくと溺されていました〜【二章完】》第63話 一緒に夕食
夕食のテーブルについてから、ローガンはアメリアに言った。
「今日は日中、時間を取れずすまない。どうしても夕方までに処理しなければならない書類があってな」
「とんでもないことでございます」
ゆっくりと、アメリアは首を橫に振る。
「毎日こうやって、夕食をご一緒する時間を作ってくださってるだけで充分です」
「そう言ってくれると、助かる」
これが、ここ最近の大きな変化だった。
改めてアメリアと心を通わせたローガンは、人生の全てを費やしていたと言っても過言ではない仕事を減らし、アメリアとの時間を取るようになった。
しでも一緒にいたいというローガンの気持ちを聞いた時、アメリアが天にも昇るような嬉しさを抱いた事は言うまでもない。
「ささ、冷めないうちにいただきましょう」
「ああ」
食前の祈りを捧げてから、二人の夕食が始まる。
へルンベルク家の食卓に出てくる料理の數々は、一流のシェフが腕によりをかけて作った一級品の數々だ。
本日、食卓に並んだメニューの數々も例にれず、ひと目見ただけで味しいとわかる品々だった。
前菜の季節野菜のサラダを堪能した後、豚のグリルのバルサミコソース掛けを一口大に切り分けゆっくりと口に運ぶ。
「んぅ……」
思わず想が口に出てしまいそうになるのをグッと堪えた。
ナイフの刃を立てただけで切れてしまうほどらかいポークは、噛めば噛むほど染み出すの旨味と、酸味と甘みが見事に調和したバルサミコソースが合わさって、思わず目を閉じてしまうほどの味しさだった。
ゆっくりと堪能し、こくりと控えめに呑み込んだ後、溢れそうな笑顔を浮かべて一言。
「味しい」
こんな調子で、ポークを食べ終えた後は白魚のムニエル、アサリのクリームスープなど、アメリアの好みに合わせて作られた絶品料理を食べ進めていく。
ふと、橫からじーっと視線が注がれていることに気づいた。
「ローガン様、いかがなさいました?」
「いや……」
どこか懐かしそうに目を細めるローガン。
「アメリアが家に來て、初めての夕食を摂った際のことを思い出してな」
「初めて……はっ」
思い出す。
実家でげられ屑切れのような食事しか摂っていなかったため、へルンベルク家で初めて出された食事の數々に、アメリアは飢えた猛獣の如き振る舞いを披してしまった。
バクバクと頬をリスみたいにいっぱいにするわ、口にをれたまま喋るわ……淑のしの字もない悲慘な有様だった事はよく覚えている。
「その時に比べると、だいぶ淑らしい食べ方になってきたなと」
「お、お恥ずかしい限りです……まだまだですが、しでもローガン様のお隣にいても恥ずかしくないよう、鍛錬しておりまして」
「なるほどな」
公爵家の令嬢たるもの、挨拶や食事をはじめとした禮儀作法は一通りマスターしておかねばならない。
今は亡き母からある程度の知識は與えられていたが、実踐レベルではアメリアの立ち振る舞いはまだ未だ。
婚約の際にわした契約容においても、公の場で公爵家の夫人としての振る舞いをするよう記載されている上に、他家の貴族たちもえたお茶會の日もそう遠くないうちに迎える。
もちろん、一番の理由は“ローガン様に恥をかかせたくない……”というアメリアの的なものであったが……。
兎にも角にもそういった背景があって、アメリアは自発的にマナーを意識するようになったのだ。
「まあ、そう気負わなくてもいい。まだ屋敷の中なのだから。外に出る機會に遭遇した時に、ある程度の振る舞いが出來るようになっていれば、それでいい」
「はい、ありがとうございます」
「何はともあれ」
ぽん、とローガンの手がアメリアの頭にれる。
「偉いぞ」
ぽんぽん、とローガンがアメリアの頭をでる。
ローガンの大きくて溫かい手が、アメリアは大好きだった。
「えへへ……」
褒められて嬉しい。
そんなが満面に浮き出たあどけない笑顔に、ローガンも小さな笑みを浮かべるのであった。
夕食を食べ終え、食後の紅茶が運ばれてくる。
「味しい……」
お気にりのタージリンの味をゆったりと味わって一息。
(すっかり、私の好みに合わせたものが出るようになったなあ……)
そんな事を思いながら笑みを溢していると、いつもよりワントーン低い聲が隣からかけられた。
「メリサの処遇についてだが……」
一週間前、アメリアを襲撃した元侍のメリサについて。
ローガンが、重たそうに口を開いた。
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冰の令嬢ヒストリカが幸せになるまで〜「のくせに出しゃばり過ぎだ」と婚約破棄された子爵令嬢は、醜悪公爵の病気を治し溺されるようになったので毎日が幸せです〜
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