《【書籍化!】【最強ギフトで領地経営スローライフ】ハズレギフトと実家追放されましたが、『見るだけでどんな魔法でもコピー』できるので辺境開拓していたら…伝説の村が出來ていた~うちの村人、剣聖より強くね?~》第87話 大英雄の名は伊達ではなかった

――時はし戻る。

メルキス達が北門でモンスターの群れを撃破していたころ。

街の南門付近もまたモンスターの襲撃によりパニックになっていた。

こちらはメタルアームグリズリー1が暴れている。

「ぐあああ!!」

メタルアームグリズリーが腕を振るうたび、冒険者がに纏った鎧ごと吹き飛ぶ。生きてはいるが皆立ち上がれない程のダメージだ。

「誰かあいつを止めろー!」

メタルアームグリズリーに弓矢が殺到するが、ものともせず突進していく。商店街へ侵し、街の中心へと向かっていく。

商店街の反対側から、ポケットに手を突っ込んだカノンが歩いてくる。

両者の間合いが接。メタルアームグリズリーが腕を振るう。

カノンは、手をポケットにれたまま屈んで回避する。

グリズリーは連続攻撃を仕掛ける。薙ぎ払い、薙ぎ払い、噛みつき、そして當たり。

カノンはそれを全てを鮮やかにかわす。余裕の笑みさえ浮かべていた。

「おお、あの子すごいぞ!」

逃げ遅れていた商店街に店を構える店主たちがざわめく。

メタルアームグリズリーが息が上がってきが鈍る。その隙に、カノンが大きく後ろに飛ぶ。著地したのは、駆け出し冒険者向けの武店の前だった。

カノンは店の商品の剣を一本手に取る。

「ねぇおっちゃん、あのクマ倒してあげるからこの剣くれない?」

「アイツをなんとかしてくれるならそんな剣くらいいくらでもやるよ! だけど、ウチで扱ってる駆け出し向けの剣なんかじゃあんないモンスター傷一つつけられねぇぞ!」

「オッチャン、剣の切れ味なんてね、使い手の腕次第でいくらでも変わるんだよ」

そう言ってカノンは水平に剣を構える。

メタルアームグリズリーが突進して腕を振るう。タイミングを合わせて、カノンが薙ぎ払いを繰り出す。

“キイイイイィン!”

グリズリーとカノンの攻撃が錯する。甲高い音が商店街に響いた。

そしてアーマードグリズリーは……

無傷だった。

金屬沢を放つ裝甲には傷ひとつない。勿論、部が破壊されていたりするというようなこともない。

一方のカノンの剣は、刃こぼれして使いにならなくなっていた

「あちゃー、やっぱこんな安の剣じゃダメだわ」

カノンは剣を道端に放り捨てる。

「え? さっき、剣の切れ味は使い手の腕で変わるとか言ってたじゃないか!」

「あれはノリで言ってみただけ。アタシ、剣の使い方とか全然知らんし」

「さっきの自信はなんだったんだ! その剣でモンスターを倒すって言ったじゃないか!」

店主が怒鳴る。

“グオオオオオ!!”

再びアーマードグリズリーが襲いかかる。兇悪な輝きを宿した5本の爪がカノンに迫る。

「オッチャン、アタシは“剣で”コイツを倒すなんて一つも言ってないけど?」

“パシン”

カノンが、片腕でアーマードグリズリーの腕をけ止めた。

どころか。

“バキバキバキバキッ”

カノンがアーマードグリズリーの腕を裝甲ごと握りつぶす。

「なんだ、なんだあの力は……!?」

周りで見ている群衆は、目の前の景に理解が追いついていない。

「そらよっ!」

カノンが予備作なくアーマードグリズリーを蹴り上げる。それだけで、アーマードグリズリーの巨が放線を描いて空高く舞う。

アーマードグリズリーが地面に落ちる寸前。カノンが腰を落として拳を構える。

――そして、消えた。だれも、早すぎて目で捉えられなかったのだ。

カノンは數十メートル離れていたアーマードグリズリーに一瞬で間合いを詰め、拳を放つ。

“ドン!!!!”

音の衝撃が商店街中に響く。

メタルアームグリズリーの巨が吹っ飛んでいく。商店街を抜けて、まだ勢いは止まらない。

“ギャリリリリリリ!!”

金屬の甲殻と道のレンガがで火花を上げる。広場中央の石像にぶつかって砕して、そこでようやく停止した。

メタルアームグリズリーのには、大が開いていた。

「はい、一丁上がり! 大英雄カノン様の勝利だ!」

カノンが右拳を突き上げて高らかに宣言する。英雄カノンという名乗りを疑うものは誰も居なかった。

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