《【完結】悪と呼ばれたもと王妃はもうも結婚もコリゴリなのです》ディエゴ來訪
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◇
それから毎日ディエゴはやってきた。
夜中にうるさくはできないとは言っても気配を消せる能力があるので手を繋いでおけば侍に見つかる恐れはない。
手を繋ぎっぱなしにするというのも抵抗はあったけれど、ディエゴなら大丈夫だという勝手な安心があった。
「あの薬の正が分かった。デーゼという植のから取ったものでカンディアナでしか取れないものだ。遅効の毒を有していて、知らないうちにに蓄積され、風邪のような癥狀から悪化して3年ほどで死に至る。まさにアルフォンソ王の死に様そのものだな。カンディアナでしか知られていないし忌の薬だからその効能は醫師ですら他國では知るものがいないようだ。」
「デーゼ?聞いたことないですわ。」
「だろうな。俺も知らないくらいだからな。あのときシナモンのような獨特の香りが漂っていただろう?王宮だから誰かの趣味の悪いコロンかとも思っていたが、デーゼのにおいのようだ。わざわざ危険な王宮で取引したのはおそらくその匂いのためだろう。舞踏會場なら趣味の悪いオーデコロンで済ませられるからな。」
「そういうことですか…。摂取したものを無害に分解する方法はないのでしょうか?」
「それがわからない。カンディアナに行けばどこかにわかる書はあるだろうが…古代カンディアナ語まで読めはしないだろう?」
「そうですわね…」
けれど今この瞬間にもあの薬は國王陛下の晩餐にかに混されていてもおかしくはない。
そうだわ。
マチルダ!
「ミラージェス伯爵をご存知ですか?」
ディエゴはし考えて、
「薬師か?」
と言った。
やはりなんでも調べてるのね…。
「伯爵家の令嬢のマチルダと流があるんです。さりげなく聞いてみようかしら。」
「ああ。なんとか調べてみろ。俺ができるのはここまでだ。他國の王のことまで口出しはできない。この本をやる。ここにしだけデーゼのことが書いてある。」
ミルアーの醫學本だった。ガーディアンでは見られない貴重なものだ。
「ありがとうございます。」
「明日俺はミルアーに戻る。しばらくこちらには來れないから、明日は公爵に挨拶しておこう。」
「は?」
「今日のうちに先駆けは送ってある。これから先お前と流するのに公爵には挨拶しておく方がやりやすいからな。」
そう言って帰って行った翌日、朝から帰る前に寄ったのだとディエゴがやってきてキャロライナは大慌てで侍に指示を出している。
「まあどうしましょう。ミルアーの皇太子殿下よ。ファビちゃん!」
「姉様…僕はこれで大丈夫かな?」
アランも挨拶をすることになっているようで、ジーニアもソワソワしていた。
そうしてやってきたディエゴは昨日までの夜中に來ていたラフなものとは違い、上質の生地を使ったミルアーの公服である軍服を著ていた。
立ち居振る舞いや所作はしく、やはり皇族なのだなと思う。
「今日は公爵にお願いがあってうかがった。」
まずは公爵とディエゴが2人だけで話をするようだ。
「はい。どういったことでございましょう。」
「ファビア嬢との文通を認めていただきたい。」
「はい?文通ですか?」
ジーニアはし拍子抜けしてしまった。
「はい。実は先の舞踏會でエスコートさせていただいたのだが、とても楽しくてね。どうやら共通の話題が多いようだからこの先も令嬢と流を持ちたいと思ったのだ。」
「娘がお気に召されたと。」
「まあも蓋もない言い方をすればそうだね。わたしもミルアーからそう簡単に出られないものでね。せめて文通をと思ったのだ。」
「それは…娘がいいならわたしは何も言いますまい。あの子はし男勝りですが、よろしいのですか?」
「ああ。とても、楽しいよ。公爵。」
この時ジーニアはファビアの剣の師匠はディエゴ絡みなのだと理解したのだった。
「あの子はこの國の國王陛下からもぜひにと匂わされています。その辺りのこともおわかりですかな?」
やはり…そうだったのだな。
國王が推しているのか…。
だからレイナルド王太子は仕方なくファビアをパートナーにったのか?
いや…そうは思えない。
「それは初耳だ。だがかまわない。わたしはただ文通がしたいだけだからな。今のところは。」
「わかりました。殿下。それはそうと…うちにおります長男にぜひ指南をつけてやってくださいませ。」
嫌とは言えない。
ディエゴは張の面持ちで待つアランにしだけ剣たるものを説明しているとファビアがやってきた。
「ようこそ。我が家へ。」
「ああ。アランはお前が教えてやれ。コイツは剣を降りおろす時の肩の開きが早すぎる。これさえ治せば剣士としては問題ない。」
アランははじめて會った帝國の皇太子殿下があまりにも形でさらに剣の腕が素晴らしすぎて目がキラキラしている。
「わたしがですか?父がいいというとは思えませんけれど…。」
ジーニアを見ると、困ったという顔で額に手を置きそして、コクコクとうなづいた。
「ええ。いずれはは認めねばならぬことでした。」
「ならば2人してアランドロのところへ通えば良い。剣を磨くならそれが1番早い。」
「はい。そういたします。」
こうして、ファビアは大きな顔をしてアランドロのところに通えることになったのだった。
「手紙は全てアランドロを通せ。」
最後に帰る時、ディエゴはコソッとファビアにつぶやいた。
「まあ、普通に送っていいのは俺に対する文だけだ。」
ニヤリと笑ったディエゴを見てファビアは
「まあ。」
と顔を赤らめたのだった。
「そんなの。書くわけ…ないじゃない…」
ディエゴが笑いながらミルアーへ帰った後、ファビアは靜かになった部屋で夜中に一人で呟いたのだった。
「さみしくなんか…ないんだからね。」
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