《社畜と哀しい令嬢》迷い
視點が玲奈に切り替わります。
『父親を……その家を捨ててほしいの』
智子さんにそう言われてからずっと私は考えていた。揺する私に智子さんは返事を急かさなかった。
學校で授業をけている時もお稽古事をしている時も、その事が常に頭の片隅にあった。
(あの人を捨てたら私はどこに行くんだろう)
私の帰る場所は誰もいない離れの建だけだ。
仮に智子さんの言葉どうりあの人を捨てたとしても、私に居場所なんてない。帰る家など無い。
智子さんがそれについてどう思っているのか私にはわからない。
それでも分かるのは、畫面越しの他人相手に住む家まで提供するなんてあり得ないという事だ。
私の置かれた環境がおかしいのだと智子さんは言っていた。
私も鷹司家の人達と出逢い、智子さんの話を聞く事でそれをじていた。
いつもどこかで自分が悪いのだと思っていたが、それが間違いだと言われてホッとした。
けれど、間違いだとして。
私になにができるのだろう。
懸命に努力しても無意味なのだと言われたら出口は見つからない。
「おい、宮森」
鬱々と考えていると、誰かに呼ばれて私は顔を上げた。そうしてうんざりする。
同級生の能見健がこちらを睨みつけていたからだ。
彼は績優秀なスポーツマンで、子からはとても人気のある生徒だ。顔も良い、といつも誰かが噂している。
けれど私にとっては、彼も、その他のメンバーも厄介で面倒な相手だった。
そう、その他のメンバー。
腹違いの妹、里の事が好きで、いつも気を配っている「親衛隊」のメンバーだ。
里はとても可い。顔も仕草もとても可い。
學校では私にするような剣呑な顔は見せたりはしない。それどころか、いつも怯えたように私から逃げているのだ。
里は學校では私に家でめられているのだと吹聴しており、私は格の悪い姉だと広まっていた。
それでも里は子からは嫌われているため、子からは直接何かを言われた事はない。
しかし男子は違う。この里の信奉者達は、事あるごとに私に因縁をつけてくる。
「なんでしょうか」
「お前、また里の私を壊したんだってな。いい加減にしろよ」
「覚えがありません。私は學校が終わればお稽古事がありますし、里の相手をしている余裕はないんです」
私の返答が気にらないのか、彼は忌々しそうに私を見遣る。
「ーーそうやっていつも言い逃れか。でもそれも今だけだろ。お前の母親……死んだんだろう?」
無神経な言葉に私はとっさに言葉が出なかった。
「里が縁の妻の娘だから今までげてきたんだろうがもうそれも終わりだよ。殘念だな」
ニヤリと笑った彼に怒りが燃え上がる。
自分の事などどうでもいい。許せない理由は一つだけだ。
「……貴方は私の母親が亡くなって良かったと仰るんですね」
私の返しに能見健は自分の言ったことを自覚したのか、バツの悪そうな表を浮かべる。
「里が幸せになるから、私の母親が苦しみながら亡くなった事が嬉しいのですか」
「そ、そんなつもりじゃー」
「ではどういうつもりなんですか。貴方は一度でも私のお母さまと、お話をした事があるのしょうか。直に話したこともないのに、亡くなって良かったと言えるのは何故ですか。里を信じるのは構いませんが、一方の言葉だけで、會ったこともない人の死をどうこう言う資格なんて誰にもありません」
言いながら気分が悪くなって私は席を立って教室から出た。
予鈴が鳴っているのに教室には戻りたくはなくて、空き教室に忍び込む。
油斷すれば泣きそうで、堪えるようにしゃがみこんだ。
(こんな事で泣いたらダメ……)
このところーー智子さんと話すようになってから、涙腺が弱くなってきている。
毎日のように、私は悪くないのだと、とても頑張り屋で良い子なのだと、私はいつもそれを知ってる、と言ってくれる存在は私の心を軽くさせた。
いつも冗談をえて、私が暗くならないように話をしてくれた。
無神経な言葉には傷付いていいのだと、怒っていいのだと教えてくれた。
「今日のこと智子さんが聞いたらなんと言ってくれるでしょう」
きっと一緒に怒ってくれるはずだ。
そして私には思いもつかない過激なことを言ってくれる。
(智子さんならきっと……)
そこまで思って、唐突に私の心が決まった。
父親を捨てる、と言う事がどういう意味なのかは分からない。
けれど、智子さんが私の事を何も考えずに言ったとは思えない。
私の信頼がしいからと、ゆっくり時間をかけてくれた彼を、私は信じたい。
(今日返事をしよう)
そう決めたらなぜか自分でも驚くほど心が軽くなった。
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