《辺境育ちな猿百合令嬢の憂鬱。〜姉の婚約者に口説かれました。どうやら王都の男どもの目は節らしい〜》(5)我慢も幸せ
こっそりと深呼吸をして、私はにっこりと笑った。
「オクタヴィアお姉様。王都の話はまだまだいっぱい聞きたいです。近いうちに、お姉様の婚約者様とお會いできるのだと聞きましたが、本當ですか?」
「そ、そうだったわ。リリーと會えて嬉しくて、つい余計な話をしてしまったわね。セレイス様は……私の婚約者は、明日この屋敷に來てくれる予定になっているのよ。お父様がいらっしゃらないから、私がしっかりしなければいけないのに。さあ、今日はゆっくり疲れをとりましょう。お湯も用意しているわよ。食事の前にお風呂でさっぱりしていらっしゃい」
し元気になったお姉様は、子供の頃のように、私の手を引いて部屋へと案してくれた。
振り返ると、ほっとした顔のメイドたちが私に向けてグッと親指を立てた。私は間違えなかったらしい。
私のことを見直してくれたなら、それでよしとする。
……でも、サイラム先生の顔がまだ赤い気がする。旅疲れで熱でも出ているのかな?
うーん、先生は男の人だけど、私ほどが頑丈じゃなさそうなんだよね。大丈夫かなぁ……。
……まあ、いいか。
私はお姉様を見上げる。二年ぶりにお會いしたお姉様は、私の視線に気付くとふわっと笑い返してくれた。
うん、やっぱりお姉さまが笑ってくれるのが一番嬉しい。
オクタヴィアお姉様、最高!
十六歳になって、年齢的にドレスは大人と同じ裾丈になってしまったのが悩みだったけれど、お姉様が選んでくれるのなら、どんなズルズルしたドレスだって我慢する。
そうだよ、お姉様が喜んでくれるなら、どんな我慢も幸せになると思う!
◇◇◇
気合十分だった私は、ぐっすり眠った翌日、ドレスを前にし慄いていた。
メイドたちが用意してくれているのは、可らしい合いの、とてもしいドレスだった。
全は淡いアプリコットで、近寄ると同じの糸の刺繍が見えるという贅沢な仕様。襟と袖口の赤い飾りリボンが可らしく、同時に全の印象を引き締めている。
大人になる直前の、十代半ばの年若い令嬢を引き立てる素晴らしいデザインだ。
私も見惚れた。可いし、きれいだし、十五歳くらいの細のの子なら絶対に似合うだろう。素晴らしいと思うけれど……これ、私が著るの?
いや、見た目は系な私だから、こういうドレスは絶対に似合うとは思うけれど。
著るのは私だよ?
領地では「猿百合令嬢」と笑いを堪えながら呼ばれていた私だよっ!?
……なんてことを、いろいろ考えて直している間に、慣れたメイドたちは、私が大人しいうちにサクサク著付けを進めていた。我に返った時にはドレスに袖を通していて、あっという間に可らしい令嬢が出來上がってしまった。
呆然としたまま鏡の前に連れていかれると、待ち構えていたお姉様がパァッと顔を輝かせた。
「思った通り、そのはリリーによく似合うわ! この布を見たときに、絶対にリリー用にドレスを作って著せてあげたかったの。本當にかわいいわね。でもリリーはもう十六歳だから、もうし大人っぽくしてみようかしら。誰か、私の赤い石がついた小さなイヤリングを持ってきて。揃いのネックレスもしいわね。私にはもう似合わなくなったけれど、リリーには似合うと思うのよ」
「それは良いお考えです」
王都の屋敷付きのメイドが、素早くイヤリングを持ってきた。
その間に私の白い髪は耳の橫だけ軽く編み込まれていた。背中には殘りの髪をそのまま髪を垂らしている。
まだ呆然と鏡を見ていると、編み込みを飾るようにオレンジの生花が髪に差し込まれた。最後に、運ばれてきたイヤリングとネックレスを付けて出來上がりだ。
「とてもよく似合っているわよ」
ネックレスをつけてくれたオクタヴィアお姉様は、とても満足そうに離れた。
鏡に映っているのは、お花そのもののような。我ながら可らしい仕上がりだ。味がなくて貧相な白い髪が、こんなにもきれいに見えたことはなかったんじゃないかな。
目に生気がないのが、致命的に惜しい。
あと、顔の表も死にかけている。……しっかりするんだ、私。
でもお姉様もオレンジの花を髪に飾ったのを見て、し元気が戻ってきた。
オクタヴィアお姉様とお揃いなのは純粋に嬉しいし、同じ花なのに與える印象が全く違うのも見ていてたのしくなる。
私が素直にしていると、お姉様はし驚いた顔をして、でもすぐに優しい笑顔を浮かべてくれた。
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