《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》31

次の日、クーリアはサラよりも早く目が覚めた。

クーリアはパン屋を手伝っているため、比較的早起きなのだ。

「まだ寢てる…」

サラは隣で睡中だ。クーリアはそのほっぺをつついてみた。

「んふぅ…」

「ふふっ」

サラが吐息のような聲を出し、クーリアは思わず笑ってしまった。

それでも一向に起きる気配がしないので、クーリアは起こさないよう1人でベットから抜け出した。

「んんー…」

大きく上にびをする。

(いい天気だなぁ…)

窓から見えるのは真っ青な空。曇りない、いい天気だ。

窓からを乗り出し、深呼吸をしてから、クーリアは昨日著ていた自分の服に著替えた。といっても、學園の制服なのだが。

「ふわぁ……あれ、おはよう」

「おはよう、サラ」

サラが眠そうな目をり、ベットから起き上がった。

「早いのね…」

「そうでもないよ」

今日はパン屋を手伝う必要がないので、ちょっとだけ長く寢ていたのだ。

「あれ、クー、制服なの?」

「それ以外ないじゃない」

「それならあげるのに…」

「ケッコウデス」

ただでさえ高い寢間著を貰うことになっているのだ。それ以上貰うつもりはない。

「遠慮しなくても……」

「いいの。それより、早く著替えないの?」

「あ、ごめん」

サラが著替え始める。サラは貴族ではあるが、別にドレスを著る訳でもないので、自分だけで著替えを終えた。クーリアと同じ制服だ。

「これならクーと一緒ね」

サラはクーリアが居心地悪い思いをしないために、制服を著たのだった。

「サラ…」

「ほら、いくよ」

サラは照れ隠しのようにクーリアの手を引き、寢室を後にした。

味しい?」

「うん、とっても」

朝食も夕食と同じく、クーリアが普段食べるものより豪華であった。しかし、そこまで高価な食材は使っていない。だが、栄養バランスまでよく考えられていた。ひとえに料理人の腕のおであろう。

「クー、昨日の約束覚えてるよね?」

「あぁ…覚えてるけど、その前にあ(・)れ(・)読んでいい?」

あれ、とは無屬の魔法書である。

昨日の約束。模擬戦をするにしても、どうせなら魔法書から得たことを使ってみたかったのだ。

「うーん……まぁ、そっちのほうが後で手応えありそうだし、いいよ」

「やった!」

ある程度は理解できていたが、それでも完璧ではない。理解が完璧でなければ、何が起こるかわかったものでは無い。なのでクーリアは、しっかりと理解しておきたかったのだ。

クーリアとサラは急いで朝食を食べ終わると、書庫へと向かうのだった。

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