《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》32

クーリアは書庫にるなり、すぐさま機の上にあった無屬の魔法書を開いた。

「相変わらずねぇ…」

サラがその姿を見て苦笑を浮かべていたが、クーリアは気にも止めていない。

そして昨日飛ばし読みした箇所を重點的に読み返し、昨日の容、自の考察などをまとめて、今度こそ正確に理解した。

その無屬の魔法書からクーリアが理解したこと。それは、無屬の本質だった。

無屬とは、"無"を司る屬。つまり、音、、熱、魔法、さらには……時間まで。その全てを"無"にすること。それこそが、無屬の本質であった。

「そっか…」

「當たり前みたいに理解してるけど、わたしそれ理解するのものすごく時間かかったのよ?」

それはそうだろう。無とはとても曖昧で、定義しにくいものだ。だが、クーリアはそれを一瞬で理解した。しかし、実はクーリアは、自分の理論だけでその手前まで理解していた。それゆえに理解したという訳ではなく、確信が持てた、というだけだったりするが…それを言う必要はない。

「よし。疑問も解決!」

「疑問?」

「うん。ちょっとね」

疑問とは、長距離転移のことだ。

無屬の魔法書には、その事について記述があった。

それは、『長距離転移は、魔法制と魔力制が高く、かつ、転移するイメージが大切になる』というものであった。

だが、これはクーリアが以前本で読んだ容と同じだ。

(問題は、イメージだった訳だ)

転移するイメージ。それは、距離を"める"ということだと、魔法書には記されていた。だが、クーリアが以前読んだ本にはそのことが記されていなかった。

そのため、クーリアは自分で勝手にイメージしたのだが…どうやらそれが長距離転移の鍵であったらしい。

クーリアがイメージしたこと。それは……

──時間と距離を"無"にする。というものだった。

もとより、無屬の本質が無にすることであると気づいていたからこそ、クーリアはこのイメージにたどり著けたのだ。

そしてこのイメージこそが、長距離転移の要なのだろう。と、クーリアは結論付けた。

(まぁそれだけじゃ無理みたいだけど)

クーリアが長距離転移を使えた訳は、実の所他にもあったのだが…今それは置いておこう。

「じゃあやりましょ!」

「わ、分かったから!」

クーリアはサラに引っ張られ、書庫を後にした。書庫にいたのは、時間にして、およそ10分ほどだった…。

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