《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》33

クーリア達が向かったのは、だだっ広い中庭だった。

「ここでやるの?大丈夫なの?」

クーリアが心配するのも無理はない。なぜなら、これからやる模擬戦とは、魔法やなど、なんでもありのものだからだ。

「大丈夫よ。ここは魔法結界張ってあるから」

「それなら大丈夫…?」

魔法結界とは、魔法のみを防する結界だ。

結界にはもうひとつ、理のみを防ぐ結界が存在し、それを両立した結界も存在するが、そちらは消費する魔力が馬鹿にならないので、基本どちらかに特化した結界が使われる。

「じゃあやるわよ!《エアバレット》!」

「えぇ!?ちょっとまって!?」

いきなり魔法が飛んできたことに驚きつつも、クーリアはその魔法を橫っ飛びでかわした。

「まだまだ!並列!《ファイヤーボール》《エアバレット》!」

「2屬!?」

クーリアが驚きの聲をあげる。2屬の魔法を並列して行使するのは、とんでもなく難しい。學園でも、できる人は數える程しかいない。

ファイヤーボールの後ろをエアバレットが追隨するが、エアバレットのほうが速いので追いつく。その結果、ファイヤーボールの威力が増し、スピードも増してクーリアへと襲いかかった。

「っ!」

クーリアが慌てて魔力の塊をぶつけるが、それでも勢いは止まらない。

「《防》」

クーリアが短くそう呟くと、目の前に明な壁が現れる。

ファイヤーボールはその壁に衝突し、消滅した。

「危なかった…」

「その割に慌ててないと思うけど…」

それはそうだろう。いちいち魔力の塊をぶつけなくても、防魔法を使えば防げたのは分かっていたのだから。

「じゃあ…並列。《ファイヤーボール》《ウォーターボール》!」

2つの相反する魔法がぶつかり、水蒸気が発生した。

「なるほど…」

視界を奪われつつも、クーリアは落ち著いていた。なぜなら魔力を薄く広げたことで位置は把握できていたからだ。

(でもサラはそれも分かってるはず…なら)

クーリアは目を閉じ、意識を集中する。

反応は1つ………いや、2つ。

(なるほどね。よく考えてる)

おそらくどちらかがダミー。

このクーリアの索敵方法にはひとつ弱點があり、それは魔力に反応することだった。

人は全員微力ながらも魔力を持つため、それをクーリアは利用している。だが、その結果魔法に含まれる魔力にも反応してしまうのだ。

今回の場合、おそらく一方の反応は魔法だろう。

「…でも、ざんねん」

「きゃ!?」

後ろから襲ってきたサラを魔力の塊で吹き飛ばした。極力魔力を抑え、気配を殺して近づいてきていたが、クーリアが集中した狀態ならば、位置を把握するなど造作もない。

さらに言えば、反応が強いほうはほとんどいておらず、そのことからダミーと判斷できた。

「はい。私の勝ち」

「うぅー!」

模擬戦のルールは、どちらかが1回でも攻撃を當てること。サラがクーリアの攻撃をけたので、ここまでだ。

「なんでぇ?」

「魔法で誤魔化すのは上手いと思ったけど、それがかなかったら気づくよ」

「でもわたし、魔力抑えたよ?それでもなんで気づくのぉ!!」

その言葉にクーリアは苦笑を浮かべるのみだった。

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