《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》34

模擬戦を終え、クーリア達は汗を流すためお風呂にっていた。

「ほんとどうして勝てないのよぉ…」

「サラだって頑張ってるよ。2屬の並列なんてできるようになってるし」

「それでも勝てなかったもん…」

そんな落ち込むサラの様子を見て、クーリアがくすくすと笑い出した。

「なんで笑うの?!」

「ごめんごめん。だってサラが可かったから」

そう言われて、サラの顔が赤く火照った。

「…クーの意地悪」

「なんでそうなるの!?」

騒がしくなりつつも、お風呂から出るときには、サラの顔に笑顔が戻っていた。

「あ、そうだ。クー、ちょっと言わないといけないことがあるんだけど…」

「なぁに?」

「…お父様が帰ってくるって」

その言葉を聞いた瞬間、クーリアの顔から表が抜け落ちた。

「帰る」

「いやだから待って!?ちゃんと仲直りしよ!?」

「いーやー!帰る!」

サラがクーリアの腕を摑み、逃がすまいとする。

「そこまで嫌うことないでしょう!?小(・)さ(・)い(・)って言われただけ……あ」

サラが手で口を押さえた。

……そう。いまでもそれをクーリアはに持っているのだ。何気なく言った「小さい」という言葉を…

「………」

「ご、ごめん…で、でも、お父様に悪気は無かったんだよ?」

「………分かってる」

クーリアも分かっているのだ。だが、ここまで來てしまい、許す機會を失ってしまっていたのだ。

「じゃあ…」

「…うん。會うよ」

その言葉を聞き、サラが隠れてガッツポーズをした。まだ會うと言っただけなのに、気が早い。

「ここよ。大丈夫?」

サラがある部屋の扉の前で立ち止まる。

「大丈夫…うん」

まるで自分に言い聞かせるように呟いた。

そしてサラが扉を開き───

「すいませんでした!」

「すまなかった!」

お互いの聲が重なった。もちろんその聲はクーリアと……サラの父親の聲だ。

2人して同時に謝り、頭を下げていた。

「………」

しばらく沈黙が訪れる。

その沈黙を破ったのは……クーリアだった。

「すいませんでした…いつまでも避けて…」

「いやいいのだ。こちらに非があったのだから…」

そしてまたしても2人して頭を下げる。これではいつまでも進みそうにない。

「はいはい。じゃあこれで仲直りはおしまい」

その様子をみかねて、サラがパンパンと手を叩き、いつまでも続きそうな謝り合いを終了させた。

「クー、もういいでしょ?」

「うん……」

もとより怒る気持ちなどとうの昔に無くなっていた。今ではそんなことに怒った恥ずかしさがあるだけだ。

「…世間話でも、しないか?」

「…はい。喜んで」

クーリアがサラの父親の顔をみて、笑みを浮かべながら答えた。

それを見てサラは安堵していた……が、

「ほう。サラがそんなことを…」

「はい。それに私の悪口を言っていた男子を蹴り飛ばしたり…」

「もうやめてぇーーー!!」

クーリアに、々と父親に隠していたこと、またはクーリアにバレていないと思っていたことが、実は気づかれていたことなどを暴され 、サラは恥心で燃え盡きたのだった…。

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