《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》41※

クーが去り、わたしはヴィクター達と共に食堂へと向かった。

行ってみると、予想はしてたけどかなりの人數がいた。まぁ席はあるから問題無さそうかな。

「違反行為って何したんだろう?」

「さぁ?」

「なんか騎士を連れてたらしいぞ」

席につくと、そこかしこからチラホラとそんな會話が聞こえてきた。

「騎士を?よくバレなかったね」

「まぁそれは思う。それの調査のためにも今日は帰れってことなんだろうなぁ」

その予想は合っている。今回違反行為を行ったのは、爵位としては子爵家の次男だったらしい。

子爵家の次男ごときがこの対抗戦の會場……フィールドに騎士を連れてはいるなんて考えにくい。だからこその調査。

……まぁクーと私は薄々気づいているんだけどね。

「もー!とにかくムカつくから発する!」

「なんでムカつくから発なんだ……」

「……やけ食い?」

そんな會話をし、結局イルミーナはAセットを買っていた。あれ、結構高いんだけどなぁ…。

正直お金に心配はないんだけど、できるなら節約したいから、そこそこの値段のBセットを頼んだ。

「むぐむぐ……んん!!」

唐突にイルミーナが苦しそうにする。どうし……あぁ、に詰まったのか。

「全く……ほれ」

ヴィクターがイルミーナに水を差し出す。

それを勢い良く飲み干した。

「ぷはぁ!はぁはぁ…死ぬかと思った」

「案外人ってそう言ってるうちは死なないらしいわよ」

これはクーのけ売りだ。なんというか……クーが言うとどことなく説得があるのよねぇ…。ほんと不思議だわ。

「この後どうするんだ?作戦會議でもするか?」

クーが居ないから、全員いる訳では無い。普通のチームは全員居なかったら作戦會議なんてしないだろう。

だけどねぇ……クーに作戦會議は必要ないのよね。基本かないし。どんなことがあっても対応するし。

本人は面倒くさそうにしてるけど、言われたことはちゃんとやるのよね。

「ボクはやりたい」

「わたしはパス。用事が後であるのよね」

「そうか。ならイルミーナと作戦會議して、明日すり合わせするか」

「ええ。決勝だからその辺しっかりして貰えると嬉しいわね」

無いけど、もう決勝なのよね。

……クーのやる気出させるために何か用意しとかないといけないかなぁ…。

「じゃあね。また明日」

「ああ。じゃあな」

「バイバーイ!」

ヴィクターとイルミーナに手を振り、わたしは門から出て家に……は行かない。學園にUターンして、職員室へと向かう。

そして職員室…の近くにある、會議室の扉の前に立ち、ノックする。

「誰だ?」

「サラです」

れ」

許可が出たので中にる。會議室の奧の椅子にはお父様が座っていた。それと、學園長も。

「まぁ來てもらう必要はほぼなかったんだが…」

「……確かにそうですね……」

何せ學園長がいるのだ。狀況説明は學園長のほうが適任だろう。なんて言ったって、あの監視の魔道を作った張本人だし。

「とりあえず、こっちに。あとこれ」

お父様から仮面を渡される。顔を隠すためにね。

その渡された仮面をにつけ、空いている席に座る。そしてお父様がある人を呼んだ。

「失禮します」

一言ことわって會議室にってきたのは……メンティス・マルコスという人。この學園の教師で……クーがGクラスに編される原因となった人

「何故ここに呼ばれたか、分かるか?」

お父様がメンティスを睨みつけるように尋ねる。

「わ、分かりません…」

「そうか。なら、単刀直に言おう。お前、今回の不正に手を貸したな」

「なっ!?」

「証拠も上がってるぞ。お前が賄賂をけ取っていたという証拠がな」

「ば、馬鹿な!?」

その反応はもはや肯定していると同義だ。

「今回被害は無かった。が、次回はない。しばらく謹慎しておれ。以上だ」

被害、つまり生徒に怪我が無かった。これでもし生徒が怪我をしていたなら、子爵家から勘當されただろう。未來ある子供達を危険な目に合わせたのだから當然の報いね。

メンティスは悔しそうに顔を歪めてから、會議室を出ていった。

うーん。クーに話す必要は……ないかな。わざわざ教える必要はないでしょう。

「サラはもう帰っていいぞ」

「はい。では失禮します」

せっかくだから、帰ってからクーに魔道で連絡して、世間話でもしようかな。

「クソっ!!なんで、なんでこんなことに……あいつの、あいつのせいだ。全て、あいつの……っ!」

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