《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》49

「だからわたしは……手にれる。その力をな!」

狂っているとしか思えなかった。たが、本気でやろうとしているようだ。

クーリアはの危険をじ、魔法を使って逃げようとする。

………だが、クーリアが魔法を使おうと魔力を放出した瞬間、首に放出した魔力が全て吸収されてしまった。

「えっ!?」

「無駄だよ。それは魔封じの首なのだからね」

魔封じの首。それは主に奴隷に付けられるものだ。魔法の魔力を吸収し、魔法を使えなくするもの。

魔法を使えない狀態ならば、クーリアがここから逃げることは不可能に近い……いや、不可能だ。

(どうしよう…どうしたら…)

クーリアは必死でここから逃げるを模索する。通信を使おうとするが、耳に無くなっていることに気付く。

「探しているのはこれか?」

メンティスが目の前でチラつかせたのは、クーリアの通信であるイヤリング。否、イヤリングだ(・)っ(・)た(・)もの。水晶は砕け散り、金は折れ曲がって原型を留めてはいなかった。

クーリアは思わずを噛む。口の中に鉄の味が広がる。

「そうだ。その顔だ。わたしはその顔が見たかったんだよ!」

もうメンティスは完全に常軌を逸しているとしか思えなかった。人の所業ではない。

「どうやって…」

力を手にれる…それは、クーリアから無屬の適を取り出し、自分のにするということだろう。だが、そんな方法をクーリアは知らない。

「ははっ!知りたいか?なら下を見ればいい」

言われた通りクーリアは下を見る。そこまで下を向くことは出來なかったが、それでも目にった。

「魔法…陣」

地面に書かれていたもの。それは魔法陣だった。クーリアを中心とした、半徑だけでも3メートルはあろうかと言う巨大な魔法陣。

「さぁ、始めよう」

メンティスがクーリアの下にある魔法陣とよく似たもう1つの魔法陣の上に立つ。メンティスの言葉に呼応するように、2つの魔法陣が出した。

「うっ!ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

クーリアが悲鳴を上げる。

が痛い。

何かを引きちぎろうとする覚。それはとても耐え難い痛み。から、剝がしてはいけないなにかが、しずつ剝がされていく。

「い、いやぁ!」

クーリアは必死で抵抗しようとする。だが、著実に剝がれていくのが分かる。

……しかし、クーリアは同時にが軽くなるような錯覚を覚えた。

嫌なはずだ。痛いはずだ。苦しいはずだ。はず、なのに……なぜか楽になるような気がした。

(もうこのまま任せたほうがいいのかな…… )

そう思い、クーリアが諦めかけたその時。ドガァァァン!という轟音と共に、クーリアへとがさした。

「な、なんだ!?」

クーリアが諦めて閉じていた目を開く。するとそこには……

「……リーヴォ?」

「ワゥ!」

嬉しそうに尾を振る、リーヴォが立っていた。

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