《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》131※[完]
「そういうもんなんだねぇ…はぁぁ……」
突然ぐでぇっとお姉ちゃんがもたれかかってきた。
「ど、どうしたの?」
「疲れた…」
先程のお姉ちゃんの魔法はわたしの魔力を使っていた。自分のでは無い魔力をかすのは高い集中力を要すると聞いているので、おそらくその影響だろう。
「じゃあ帰ろっか。仕事はこれでお終いだから」
本當は何かあった時のために、する事が無くとも常駐しておく必要がある。でもそうそう何かが起こるようなことは無いし、あったとしても魔導で直ぐに連絡が付くので問題無いだろう。
「ちょっと待って…小さくする(・・・・・)」
そう言うと、ポンッ! とお姉ちゃんのが小さくなり、わたしの頭の上への乗っかる。
お姉ちゃんのは魔力で構されているので、こういったの変化も容易なのだ。
「こっちの方が楽…」
を維持する為にも魔力を作する必要があり、大きいほど疲れるらしい。
「ふふっ、お疲れ様。ありがとね、手伝ってくれたり、魔導直したり」
お姉ちゃんを頭の上に乗せたまま、地下室を出る途中でそう聲をかける。
「それくらいしか、もう出來ないからね…」
會話を楽しみながら買いしたり、旅行したりすることは、今のお姉ちゃんの狀態では難しい。
お姉ちゃんの知り合いが居ないような遠くへ行けば大丈夫そうだが、墮ちた霊の影響でれてしまった環境を治す為に、お姉ちゃんは暫くの間ここを離れられないそうなので不可能だ。それにわたしも忙しい。
「わたしは、またこうしてお姉ちゃんと話せるだけで嬉しいよ」
報は伝える人が多いほど洩しやすくなる。だからこそ、家族にすらお姉ちゃんのことは伝えていない。そんな狀態だから、わたしにとってはこうして話せているだけでも嬉しいのだ。
「…そっか。…話すべき、なのかな…」
「わたしはどっちでもいいと思うよ。…お兄ちゃんは…ちょっと危険かもだけど」
「…うん、否定できないね」
口をらせそうで怖い。
「あ、ここからは念話で」
「分かった」
外でお姉ちゃんとの會話が誰かに聞かれる恐れがある場合は、念話…という名の、お姉ちゃんがわたしの心を読んで返事をすることになっている。霊の力のひとつらしい。
(今日何か食べたいものとかある?)
「うーん……じゃあ串焼き」
お姉ちゃんは基本食べる必要は無いが、食べられないこともないのだ。
(じゃあこのまま買いに行こっか。お姉ちゃんの好きなところの串焼き)
「やった!」
あぁ…今の喜ぶお姉ちゃん見たい。凄く見たい。
「……リーフって結構重度のシスコンだよね」
(それお姉ちゃんに言われたくない)
お姉ちゃんも十分わたしのこと好きだと思うの。
「それは否定しないけど、このままじゃ……まぁ、いっか」
お姉ちゃんが何を口走ろうとしたのは聞かないでおく。いや聞きたくない。
「お姉ちゃん」
「ん?」
「…今、幸せ?」
「もちろん!」
お姉ちゃんとの生活はまだまだ続く。でも、この幸せは、もう二度と手離したくない。
さぁ。明日はお姉ちゃんと、どんなことをしようかな。
『出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ』~完~
ここまで『出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ』を読んで頂き、ありがとうございます。作者のかぐやと申します。
合間に書き始めたはずのこの語が、ここまで長く続くとは作者も思っていませんでした。偏にここまで読んでくださった皆様のおかげです。
さて、この語のテーマなのですが……「時間」、です。
時間は記憶であり、思い出だと私は思っています。時間が過ぎれば過ぎるほど、人は思い出を忘れてしまう。それは抗えないことだとしても、せめてこの時だけは、忘れないでいたい。忘れたくない。だってそれは、かけがえのないものだから。
日常はごく當たり前に過ぎ去っていく。
けれど、その時間はかけがえのないもの。
二度とは戻らないと分かっていても。
私たちは、前を向いて歩くのだ。
それはいつも、いつまでも、私たちの心の中にあるから。
ご読、誠にありがとうございました。また別の語でお會い出來ることを、心よりお待ち致しております。
かぐや。
お月様はいつも雨降り
僕の部屋に見知らぬ企業から一體の少女型の人形が送られてきた 人間のように話す僕の過去を知る人形 彼女と出會ったその日を境に 僕の日常は少しずつ変わっていった 多分、それは破滅に向かって
8 106【完結】苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族戀愛~
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下著泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 當たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏 24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以來、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 戀愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を與えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以來、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 表紙畫像 湯弐様 pixiv ID3989101
8 107婚約破棄予定と言われたので透明になって見たら婚約者の本性を知り悩んでいます
侯爵家令嬢の私…イサベル・マリア・キルシュは昔からの親同士の決めた會ったこともない婚約者ニルス・ダーヴィト・シャーヴァン公爵令息様と 16歳の學園入學の際にラーデマッハ學園で初めてお會いすることになる。 しかし彼の態度は酷いものだった。 人混みが嫌いでこの世から消えたいと思い透明薬の研究を進めてついに完成したイサベルは薬で透明になり婚約者の本性を知っていくことに…。
8 116【完結】悪女と呼ばれたもと王妃はもう戀愛も結婚もコリゴリなのです
ガーディアン王國は滅びた。 王妃ファビアのせいで。 王妃として贅の限りを盡くし、國の財を使い果たし、大國であるミルアー帝國に滅ぼされ、愛する夫であるレイナルド王はファビアの目の前で処刑された。 一度もファビアを愛することのなかったレイナルド。 そしてファビアもその後毒に倒れる。 後悔ばかりが押し寄せる死の淵でファビアはひたすら國民に詫びることしかできなかった。 なのに… あら? 何かおかしな女神が、おかしなことを言ってる? なんですって? もう一度人生やり直せですって? こうしてファビアの第二の人生が幕開けた。 今度こそ失敗しないんだから! ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎ ブクマ、★、いいね、感想、ありがとうございます! 勵みにして頑張ります! 誤字脫字の報告もありがとうございます。 ご指摘いただきとてもありがたく思ってます。 2022/9/15 epsode1 〜婚約編 完結しました。 2022/10/1〜 episode 2〜結婚編 始めました。 2022/11/13 後少しで完結です。 公開予約で全部書き終えてます。 2022/11/22 完結しました。 ありがとうございます、 2022/11/25 完結してからたくさんの方に読んでいただきありがとうございます。びっくりしてます。 誤字脫字の訂正。ありがたいです。 自分の文章能力が…(~_~;) いろいろ勉強になります。
8 56家族に売られた令嬢は、化け物公爵の元で溺愛されて幸せです~第二の人生は辺境地でほのぼのスローライフを満喫するので、もう実家には戻りません~
「レーネが売れた! 化け物公爵が娶りたいと言ってきたんだ!」 家族に虐げられていたレーネは、祖母が殘した形見の薬草と共に、化け物と恐れられる獣人、マーベリック公爵の元に嫁ぐことを決意する。 決して不安がないわけではないが、狂気に満ちた笑顔で人の不幸を喜ぶ家族の方が化け物に思えて仕方なかった。 「早く出ていけ。目障りだ」 すでに自分の居場所がないと悟るレーネは、祖母とのある約束を守るため、化け物公爵の元を訪ねる。 しかし、黒い噂が流れる殘虐な公爵様の姿はなく――。 「嬢ちゃん。今は無理せずに休むべきだ」 「無理は良くない、奧方。筋肉が悲鳴を上げている」 屋敷で働く家臣の獣人たちに親切にされ、傷ついた心が癒されていく。 もしかしたら、本當の旦那さまは優しい人かもしれない。 會えない気持ちで思いが募り、妄想という名の戀心が芽生え始めるのだった。 「はぁ~。私の旦那さまはいったいどこに……」 一方その頃、レーネを売り払った家族の元には、なぜか次々に災難が押し寄せてくることになり……? ※この作品は他サイトにも掲載しています。 【無斷転載禁止】小説投稿サイトやYouTubeに載せないでください。
8 153聖女のわたくしと婚約破棄して妹と結婚する? かまいませんが、國の命運が盡きませんか?
リリアベルは、生まれつき身體に百合の紋章を宿した聖女だった。 けれども、人の感情がオーラとして見える特殊能力があるのを、婚約者のアーサー公子からは疎ましく思われている。 「お前とは婚約破棄して、妹のララローズと結婚する!」 華やかな仮面舞踏會の夜、とうとう高らかに宣言される。 その上彼は、聖女の証まで噓だと疑ってきて……? 「今ここでドレスを脫ぎ、印を見せてみろ」 乙女の肌を大衆の目にさらすわけにはいかない。 抵抗するもむなしく、背後から捕えられ、絶體絶命のピンチに――。 「やめろ!」 そこへ、仮面をつけた見知らぬ男性が現れたのだった。 ※2022/11/17異世界戀愛日間ランキング11位・総合日間13位・総合日間完結済4位 応援ありがとうございます。 ※第一部だけでも婚約破棄がテーマの短編としてお楽しみいただけます。 ※第二部は後日談的な位置づけとなります。 ※2022/12/02カクヨム様にダイジェスト版の掲載をしました。
8 145