連日クルセイド侯爵家に通い、新しいドレスを贈ることを約束してヴェルローズの機嫌をとった。

共はやれ流行だ最新だと競うようにドレスを作っているが、1度著ただけで放置するドレスにこんなに金をかけるのが信じられない。無難なで流行等関係の無いドレスをにつけている方が、俺の中では良く思えてくる。

そういえば元婚約者にドレスを贈ったことがあっただろうかと思い悩んだが、まあ今更なので直ぐに考えるのを辭める。

政務に追われていた俺だが、最近は慣れたのか政務も捗り機の上に書類を積み上げる事もなくなっていた。ヴェルローズの手助けも有るのだろうが、俺様が頑張っているのだ。當然の結果だと思う！

余裕もできヴェルローズに新しいドレスを著て夜會に參加したいと可く強請られたので、褒も兼ねて久し振りに王家主催の夜會に2人で參加する事となった。

新しいドレスにご満悅なのか、浮かれたヴェルローズをエスコートして夜會の會場に場する。

ファーストダンスを踴った後いつものメンバーの所に行き報を換しつつ談笑をしていると、ヴェルローズが袖を引っ張ってくる。

「殿下殿下、見てください！綺麗な子が居るんですよ。」

言われた方を見ると、ダンスを楽しそうに笑いながら踴る娘が居た。

重さをじさせずワルツのステップを踏む様子は、水面で踴る妖のようで目を引かれてしまう。

ターンをする度にサラサラした銀の髪が揺れ、今流行だと言われているドレスを著こなして裾を捌いている。顔は作りの様に整っているが、薄い紫の瞳を輝かせ楽しそうに笑っている。

周りも同じ様に魅っているのか、同じ方向を向いて嘆のため息をついている。

丁度ダンスの曲が切れたからか、ダンスを踴っていた2人がドリンクを取りに端に避けて行くのが見えた。妖の様に舞っていた妖姫が気になり、周りに斷りをれてヴェルローズを連れて聲を掛けに行く。

どんどん進むにつれ妖姫は後ろを向いているが男の顔がわかるとし気まずさく思ってしまう、そこに居たのは元婚約者の兄であるエドワード・リデラだった。

向こうからも俺が向かっているのが分かったのか眉間に皺がよる、相変わらず黙って立っていると冷ややかなイメージの付きまとう男だと思う。金の長い髪を後ろでひとつに纏めて、鋭い眼差しは紫でこちらを警戒している様に見える。エドワードには婚約者は居なかったはずだから、妖姫は親戚筋か知り合いか？

エドワードは素早く妖姫を背後に隠すようにいた、その行にイラッとしたのは仕方あるまい。

「今宵も良い夜だなエドワード、お前が夜會に現れるとは珍しい事だな。」

流石に俺に聲をかけられて逃げる事は出來ないと悟ったエドワードは、妖姫を隠しつつ俺に対応してきた。

「ご無沙汰しておりますバルガス殿下。今日は付き添いとして來ただけで、用事が終わり次第帰ろうと思っています。」

いつもながら淡々とした會話しか立しない、元婚約者と同じで面白みの無い奴だ。背後に隠された妖姫も誰が近づいて來たのか分かったのか、ビクッとしてきが止まる。し戸った後後ろに匿われたエドワードの手を橫にずらし、エドワードの橫に出て來た。

改めて間近に見る妖姫は長いまつに潤んだ瞳で麗しく、薄ら赤く染まった頬が人形じみた容姿を生きている人として主張している。

エドワードとこちらを伺いながら、覚悟したように言葉を発した。

「ご無沙汰しておりますバルガス殿下。」

こんなにしい人に覚えがあるはずも無く、何処で會ったのか悩む。

「麗しい人、どこかで會いましたか？」

キョトンとした顔をしている妖姫も可い、改めて禮を盡くしてくれるのかスカートの裾を握りしめ見事なカーテシーをしてくれた。

「改めまして、ステファニー・リデラでございます。バルガス殿下、ご機嫌麗しゅうございます。」

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