《いじめられっ子のキャJKは自分を変えるため、ダンジョンに挑む〜底辺弱者は枕とレベルアップで強者へと駆け上がる〜》自己満の人助けは善意ではない
同じ様な狩りを続けて、時間が來そうなので帰る事にした。
ゆっくりと飛んでいた時、掠れた、小さな聲が聞こえた。
助けを求める聲だろう。⋯⋯だけど、私には関係ない。
聞こえたから助けに行く、そんなカッコイイ存在は居ない。
それが現実だ。
「⋯⋯」
だけど、それは恥ずかしいのではないだろうか。
私は何度もヒノに助けられた。的にも神的にも探索的にも、全ての事においてヒノは私を助けてくれている。
そんなヒノを前にして、助けを求める人を分かって居ながら見捨てる⋯⋯そんなマネ、していいのだろうか。
私の考えはヒノに伝わっている筈だ。
「ヒノは、どうしたい?」
なんとなくだが、ヒノから思いが伝わって來る。
正直、どうでも良いと言う思いが。ヒノに取って、私が全てらしい。
嬉しい気持ちになる。
「そうだね。これは私のエゴだ。私は、ヒノにカッコイイと思われる主人が良いからね」
し喜ぶヒノ。私の為に、噓を付いていたようだ。
本當に主人想いな枕である。
聲が聞こえた方に向かって飛ぶ。
そこには大きな杖を持って、餅を付いてプルプル震えている子が居た。
「ウザ」
それはの子に言った訳じゃない。昔の自分に言ったのだ。
彼の姿といじめられた初期の自分が重なったのだ。
力を怯え、ただ誰かが助けてくれるのを懇願する稽な姿。ほんと、ウザイ。
狀況は褒める事が可能な程に絶的だった。
彼は見た目的に魔法士、魔法を使う為の時間が至近距離で囲まれてら取れない。
數は四足歩行の狼が六匹、二足歩行の狼が二匹。
正直、逃げたい。
「ヒノ、行ける?」
右回転⋯⋯行くか。
私は地面に著地し、ヒノを回転させる。
「おら狼達! 餌はこっちにも居るぞ!」
全員が振り返り、兇悪な顔を向けて來る。れ出ている牙を見ると、とても逃げたくなる。
でも、私は変わりたいと思っている。そして、最初に変わるのは⋯⋯ヒノにカッコイイ主人であると思わせる所からだ。
私のレベルも上がった。武も増えた。戦い方が増えた。
だから、殺れる!
「だけど、やっぱり怖いよね」
ヒノを高速で回転させ、二足歩行の狼を倒して手にれた武、包丁を二本放った。
四足歩行の狼に掠り、それに寄ってヘイトが集まった。
皆速い⋯⋯だが、全員地を走っている。
「行くよ、ヒノ!」
ヒノが上空へと飛び、大きくなってチャックを開いて大きく開ける。
その中がり、網の様な鎖分銅が出て來た。
検証次いでにやったのだ。私の著替えがヒノの中で完結するなら、出來るかもしれないと考えたのだ。
ヒノの中にあるアイテムをヒノが作して繋ぎ合わせる。
それが今の網である。
二足歩行の狼なら八割の確率で持っている鎖分銅を繋ぎ合わせて網狀にしたのだ。
これで相手のきを止める事が出來る。後は、一方的な攻撃で終わりだ。
「悪く思うなよ? 何をしてでも勝つ、勝った者こそが正義なんだ」
今ではもう馴れたを斬る覚。魔剣で刺して數を減らして行く。
時々攻撃しようとして來るが、鎖のおでスピードが遅く、躱す事は可能だ。
攻撃はけたくない。服が裂かれては勿ない。
「ぬおっ!」
しかし、二足歩行の狼だけは手を使って抜け出して來た。
殘り二匹。
片方は盾と短剣、片方は鎖分銅と盾。
どっちとも盾を持っていたが、鎖分銅の網に寄って、盾を出すのが苦戦したらしく放置された。
結果、短剣持ちと鎖分銅持ちである。
戦い方は、一応考えている。
「おうおう怒ってますね。そりゃあ怒りますよね」
鎖分銅を放って來て、もう片方の狼が私に向かって來る。
鎖分銅をヒノがそのでけ止める。絡まったのを確認して小さくなり出する。
【質化】を使用した鋼のヒノが私に迫って來た狼に突進して、し押した。
そのしが大きく、相手は転けた。
その隙を見逃す私では當然ない。
確実に仕留める。まずはヒノが大きくなって、相手のを包み込む。
その上に素早く私が深く乗り、重を使ってけない様にする。
魔剣を首を狙って突き刺す。
殘? 非道? 誰がそんな事を言えるのか。
相手は確実に自分を殺して來る相手だ。それは相手の立場でも変わらない。
そんな命のやり取りで騎士道だの謳って戦う愚か者はただの馬鹿だ。
自分が生きていればそれで良い。それが正しい。勝てば、最後に立っている事で、全てが正義となるんだ。
「しまった!」
しかし、一匹倒すのに気を取られていた私は、右手首を鎖分銅で捕まえられた。
相手には武がこれ以上無い。しかし、兇悪な爪や牙が存在する。
「⋯⋯ヒノ、殺れ」
【質化】を利用して毆る。
高速回転が可能なので、それを利用しての打撃も與える。
それは相當の威力らしく、を流す。それでも、武から手を離さない。
ヒノが一旦離れ、スキルを解除して回転し、武を放った。
包丁が數本突き刺さる。それに寄って、鎖分銅から解放された。
駆けて、薄する。魔剣は大きいので投げて、包丁を広い両手で持ち、腹に突き刺す。
グルンと回転させて刃を上に向け、切り上げる。
何故って? この方が蔵を切れるからだ。あくまで予測だけどね。
悔しいの構造や、刃の刺し方なんて知らない。知ってたら私はサイコパスだ。
それでも確実に殺す、それが私のポリシーだ。
「討伐、完了」
確かな長を噛み締めながら、私はヒノをでる。
未だに地べたに座り込むの子を見下ろしてから、踵を返す。
「ま、まま、待ってください」
疲れたので、ヒノに乗る事にする。枕にして寢ているので、あまり足とかとか乗せたくないが、疲れたので仕方ない。
高く飛ぶヒノ。人が多い所まで飛んで貰う事にしよう。
その方が楽だ。それに、寢ていれば回復も出來る。
やっぱ、ヒノタクシーありなのではないだろうか。
「ちょ、なんで行くんですか! 待ってください!」
私は何も言わないが、ヒノがき出す。
「拘束せよ、チェーンエッジ!」
鎖の魔法をヒノが回避する。相手が全力で止めて來ると分かったので、私も地面に立つ事にする。
おっと、疲れが襲って來た。立つのが辛い。面倒なので、ヒノに背を預けたままだ。
「た、助けて、くれて、ありがとうございます!」
「あうん。それじゃ」
「待ってください! わ、私と、チームを組みませんか!」
「無理無理ありえない。君を助けたのは、自己満足の為だ。そこに善意の気持ちは無い。君がなんと思おうが自由だが、これ以上関わるつもりは無い」
「どこを向いて言ってるんですか!」
相手とは真反対の方向を向いて、私は言った。
どうだ! 人相手に長文だぞ? この私を知っている人が居たら褒めてくれる事だろう。⋯⋯いや、キャが調子に乗ってる、とか、勘違いブス、そんな言葉で終わるか。
「私、役に立てます!」
ヒノがき出すと、そのヒノにしがみついて來る。
「絶対に離しません!」
武は既に仕舞った。彼は私のを知っている。仕方ないので、途中まで運ぶ事にした。
「本當に助かりました。囲まれて、仲間に裏切られて、本當にピンチだったんです。本當に絶でした。貴は私のヒーローです」
「ごめん、私ヒーローってのが嫌いなんだ。あまり言わないで」
「あ、はい」
相変わらず相手とは反対の方向を向きながら會話をする。
顔も直視してない。
「ま、逃げた仲間の方に大半の魔が行ったんですけどね。ざまぁみろです! でも、あまりアイテム配分とかしてくれなかったので、何かしらの方法で生き殘っているとは思いますけどね」
「それを私に言ってどうなるんだよ。しは聞かされるこっちのにも⋯⋯」
途中で口に出ている事に気づいた。疲れかな。本音が口からポロポロと零れてしまった。
反省反省。二度とこんな事はないと思うけど。
「私とチームを」
「無理っ!」
だが、この日を境に彼とチームを組んでダンジョン攻略をする事となる。
彼の力は素晴らしかった。私の思想とマッチしていたのだ。
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