《した魔法~生まれ変わった魔法が、15年ぶりに仲間と再會する~》14 大人になるという事
気持ちを全部吐き出すように泣いて、芙(ふみ)は「もう大丈夫」と彼を逃れて椅子に座った。
弘人は「分かった」と頷いて向かいの席に戻ると、ぐっしょりと濡れたシャツのボタンを開きながら、「一つ聞いてもいいか?」と、目を細めた。
「ダムに行ったあの日、お前は大魔を見たのか?」
唐突な質問だった。芙は腫れた瞼(まぶた)を指で確認しながら橫に首を振る。
「そうか――類(るい)は會ったのかな」
「災いらしきものが起きてないなら、なくとも倒せなかったって事だよね。咲ちゃんから聞いたよ、弘人が大魔を探しにダムへ行ったって」
「あぁ。でも會えなかった」
「弘人も、大魔を倒そうとしたの?」
「違うよ。俺はただ、町子や類が死んだ理由を知りたかったんだ。二人がいっぺんに死んで、深層に近付けるのは大魔だけだと思ったから」
申し訳ない気持ちになって、芙は頭を下げる。
「勝手なことして、ごめんなさい」
「正義が強いのは分かるけど、一人で無茶するなよ」
誰にも相談せずに行し、結局最悪な結果を招いてしまった。
「うん――ごめんなさい」
「二回も謝らなくていいから。折角生まれ変われたんだから、大事にしろよ?」
頭だけ縦に振ってうつむく芙を橫目に、弘人は窓の外へ視線を逸らした。
「類も生まれ変わってるなら、會いたいな」
ぼんやりと呟かれた言葉に、芙は「えっ」と顔を上げる。
魔法を放棄したいと言い出してをそうとする類を、弘人は嫌悪していたから。皆の前でぶつかり合う様子さえ目にしてきた町子にとっては、そのセリフに違和さえ覚える。
しかし、これが大人になるということなのだろうか。
「そうだね」と返して、芙は生溫いカフェオレをすすった。
「そういえば、魔翔現れないね」
そろそろ二人が買いから帰ってくる時間だ。咲の心配も杞憂として終わりそうである。
「出ても、俺がどーんと退治してやるから、大船に乗ったつもりでいてくれればいいぜ」
咲の危懼をよそに「皿の五枚や十枚、どうにかなるだろ」と、弘人は開き直っている。
しかし、そんな心配も束の間、外にエンジン音が響いて、スーパーの袋を両手に抱えた咲と薫が「ただいまぁ」と戻って來た。
早々に薫が弘人の濡れたシャツを見て、思い立ったように無言で芙に詰め寄る。
芙は、弘人ので泣いた事を彼に謝らなければならないと思っていたが、「町子、ごめんなさい」と先に薫が頭を下げた。町子の知る彼は、冷靜で控えめで、何でもやりこなしてしまう、芙にとって憧れのだった。けれどプライドも高く、他人に頭を下げるなど屈辱的な行為なのではないかと思ってしまう。
「薫は悪くないよ。だって、町子は死んだんだから。謝るのは私の方だ」
芙がごめんなさいと頭を下げると、
「あぁ、もう。っぽい事しないの! それより弘人、手伝って」
咲はその場を一蹴して店の奧に弘人を呼ぶと、カセットコンロや鍋を運ばせた。
「大丈夫だよ、私は」
芙の言葉に、薫は瞬くように頷いた。
そして可らしい喫茶店の店は、あっという間に甘辛いタレの匂いで充満してしまう。
テーブルに並べられたのパックは種類ごと小分けになっていて、スーパーのとは思えない衝撃価格がられているものもあった。そのせいか二萬円分にしてはなく見える。
そういえば昔、この店で鍋パーティをしたことがあった。
類や咲のお爺さんもいたあの時より人數は減ってしまったが、この時間、この空間が、芙がんだ十六年振りの団欒だった。
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