《した魔法~生まれ変わった魔法が、15年ぶりに仲間と再會する~》22 換條件
結局町子の亡霊騒ぎは解決しないまま、「いつも大人しい熊谷くんが、意中の彼を闇で襲った」という勘違い騒で、肝試しは幕を閉じた。
はやしたてる周囲の聲も修司はは全く気にして居ない様子で、芙ばかりが俯(うつむ)いたまま頭を上げることができなかった。
「桜が満開だよ。見て、芙ちゃん」
最後の組のゴールを見屆けて、寮生たちは校庭に繰り出した。
先輩たちが用意した、ブルーシートとイベント用の大きな照明。が照らし出すのは、プール橫に並ぶ満開の桜だ。
肝試しの開催には怒り心頭だったが、そんな怖さや周りの冷やかしも全て打ち消してしまう程咲き誇る薄紅の桜に、芙はぱあっと破顔した。
寮母のミナが用意してくれたジュースとお菓子でささやかに行われた夜桜見に、自分の思い描いた『歓迎パーティ』の図を合致させて、芙は「これだよ!」とはしゃいだ。
配られたジュースを手に桜を見上げていると、「こんばんは」とミナが橫に並んで花を仰ぎ見る。メグは「祐くんを連れてくる」と勇んで彼の元へ向かったが、當の本人は修司の騒で先輩たちから一緒になって冷やかされていて、難航しているようだ。
「ごちそうさまです」
「ジュースくらい気にしないで。こっちは大人なんだから。それより肝試しどうだった? 修司くんと大変だったみたいだね。何か出た?」
「で、出てないですよ、お化けなんて!」
ぎこちなく否定して、気を逸らすように桜へと視線を返すと、ミナはしだけ殘念そうに「そうか」と呟いた。
「でも修司くん強そうだから、何かあったら守ってもらうのよ?」
からかっているのだろうか。もう誰もが『二人はデキている』という先観で盛り上がっている。
修司と話をしたいと思うが、二人きりになるのは難しそうだ。メグが祐と共に修司も引っ張ってきてくれればいいが、それでもメグたちがいては過去の話ができない。
「ミナさぁん」
三年の男子がサイダーを片手にハイテンションでミナを手招きした。流石、寮の神様だ。
ミナも「はぁい」と笑顔で手をヒラヒラと振り、満更でもない様子で「またね」と彼らの元へ行ってしまった。
芙はもう一度桜を見上げて、ほのかに香る甘い臭いを吸い込み、いまだ先輩達に取り囲まれている修司を振り返る。
彼が類だという突然起きた再會は、芙をどんと雪の日の記憶へ引き戻す。あの日、彼へ向けた炎の記憶に、悲鳴を上げたくなるのを堪えた。
「芙ちゃん、祐くんに聲掛けれないよぉ」
芙の気持ちを知る由もなく、メグが珍しく泣き言を言いながら戻ってきた。
「そりゃあ殘念」と宥(なだ)めて、橫に立った人影に顔を起こす。
修司だった。どうやってあのから抜け出すことができたのだろう。芙は驚いて彼のいた場所へ視線を返すと、何故か先輩達に問い詰められているのは祐だった。
「あそこの先輩が、森田さん狙いだっていうから。嫉妬だよ、嫉妬」
「私?」とメグは困った顔をして、それでも祐へ熱いの眼差しを送る。
「でさ、森田さん。コイツ借りてもいい?」
突然の修司の要。彼と二人になれると思うと、あれこれ悩んでいた頭がスッキリと覚悟を決める。しかしメグはキッと修司を睨んで、「駄目」とはっきり拒否した。
「いくら熊谷くんでも、芙ちゃんは渡さないよ」
ぎゅっと芙の腕に絡み付いて、修司の顔に向かい條件を提示する。
「祐くんを連れて來てくれたら、二人きりにさせてあげる」
「あぁ――そういうこと」
納得して、修司は「いいよ」と戻って行った。ここで駆け引きするとは流石だとメグに心する。そして、修司もあっさり先輩達のところから祐を連れ出してきた。
「お前何だよ、いきなり」
理由もなく引っ張り出され、祐は摑まれた腕を振り払うが、メグに気付くと妙に大人しくなってしまう。
修司はそんな祐を「どうぞ」とメグに差し出し、ほらと芙を促した。
note+ノベルバ+アルファポリス+電子書籍でエッセイ、小説を収益化しつつ小説家を目指す日記
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