《機甲學園ステラソフィア》ブレードエッジ
スウィートレディを撃破したスパローの元に不意に投げ込まれた2つの弾。
スパローは咄嗟にその1つにナイフを投げつけ、破――そしてを跳ねるとその主を確認した。
「裝騎サーティーナイン――」
「…………」
何も答えないサツキに、靜かにスパローは最後のナイフを構えた。
メインの超振《ウェーブ》ナイフ2本も失い、予備のフォールディングナイフも殘り1本となったスパロー。
対して、サーティーナインも靜かに腰から2本のナイフを取り出した。
ワシミヤ・ツバサが使うチェーンブレードを小型化したようなチェーンナイフだ。
「サツキさんもナイフを――?」
「…………っ!」
スパローのウェーブナイフとサーティーナインのチェーンナイフがぶつかり合う。
だが、1本と2本ではやや分が悪い。
サーティーナインは1本のナイフでけ止めている間に、もう1本のナイフをスパローへと閃かせる。
「くっ!」
スパローは後ろに退くことでその攻撃を回避する。
「せめて、援護が來るまで凌げれば…………!」
チリペッパーは落とされ、スーパーセルはラプソディと戦中。
スネグーラチカがこちらへ向かって移するのが確認できる。
「ここはチャイカ先輩と合流を――」
スズメはそう判斷するとスネグーラチカがベストフレンドと戦している場所へと裝騎を跳ねる。
投げ込まれるサーティーナインの弾を掻い潛り、スネグーラチカとの合流を急ぐスパロー。
不意に、その方向から今までにもましていっそう巨大な豪炎が沸き上がった。
「な――――あれは!?」
レーダーに映ったスネグーラチカの信號が危険信號を出している。
「チャイカ先輩!!」
その危険信號が一瞬、解除されたかと思うと、その直後機能停止の表示がされた。
スネグーラチカが落とされたのだ。
「そ、そんな――!」
追い付いて來たサーティーナインが弾を投げ込んでくる。
「くぅっ」
スズメはそれに最後のナイフを投げつける。
広がる炎。
これでスパローは全てのナイフを使いきった。
「――こうなったら、アレを使うしか…………」
だが、スズメの顔には絶や揺は全く浮かんでいなかった。
彼の顔に見えたのは――決意。
スズメは決意したのだ。
裝騎スパローの持つ取って置きの武を使う事を。
スパローがその手に武を持っていないことを分かっているのだろう。
黒煙を掻い潛り、サーティーナインが飛び出してくる。
サーティーナインが両手に持ったチェーンナイフがスパローを切り裂かんと閃いた。
「行きます!」
だが、スパローはそれに臆すことなくその2つのチェーンナイフの刃先を両手でつかみ上げた。
ギギイイイイイイイイイ
火花を散らしスパローの手を引き裂こうとするチェーンナイフ。
スパローはそのチェーンナイフを力任せに押し戻す。
「――――っ!」
バランスを崩し、隙を見せる前にサーティーナインは後ろへと引いた。
サツキはスズメの行に驚愕していた。
幾ら武がこれ以上無いからと言って、まさかチェーンナイフの刃に摑みかかってくるとは思いもしなかったのだ。
だが、これでスパローのマニピュレーターは完全に使いにならなくなったはずだ。
そしてこれは同時に、スパローがあれ以上の武を持っていないことの確信になった。
「!!!!」
決める――サツキはその思いと共に、正面からスパローを確実に仕留めんと駆けた。
「――來た!!」
サーティーナインのチェーンナイフが閃いた剎那。
「スパロー・ブレードエッジ!!!」
ギィイィイイイイイイイイイイイイイイン!!!!
「――――っ!!??」
スパローの腕からびた刃がサーティーナインのチェーンナイフをガッチリとけ止めていた。
スパローの奧の手。
それがスパロー・ブレードエッジと呼ばれる武――いや、形態だった。
スパローの様々な箇所が開き、そこから隠し刃が現れる。
両手、両足は勿論、背部パーツも変形し、ブレードウイングが現れた全が刃とでも言える形態。
ある意味では、スパロー真の姿とも言える姿だった。
そして、中から現れたブレードは振を初め、そしてその刃のが黃金に変化する。
「っ!!!!」
不穏なをじ、サーティーナインのを退かせようとしたサツキ。
そのサーティーナインの左腕を、スパロー・ブレードエッジの爪先のブレードが引き裂いた。
怯むサーティーナインに向かいスパロー・ブレードエッジは跳躍する。
その軌道を邪魔する木々を切り裂きながらサーティーナインの背後に背中合わせになるように著地し、そのままクルリとを回す。
背部のブレードウィングがサーティーナインを一閃。
「これで、とどめです!」
そしてそのまま、サーティーナインを正面に捉え、両腕のブレードでサーティーナインをX字に引き裂いた。
「バ、バトルオーバー!! 裝騎スパローの思わぬ武に驚いてしまいましたが……シーサイドランデブー1年ディーコン・ジャンヌ選手は戦闘不能と見なし、Bブロック2回戦はチーム・ブローウィングの勝利だぁ!!」
戦いを終えて、ブローウィングの4人は控室に戻ってきてた。
「やったなスズメちゃん!」
「ツバサ先輩!!」
「しっかし凄かったな……スパロー・ブレードエッジだっけか。アレがスズメちゃんの隠し玉か?」
「えへへ、そうです。本當はもうちょっと隠しておきたかったんですけど」
「何、上等なタイミングだったさ。でも、ブレードエッジって意訳すると刃刃で意味がダブって――」
「そ、そんなことはどうでもいいんですよぉ!! ぶぅ……」
「ですが、今回もスズメちゃんのおで勝てましたわね。ウチ達の方が上級生ですのに、腳を引っ張ってばっかりで申し訳ありませんですわ」
「全くなんですよ! 足を引っ張るのはやめてほしいですね!!」
「チャイカ、ソイツ煮るなり焼くなり好きにしていいぞ」
「炙る――――というのも有りでしょうか?」
「むしろ燻製にしてやれ」
チャイカにマッハが何処かへと連れ去られていくのにスズメは苦笑する。
「アイツ等も弱い訳じゃないんだけどさ……今回はちょっと対戦チームの引きが悪いみたいでな――――スズメちゃん居なかったらどうなってた事か」
「な、そんな……わ、私は私にできることをしているだけですし…………」
「そうだな……ま、準々決勝も頼むぜスズメちゃん」
「はっ、はい――!!」
そう、この次、午後に行われるチーム・リリィワーズとの戦いは新歓の準々決勝戦となる。
そして、準決勝戦までが今日の間に行われるのだ。
スズメは自らの気を引き締め、次なる戦いに思いをはせた。
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