《機甲學園ステラソフィア》パラダイムシフト

中學1年の頃、ヒラサカ・イザナにはすごく憧れていた騎使がいた。

長期休暇で祖母の家にお邪魔していた時、たまたま見に行ったデュエルゲームの大會。

それは片田舎で行われる非常に規模も小さく、レベルもそれほど高くない、簡素な大會だった。

しかし、その試合に出ていた1人の騎使に、ヒラサカ・イザナは非常に惹きつけられた。

その騎使は無名の――それにヒラサカ・イザナと同じ年齢の――それでいながら大人を相手に勝ち抜き大會の頂點に立った。

腕をもがれようと、メインカメラを破壊されようとも、武を全て失おうとも、そして、裝騎の要である腳を破壊されようとも、どんな狀況になって最後まで諦めず、眩しいほどの自信と強さを持った彼

ヒラサカ・イザナは彼に憧れ、惹かれ、彼のようになりたいと願い、デュエルゲームを始めた。

いつの日か彼と戦い――彼に勝ちたいと、そう思い始めていた。

そして、月日は流れ中學3年生の夏。

ヒラサカ・イザナは憧れの彼と戦う機會を得た。

四天王決定戦中等クラス、その東ブロック決勝。

ヒラサカ・イザナの所屬するヘブンズフィールド中學裝騎デュエル部と彼――サエズリ・スズメの所屬するプラヴダ中學裝騎クラスによる決勝戦。

兼ねてより、ヒラサカ・イザナはプラヴダ中學のその強さを実させられたきた。

裝騎を専門に扱う裝騎部や機甲科の存在しないプラヴダ中は選択授業クラスでの參加だった。

そうでありながら、他に全く劣らないプラヴダ中の裝騎クラス。

(私は彼に勝てるのだろうか?)

そう、なんど自問したか知れない。

そして、その決勝戦――――ヒラサカ・イザナは期待と不安にを膨らませ、その試合に挑んだ。

だが――その結果は呆気ないものだった。

サエズリ・スズメの駆る裝騎は、その輝きを発揮する事は無いまま、ほぼ自滅に近い形で破壊されヒラサカ・イザナのの勝利となった。

その戦いの中でヒラサカ・イザナが憧れた彼の姿は無く――ヒラサカ・イザナにはただの失だけが殘された。

スパローとアイロニィのナイフが火花を散らす。

正面からぶつかり合う、スパローとアイロニィ。

「ブレードエッジ!!!」

スズメの聲に応えるように、裝騎スパローの中が展開し、刃が現れる。

黃金を帯びた刃を中に纏うスパロー・ブレードエッジ。

「そこです!」

スパローはその爪先からびたブレードでアイロニィを切り裂かんと蹴りあげる。

だが、それを難なく後ろに跳ね飛び、かわすアイロニィ。

アイロニィは素早く左手に持った14mmサブマシンガン・レッカを撃つ。

スパローは、アイロニィに向かって跳ね飛びながら、その銃撃をかわす。

それを狙っていたのだろう、スパローが跳んだのを見るとすぐにマシンガン・レッカの引き金から指を離すと、振り返りながらその右手に持ったナイフを一閃。

スパローは、そのナイフを、肘からびたブレードでけ止めると、スパローの背後に向かって折れた逆間接である腳部――その膝からびたブレードを突き刺そうと膝蹴りを放った。

「全からびたブレードと、逆間接と言うことを利用した通常の裝騎では出來ない攻撃――――厄介ね」

イザナはそう獨り言ちながらも、紙一重でその膝蹴りをかわす。

そして、サブマシンガン・レッカの銃口をスパローへと突きつける。

「まだです――――っ」

その銃口が火を噴かんとしたその瞬間、スパローの背中から翼のようにびたブレードウィングが、アイロニィのを切り裂くように、クワガタムシが敵をそのハサミでつかみ取るようにその刃を閉じた。

「なっ――」

不意打ちを避けようと、スパローから飛び退きながら、サブマシンガン・レッカをスパローへと撃ち放つ。

スパローは、サブマシンガン・レッカの弾丸を回避しながら、アイロニィを正面に捉える。

「レイ・エッジ――!!」

そして、その両腕のブレードにエネルギーを溜める。

眩い輝きと共に、ブレードを走る霊子砲レイ・エッジ。

その輝きは、アイロニィが左手に構えるサブマシンガン・レッカをかすめ、破壊する。

だが、アイロニィ自に大きなダメージは無さそうだった。

「スパロー、ブレードエッジにレイ・エッジ――――見せて貰ったわ、貴の技――次は、私の番」

破壊され、発しようとするサブマシンガン・レッカを捨て去り、自の背後から素早く9mmシールドナインライフルを左手に構える。

そして、それと並行して、腰部のボムストックのロックを一つ解除。

地面に落下するスモークボム・フラクタルケージを腳で華麗にり、スパローに向かって蹴りつけた。

「これは――っ!!」

地面に叩きつけられたスモークボム・フラクタルケージが発――黒煙がスパローを包み込む。

そしてアイロニィはその黒煙の中に向かって、左手のシールドナインライフルを叩き込んだ。

當然、スズメがこの程度でやられる筈が無い。

それはイザナ自も承知の上だ。

「いっけぇ!!!」

スズメはスパローのブレードで、サブマシンガンの弾丸を切り裂き、回避しながら黒煙を突っ切ってアイロニィへと突っ込んでいく。

「來た――――」

そして、スズメがこういう時に、退かずに正面からぶつかってくる、と言うのもイザナはよく知っていた。

それを正面から迎え撃つように、ナイフ・クサナギを構えるアイロニィ。

スパローの碗部ブレードと、アイロニィのナイフ・クサナギが差する――その瞬間。

「えっ!?」

イザナの裝騎アイロニィはそのを捻り、スパローの攻撃をかわす。

そのきはまるで、風が吹き抜けるかのような華麗な流れを持って、半円を描きながらスパローの左を抜けた。

そのきにスズメは風が自らの脇を吹き抜けていったような錯覚すら覚える。

風はそよ風のようならかい風だった――――しかし、そのそよ風は驚異的な切れ味を持つカマイタチでもあった。

その風は、あまりにもらかに吹き抜けていった。

その為、スズメは風が完全に通り過ぎるまでその事に気付けなかった。

いや、スズメだけではない。

その裝騎自すら、その事実に気付いたのは風が通り去った後。

スパローは、アイロニィが巻き起こした風にその左腕を持っていかれていた。

「そんな――――スパローの、左腕が!」

人の認識も、機械の認識も上回る不意を突いた風のような一撃。

それが――――

「カマイタチ――――」

そして、ヒラサカ・イザナの持つ力はそれだけでは無かった。

「私は――貴を――――サエズリ・スズメを尊敬していた――憧れていた」

「――えっ!? それは――どういう」

「だから、私は全力で貴を倒す――――貴を倒して――――この憧れから決別する!!!」

剎那――ヒラサカ・イザナの放つ気迫が裝騎アイロニィを包み込む。

青白い輝きが、アイロニィから溢れ出る。

「こ、これは――――!?」

「アイロニィ――――クリティカル・ドライブ――――――――!!」

オマケ

ステラソフィア・キャラクター名鑑

1年:チーム・ミステリオーソ所屬

名前:比良坂

読み:ヒラサカ・イザナ

生年月日:聖歴152年9月2日

年齢:15歳(4月1日現在)

地:マルクト國神都カナン

長:164cm

重:55kg

使用裝騎:PS-H2S:Irony(ベース騎PS-H2:Hermesiel)

好みの武:ナイフ・クサナギ

ポジション:コマンドー

公立ヘブンズフィールド中出

四天王決定戦東ブロックの四天王校のリーダーとしてステラソフィアに推薦學。

趣味は晝寢。

個人的な聲のイメージは橘田いずみさん。

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