《機甲學園ステラソフィア》第50話:Kam Jdeš
Kam Jdeš
-どこへ行かれるのか-
「スズメちゃんにお願いがあるんです!」
それは、ある頼み事から始まった。
チーム・ブローウィングの部屋を訪ねてきたのは技科3年ハジム・イカラ。
最終防衛戦の生き殘りの1人であり、當時ヒラサカ・イザナのサポートパートナーを務めていた子生徒だ。
「どうしたの?」
「スズメちゃんは進學科の地下にある裏ステラソフィアの話を聞いたことあります?」
「裏、ステラソフィア……?」
不穏さと同時に間抜けさが漂う名稱にスズメは思わず笑いそうになるがイカラの真剣な表を見て我慢する。
「そこはステラソフィアの第2の魔窟……授業や校風についていけずにドロップアウトした人や今の制に不満を持っている人――所謂、不良の溜まり場です」
スズメの心中を知らないイカラは真面目な口調で話を続けた。
「実は進學科の友達が1人、やさぐれちゃって裏ステラソフィアに足を踏みれてしまったんです。私は彼を連れ戻そうと裏ステラソフィアに――」
「ねぇ、イカラちゃん。ステラソフィア第2の魔窟って第1の魔窟はどこなの?」
ふと浮かんだ疑問をイカラにぶつけると、その表が一瞬強張る。
だが、何事もなかったように笑顔を見せると言った。
「それよりスズメちゃんの力が必要なんです! 一緒に裏ステラソフィアまで行って、くれますか?」
どこかはぐらかされたような気もするが、イカラの頼みは切実なもの。
それをじ、スズメは言った。
「で、第1の魔窟ってどこ?」
ステラソフィア進學科校舎……その片隅に地下へと続く階段はあった。
「わぁ、こんな所、機甲科にもありましたね」
「そうなんですか?」
「はい。今はチョコ臭くなってますけど」
「えぇ……」
冷たくい音が反響する、暗く濁った階段を2人はゆっくりと降りていく。
やがて、無機質で靜かな階段は辺り一面に雑多な落書きの施されたスラムのようへと変貌した。
重たく行く手を阻む格子戸を開き、スズメとイカラはついに裏ステラソフィアへと足を踏みれる。
「この奧にイカラちゃんの友達――アレナちゃん、だっけ?」
「そうなんです」
「というかなんで私を呼んだんですか?」
「実はさっき、1人でここに來たんです。ですけど、しばらく進んだ所で……あ、いた」
イカラが視線を向けた先には2人のガラの悪い子生徒が立っていた。
片や長髪を腰のあたりまでのばしダサいマスクと釘バット。
片やボサボサの髪に右手や左目を覆う包帯、そして手には何故かけん玉を持っている。
「おォっ、また來たのか。こりねェヤツだな!」
「技科のいい子ちゃん……フフ、お家でおねんねした方が良いよ……フフ」
ダサマスクと邪気眼、この2人はどうやら裏ステラソフィアの番人らしかった。
「お願いします。通してください。私は友達を連れ戻したいだけです!」
強気に言うイカラだが、ダサマスクと邪気眼は鼻で笑うだけ。
「なんならいっちょ、勝負してみるぅ?」
「勝負ですか、なんの勝負をすればいいですか?」
ダサマスクの嘲りに答えたのはスズメだ。
第三者の聲にダサマスクと邪気眼はスズメに視線を向ける。
瞬間、その表が明らかに強張った。
「あの制服……機甲科…………クッ、疼く、右手が、疼くッ」
「しかもあの顔、見たことある……! サエズリ・スズメか! よりによって!」
勝手に何かの因縁をじてるが、スズメとこの2人は初対面である。
「ヤベェぞ……姉貴に連絡だ」
「助かったな……私の闇の焔の封印が――」
「いいからいくぞ!」
素早く踵を返すと邪気眼をひっ摑み奧へと駆け出すダサマスク。
「逃げた! さすがスズメちゃん!」
「えぇ……とりあえず、追いますよ!」
「はいっ」
々釈然としないものをじながらもスズメはイカラとともに裏ステラソフィアの奧へと進んだ。
荒れ果てた廊下を走り、ダサマスクと邪気眼を追い掛ける。
すれ違う見るからにガラの悪そうな子生徒達。
その視線がスズメたちへと向けられるが彼たちはなにもしてこない。
どこか腰が引けたように道を開け、何やらヒソヒソと小聲で話し合っている。
「サエズリ・スズメ……」
「……機甲科筆頭」
「ステラソフィアの鬼番長」
「鬼蹴りの魔覇の舎弟だろ?」
「噂ではカナンの不良を牛耳ってるとか」
「イリーガルをに敷いてるらしいぜ」
「華の4姉妹にオーバーヘッドキックをかましたとか」
「怖っ……やはりバケモノ」
「なんかさっきからすれ違う人が私のことを好き勝手言ってる気がするんですけどー!!!」
「やっぱりスズメちゃんに頼んでよかったです」
「何でですかー!!!!」
やがて裏ステラソフィアの最奧――壊れた冷凍室の中に彼はいた。
「アレナちゃん!」
ステラソフィア進學科3年アマリエ・アレナ。
そして――
「うわっ、來た!?」
「くッ、左目が、疼く……ッ」
「ほぅ、よく來たねェ。歓迎するよ。ようこそ裏ステラソフィアへ!」
両隣にダサマスクと邪気眼を攜え、どこか豪快な雰囲気を持った子生徒がスズメとイカラを迎えた。
「アナタは――」
「あたしは進學科4年ハイアフィールド・ウララ」
「……ステラソフィアって留年制度ありましたっけ?」
「あたしゃ19だよ!!」
スズメの失禮な言いに怒鳴りながらも、ウララは気を悪くしたと言うよりは楽しそうに笑みを浮かべる。
「全く、唐突に機甲科のヤツが訪ねて來たかと思えば思うほど……用件はなんだい?」
にぃと口元を釣り上げるウララにイカラが勇気を振り絞るように両手をぎゅっと握ると前へと出た。
「わたしの友達を、アレナちゃんを連れ戻しに來ました!」
イカラの一杯の言葉に、アレナはし困ったような表を浮かべる。
「なるほどね、グレて裏ステラソフィアにまで來ちゃった友達を連れ戻しに――か」
「はい」
アレナが何かを言おうとするが、ウララはそれを遮った。
「あいわかった。けどね、コチラとて仲間をそう簡単に渡すワケにはいかないさ」
「どうすれば……アレナちゃんを、返してくれますか?」
「そうさね。勝負をしてアンタ達が勝てばかえしてやってもいいかね」
「しょ、勝負……」
ウララの言葉にイカラは自信なさげ。
「ソッチが自信ないなら、ソッチが相手でもいいよ。ステラソフィア機甲科サエズリ・スズメ」
急に指名をけたスズメだが、迷いなく前へと進み出た。
「わかりました。勝負の容は?」
「スズメさん!」
「いいから」
スズメはどこかウララの態度に違和を覚えていた。
それは単純に、ウララがスズメと戦いたがっているだけという予。
(ならば、私が出た方がいいでしょう)
「勝負の容ねェ。よくわかんねーや、ソッチが決めな」
「何でも、いいんですね?」
「ああ。ステラソフィアらしい勝負を期待するがね」
「ステラソフィアらしい――それなら、レータヴィツェTCGで勝負しましょう」
「は?」
「なんでもいいって言いましたよね?」
「いやいやいやいや、ステラソフィアらしいって言ったよね!? カードゲームはステラソフィアらしいのかい!?」
「流星《レータヴィツェ》で智略を使う……星智《ステラソフィア》にピッタリじゃないですか!」
「ステラソフィアらしいってそーいう事じゃあないよ!」
「なら大富豪でもしますか? もちろんステラソフィアルールですよ?」
「なんでカードゲームばっかなんだい!? もっとこう、あるだろ!? ステラソフィアらしくて、をかすようなアレがさ!」
「サッカー?」
「裝騎バトルしろよ!!」
「ああ!!」
スズメはポンと手を叩く。
これはスズメのよくやる相手をかきす為の策略――ではなく、素で頭になかった。
「なら最初からそう言ってくださいよー!」
「はぁ……裝騎バトルしな」
「わかりました。サエズリ・スズメ、行きます!」
裏ステラソフィアにもそれはあった。
裝騎バトル用の地下演習場……機甲科校舎地下のチョコレート製造機が置かれていたフィールドと似たような作りだ。
そこに佇むのはスズメの裝騎スパロー4ce(フォース)。
そして、裝騎スパロー4ceと相対する裝騎は……
「ハイアフィールド先輩……スズメちゃんに裝騎バトルを挑むからどれだけ自信があるのかと思いましたけど……アレは、あの裝騎は…………」
イカラもスズメも驚愕に目を見開く。
それは、あまりにもあまりな裝騎だったからだ。
「ヴァイスブレヒ……!」
ブリタイ王國製機甲裝騎マークⅠフォスター。
「ブリタイ王國が作った世界初の機甲裝騎……対チャリオット用として製作されながらも紙のような裝甲、鈍間な足回りから”ブリキの玩(ヴァイスブレヒ)”と揶揄された裝騎ですか」
もはや骨董品と言うよりは化石のレベルだが、そんな裝騎で向かってくる以上、向こうにも何か策があるのだろう。
「第七裝騎部が4號裝騎を使ってますが……アレは、それ以上の…………ガラクタですね」
だからと言って、油斷できないことは百も承知だ。
「さぁ、裝騎バトルを始めようじゃあないかッ!!」
流石に近代化改修はされているのだろう、噂通りの木偶の坊とは思えないきで裝騎スパロー4ceに向かって來た。
とは言っても……
「遅い!」
裝騎スパロー4ceは跳躍すると軽々と言うよりヴァイスブレヒを飛び越え、背後に回る。
「おおッ、素早いねェ」
「アナタが遅いんですよ!」
「だけどね……わかるかい?」
裝騎スパロー4ceが両使短剣サモロストを閃かせようとした瞬間、足元から電流が迸った。
「罠《パスト》!?」
強烈な霊子電流に裝騎スパロー4ceのきが一瞬止まる。
そこにヴァイスブレヒが手にした小型ヒートハンマー通稱マラカスを振り上げた。
「いて、スパロー!」
ヴァイスブレヒの一撃が命中する直前、機能を取り戻した裝騎スパロー4ceの腕が持ち上がる。
巻き起こる煙――裝騎スパロー4ceは左腕の追加裝甲《ヤークトイェーガー》を犠牲にその一撃を持ち堪えた。
「やんじゃん。いいねェ、久々だよ! アタシのトラップコンボを突破したのは!」
「ならばきっと、ここにいる騎使はみんなぬるい相手ばかりだったんでしょうね。アナタほどの実力ならばもっと輝ける場所があったはずなのに」
「輝ける場所、ねェ……ふん、そんなのがあるならこんな所にいないさ。アタシにとってここが一番輝ける場所だからね!!」
ヴァイスブレヒはもう片方の手に持ったマラカスを天目掛けて投げ放つ。
それはどこか、手がったようにも見える稽なき。
「まさか!」
しかし、そんなフェイクはスズメには通じない。
一気に跳びのきヴァイスブレヒと距離を開けたその瞬間、裝騎スパロー4ceの立っていた場所に鋭く研がれた巖石が降ってきた。
気付けば壁際に追い込まれていた裝騎スパロー4ce。
そこに間髪れず、大量のマラカスが投げ込まれる。
「壁際に追い込めば――勝てると思いましたか!?」
しかしご存知の通り、壁などの障害はスズメの得意とするところ。
一気に壁を蹴ると、その反で空を舞う。
そして、地面に突き刺さった巖石を更に蹴り加速を付けた。
「ふふん、勝った」
一直線にヴァイスブレヒへ向かってくる裝騎スパロー4ceを見てウララは確信する。
ヴァイスブレヒが地面を思いっきり踏み込んだその瞬間――
「喰らいな! アタシのとっておき――パンツァースピアーさ!」
ヴァイスブレヒの傍を抜けるように二本の巨大な槍が突き出てきた。
それは一直線に向かって來た裝騎スパロー4ceを正面から串刺しに――――
「してないだって!?」
それどころか、ヴァイスブレヒの部に突き刺さるのはパージされた右腕のヤークトイェーガーの刃。
戦いはスズメの勝利で幕を下ろした。
「いやぁ、まさかとっておきのトラップが見抜かれるなんてね」
「アレだけ罠を仕掛けてるんです。あのタイミングで何も無いはずないでしょう。それに戦っててじたアナタの格なら――一歩間違えれば自分が負けるリスクのある一か八かの罠を使ってくる可能が高かったですからね。相手を十分に引き付けないと有効打を打てないような」
「ふふん、だから突っ込むと見せかけて途中できを止めた、と」
「とりあえず、これでイカラちゃんの友だちはかえしてくれますよね?」
「そうだねぇ。まぁ、かえすかえさない以前に誤解があるよ」
「誤解?」
イカラに抱きつかれるアレナが困ったような表を浮かべる。
「アレナちゃん! 帰ってくるよね!? 不良になんかならないよね!?」
「あーもう落ち著いて! わたしは不良になんかなってないし、裏ステラソフィアに引きこもるつもりもないわよぉ!」
「…………え?」
イカラはアレナの言葉がイマイチ理解できていなかった。
「でもでもでも、この前特攻服とか作ってたじゃない?」
「裁得意だしね。ウララに頼まれたの」
「ハイアフィールド先輩に頼まれた……って、え、じゃあ裏ステラソフィアに來たのは?」
「服がい終わったから渡しにきたの」
「先輩との関係って」
「実家近くのご近所さん。昔からよく遊んでもらった……まぁ、姉貴分ね」
「この前、しゃいせー! とか奇聲上げてたのは」
「奇聲って! く、口癖よ、悪いの!?」
「えっとつまり……アレナちゃんはアレナちゃんの――まま?」
「まま」
「えー!? つまり、取り越し苦労ってこと?」
「杞憂」
を襲う疲労からイカラは思わず膝をつく。
「すごいこわかったのに……」
アレナは呆れたようにため息をつきながら、イカラの頭をポンポンとでた。
「ま、心配して來てくれたのは嬉しかったわ」
「アレナちゃん……」
何やらムードを出し始める2人のそばで、一番の骨折り損だったスズメがなんとも言えない表で佇んでいた。
「おつかれ」
何故かウララにそう労われ、スズメの目からますますが消える。
「ごめん、私先に帰るね」
親しげに雑談を始めるイカラとアレナを背に、スズメは裏ステラソフィアを後にした。
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