《機甲學園ステラソフィア》第52話:Nejtvrdší Skálu v Pramen Vod

Nejtvrdší Skálu v Pramen Vod

-い巖を水の溢れる泉とする-

「つ……強い…………」

「どうしたのかな? きが止まってるぜ!」

余裕の態度で左手に持った剣を弄ぶ裝騎コロヴェフをスズメは睨みつける。

「あんなに強い……あの人、誰?」

「強いのは當然だぜ。なんたってロック中のロック。クイーン・オブ・ロックだからな!!」

「意味、わからない」

「まっ、ロックなニャンニャー・ステーションの店員ってのは伊達じゃねぇーってことさ! なんたってあの人は――」

靜寂を破り再び響き渡った剣戟の音に観客達が沸き立つ。

「諦めが悪いね! お姉さん、そういう子嫌いじゃないよ!」

「當然です! 私は勝って――そして……!!!」

それは、スズメの元に屆いたあるメールマガジンがキッカケだった。

「ニャンニャー・ステーションお得意様參加イベント……?」

それはニャオニャンニャーの専門店ニャンニャー・ステーションで開催される裝騎バトルイベントへのいのメルマガ。

容は……

「ニャンニャーショップの店員と裝騎バトル……勝ったらDX超鋼金ギャラクシー・ニャオニャンニャーがもらえる……? ギャラクシー…………!」

スズメの見せた容にアナヒトも目を輝かせる。

「ユニバーサリィ・ビーイング編に出てきた銀河の力をめたニャオニャンニャー……」

「複數の追加ガジェットで歴代ニャオニャンニャーの中でも最大級のボリューム! あのニャオニャンニャーがまさかの超鋼金化! それに、プレゼント!!!」

「買ったら、高い……10萬……エレクトリカル簞笥並み……」

「それが貰える!」

「スズメなら、勝てる」

「勝てる!!!」

當日。

意気揚々とニャンニャー・ステーションを訪れたスズメとアナヒトの目の前には多數の人々。

もちろん、ギャラクシー・ニャオニャンニャー目當ての人も何人かいるがその多くは見客だった。

「みんなー! 今日は集まってくれてありがとなー!!」

マイク片手に手を振るのは、このニャンニャー・ステーションの名店員フルドリチュカ。

「みんなー! ギャラクシー・ニャオニャンニャーがしいかー!?」

「ほしーい!!」

「手に、いれたいかー!」

「いれたーい!」

「ならば摑み取って見せろォ! 対戦相手は、このわたしだァー!!!!」

盛大な歓聲の中、フルドリチュカの裝騎が姿を見せる。

に対して長めの両腕はゼルエル型を思わせるが、貓背のように曲がった背中、そして手足に爪のようなアタックブレードが突き出ている。

左手には幅広だが厚みの薄い平剣ピールコという武が握られていた。

「あれはケルビム型裝騎……!」

ケルビム型裝騎コロヴェフ。

それがフルドリチュカの駆る裝騎だった。

「それじゃあ、対戦希者は手を上げてくれな! 全員返り討ちにしてやるぜ!」

フルドリチュカの言葉に何人かが手をあげる。

「はいはいはーい!!!」

スズメも勢いに負けじと右手を高く掲げた。

「それじゃあ最初の挑戦者はーーそこのおねーさんだぁ!」

指名をけたのはどこかふわふわした黒髪のでスズメではなかった。

「あー」

ガッカリしながらもスズメはその戦いにしっかりと目を向ける。

挑戦のチャンスがまだある以上、この戦いをしっかりと目に焼き付け対策を取らないといけないからだ。

戦いが始まり、2騎の裝騎が打ち合う。

挑戦者のの裝騎はアブディエル型。

主武裝のフルーレを巧みに用いた刺突攻撃が鮮やかだった。

対する裝騎コロヴェフは幅広で厚さの薄い剣を槍のように構えて迎え撃つ。

序盤はまるでフェンシングのような一進一退の突き合いから始まった。

しかし、やがて剣同士がぶつかり合う音が響き渡る。

「相手のペースに乗せられた」

突きが得意なはずのアブディエル型裝騎は剣の打ち合いへと導されたのだ。

「すげーだろ、店員のお姉さん」

不意にスズメの橫から聞き覚えのある男の聲がする。

「……だれ?」

「コスさん!」

自稱「新進気鋭のロックミュージシャン」ボウジット・コスその人だった。

「アナヒトちゃんも會ったことあるはずだよ。ŠÁRKAに參加してくれてたから」

「おぼえてない」

「ならおぼえておけ、最高のロックミュージシャン、コス様をな! サインをあげるぜ」

「いらない」

渡したサインがその場で破り捨てられるのに悪い顔一つしないですぐにその視線を戦いに向ける。

「コスさんも參加するんですか?」

コスは以前、ニャンニャー・ステーション限定福袋爭奪戦に參加していた。

となると、今回も參加希なのだとスズメも思ったが、

「いや、あの人が相手なら分が悪い。ロックに観戦しとくぜ」

首を橫に振った。

「コスさんだってかなり強いですよ!? それなのに參加しないなんて――あの人、いったい……」

「お前は參加すんだろ? なら、戦ってからのお楽しみかな。だがまぁ、一つだけ教えるとしたら……」

コスはそっと目を閉じ、何かに聞きるような素振りを見せる。

周囲に響くのは剣の音。

ギン、ギン、ギンギンギン――それはまるでワルツのように一定のリズムを取っていた。

「一見単調だがこのリズムは恐怖だぜ。いや、一聞?」

「リズム……」

やがて響き渡るワルツのリズムが歪んだその時――アブディエル型裝騎はその機能を停止していた。

それから何度かの戦いを観てスズメはし理解した。

「リズムは殆ど一定――あれは相手のペースに飲み込まれた結果、ああいうリズムを刻むようにかされたからなんですね」

「そうだぜ」

「ですけど、攻撃自は単調ですし……あれくらいなら……」

裝騎コロヴェフのあまりの強さに最初は多くいた參加希も次第に數を減らし始める。

そしてついにスズメがフルドリチュカに示され、フィールドへ上ることとなった。

「まずは名前を聞かせてもらえるかな?」

「スズメです! そしてこれが私の裝騎――」

會場に姿を見せた特徴的な裝騎の姿に歓聲が上がる。

「スパロー4ce!」

「面白い対戦相手が來てくれたな! ステラソフィアのサエズリ・スズメちゃんだぁ!」

ひとしきり歓聲をけた後、スズメとフルドリチュカは裝騎に乗り込む。

「それじゃあいくぜ! バトル、スタートだ!」

「サエズリ・スズメ、スパロー。行きます!!」

両使短剣サモロストを右手に裝騎スパロー4ceが勢いをつけて突っ込んだ。

両使短剣サモロストの一撃を平剣ピールコがけ流す。

そして素早く勢の崩れた裝騎スパロー4ceに刃を向けた。

「どうかな!?」

しかし、その一閃は屆かない。

裝騎スパロー4ceは勢を崩したのではなく――

「前転して距離を取ったんだな!」

「それだけじゃ、ないですよ! ムーンサルト……」

そのまま裝騎スパロー4ceはバク転宙返り――裝騎コロヴェフの背後を狙う。

「ストライク!!」

ギィイン! と激しい音がして両使短剣サモロストと平剣ピールコがぶつかり合った。

「ムーンサルト・ストライク……良い技だ! けど、いつまでも通用するようなモンじゃないぜ!」

「その通りですね!」

それから何度かの打ち合いが繰り広げられる。

やがて剣戟が一定のリズムを取り始めて來た。

「これは――!」

今まで何度か見てきたフルドリチュカの必勝パターンに引きずり込まれつつあることをスズメはじる。

「流れに取り込まれたらダメ……今のに、変える!」

スズメは裝騎コロヴェフの隙を探し、リズムを変える一撃を打つために視線を研ぎ澄ませた。

一定間隔で響く音、衝撃、き。

「そこっ……」

リズムに間が空く一瞬を狙い、両使短剣サモロストを振り上げようとしたその時――スズメのに悪寒が走る。

じたのは獲の隙を虎視眈々と狙う視線。

このリズムから外れた瞬間、自分が狩り獲られてしまうという直

「これが――これがニャンニャー・ステーション店員の、力」

「あれぇ、仕掛けると思ったんだけどなぁ。いやはや、いい勘してるぜほんと」

敵のリズムに乗せられまいとすればするほど絡め取られていく。

「このままだと相手の勝ち筋に乗せられたまま――結局は一か八か出ないと、いけない!」

スズメは意を決して相手を見據える。

「おっ、やっぱり來るかな!? 楽しみだな!!」

裝騎スパロー4ceの僅かなきの変化から、フルドリチュカはそう確信した。

そして何度目かの間が出來たその瞬間、

「行って、ヤークトイェーガー!!」

裝騎スパロー4ceの全に裝備された追加裝甲《ヤークトイェーガー》が出された。

「うをぉっ! 飛ばすね!!」

それは予想外の攻撃だったはずだ。

しかし裝騎コロヴェフは四肢のアタックブレードにを燈しながら咄嗟にを低くする。

そして、最小限のきで自らに命中しそうなヤークトイェーガーだけを弾き飛ばした。

それどころか、空いている右手でヤークトィーガーの一つを摑み取ると構え、裝騎スパロー4ceの襲撃に備える。

「へぇおもしろい! この追加裝甲って手持ち武にできるんだぁ!」

「つ……強い…………」

追撃ではなく距離を取ったのが幸運。

裝騎スパロー4ceと裝騎コロヴェフの戦いは仕切り直された。

スズメは左手で平剣ピールコを弄ぶ裝騎コロヴェフを睨みつける。

「どうしたのかな? きが止まってるぜ!」

「あんなに強い……あの人、誰?」

「強いのは當然だぜ。なんたってロック中のロック。クイーン・オブ・ロックだからな!!」

「意味、わからない」

「まっ、ロックなニャンニャー・ステーションの店員ってのは伊達じゃねぇーってことさ! なんたってあの人は――」

靜寂を破り再び響き渡った剣戟の音に観客達が沸き立つ。

「諦めが悪いね! お姉さん、そういう子嫌いじゃないよ!」

「當然です! 私は勝って――そして、ギャラクシー・ニャオニャンニャーを手にれるんです!!!」

「いいね。逆境だからこそ燃え盛る闘志――まさにチーム・ブローウィングの戦いそのものだ!」

「まさか――――アナタは!」

裝騎コロヴェフは敢えて自ら裝騎スパロー4ceから距離を取ると、靜かに平剣ピールコの切っ先を裝騎スパロー4ceに向けるよう構えた。

その構えにスズメは既視を覚える。

どこかでよく見た構え――ここからくる攻撃は……

「突貫斬り(チャージスラッシュ)!!」

裝騎コロヴェフは一気に駆け出し、裝騎スパロー4ceと距離を詰めた。

「これがわたしの――――突風斬り(ガストスラッシュ)だぁ!!」

構えから突撃――その一連の作はワシミヤ・ツバサの得意技「突貫斬り」とよく似ている。

相違點は、突貫斬りがその刃で敵を貫くのに対し、突風斬りは――

「逆袈裟!!」

すれ違うようにを反らすと、相手を鋭く、そして素早く袈裟斬りにするという違いがあった。

それは突きが來ると錯覚させてのフェイント斬り。

見事なまでの切り替えはスズメの目を見張るものがあった。

「アナタはやっぱり……元ステラソフィアの!?」

「そう!! 元チーム・ブローウィング、ピールコヴァー・フルドリチュカだ!!」

「ツバサ先輩と同じような技――あの技は……」

「ツバサはわたしの2個下でね! メイン武が剣のアタッカーってことで気が合ったもんだぜ!」

ない會話のそばで、激しく刃と刃がぶつかり合う。

2人ともそこに一切の緩みはない。

「ちなみにツバサの突貫斬りだけどね――」

再び裝騎コロヴェフが距離を取ると平剣ピールコを構えた。

「突風斬り――違うっ!」

構えから走り出しまで全く一緒。

しかし、今度の一撃は払いの無い突きの一撃――突貫斬りそのもの。

「あれは2人で作った技だ! 本來ならこんな風に突きと払い――狀況に合わせて派生させるフェイント用の技なんだけどな!」

「ツバサ先輩のジェレミエル型なら、突貫斬りの方がに合いますしね」

「確かにな! 反面、わたしは突風斬りの方が相いいからね」

「本當、さすがの剣捌きです! あの構えから素早く袈裟斬りに移れるんですから」

だからこそのあの隙の無さ。

裝騎越しでもにじみ出る強気。

フルドリチュカは戦いのリズムを崩す相手をその瞬間に切り伏せる自信があった。

だからこそ、あの一見単調に見える戦い方なのだとスズメは知る。

「んで、どうするかな? このまま斬り合いを続ける? それとも距離を取る? さぁ、どうする?」

スズメは分かっていた。

このまま斬り合いを続ければやがて相手のリズムに完全に飲み込まれ負ける。

距離を取ったところで切り結ばなければ決著はつかない。

そして、相手のリズムを壊そうとすればそこで一気に決著をつけられる。

「ならば!」

裝騎スパロー4ceは両使短剣サモロストをり、裝騎コロヴェフとの斬り合いを続けた。

「退いたところで意味はないもんね! でも、本気でわたしのリズムを崩せると思ってるのかな?」

「リズムを崩す――ですか。その必要は、無いです!」

スズメは靜かにリズムをじる。

裝騎コロヴェフが散々に刻み付けたそのリズムを。

「このリズムがアナタのペースだというのなら、私はそれを自分のペースにするだけです!」

裝騎スパロー4ceのきがわずかに、ほんのわずかにだが素早さを増していく。

「言うなぁ! それじゃあ、どんな風にわたしのペースを奪ってくれるのか楽しみにするよ!」

それにフルドリチュカは気付いていない。

刻まれる剣戟の旋律は変わらない。

しかしその速度が次第に早く、早く、早くなっていった。

裝騎スパロー4ceは相手の刻むリズムに対し、ほんの僅かに先制し続けることで全の速度を上げたのだ。

「!! うわ待て、これって……!!」

フルドリチュカが気付いた時にはその加速は止められない。

そして速度がある程度を超えたその時――裝騎コロヴェフと裝騎スパロー4ceの斬撃のタイミングが逆転した。

裝騎コロヴェフの攻撃に対応していた裝騎スパロー4ceという構図が、裝騎スパロー4ceの攻撃に対応する裝騎コロヴェフという狀態へ変わったのだ。

ここまで來ればあとはスズメの思うがまま。

「ムニェシーツ・ジェザチュカ!!!!」

霊子短剣サモロストの一撃で裝騎コロヴェフは機能を停止した。

「おめでとなー! わたしに勝ったサエズリ・スズメちゃんにはDX超鋼金ギャラクシー・ニャオニャンニャーをプレゼントだぁ! さすがに強かったなー」

「ありがとうこざいます! フルドリチュカ先輩と戦えて良かったです!」

「わたしもさ。ツバサやチャイカの後輩と戦えて、あいつらがしっかりブローウィング魂ってやつを伝えてくれてたことがわかったからな」

握手をわすスズメとフルドリチュカを観客は歓聲とともに見送った。

裝騎スパロー4ceの軽快な走りが心地よい帰り道。

「あの人、つよかった?」

「うん、強かった!」

「たのしかった?」

「うん!」

スズメの明るい聲にアナヒトの表が緩む。

「これ、バーリンのアパートで組み立てよっか!」

「立てる。ギャラクシーする」

「ギャラクシーしよ!」

「ギャラクシー♪ ギャラクシー♪ ギャラクシー・ニャンニャ〜♪ 銀河の願い〜♪ 」

「ギャラクシー・ニャオニャンニャー♪」

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