《幽霊公(プランセス・ファントム)》3-5
アドリアンの立ち直りは早かった。
「いやあ、こうして我が目で人ならぬ者を見る日が來るとはね。あなたと出會えたことを神に謝しますよ、公(プランセス)。」
(何でこうなっちゃうの……。)
ユーディトは、はあーっ、とうな垂れてため息をついた。
魔力も効かなければ、魔を見ても恐れない。それどころか、アドリアンは興味津々でジーヴァを見つめている。
「彼はジルヴァーヌス。わたくしの家と契約している夢魔の一人ですわ。」
こうなっては仕方が無いので、ユーディトは彼にジーヴァを紹介した。
「そうですか。よろしく、ジルヴァーヌス。」
嬉々として挨拶をしたアドリアンを、ジーヴァはじろりと不機嫌そうに睨み付けただけだった。
そんなことは気にも留めず、アドリアンはユーディトに向き直った。
「の一人、とおっしゃるからには、他にもいるのですか?」
「ええ、の夢魔(サキュバス)がもう一人。」
「ご一緒ではないのですか?」
「昨夜はいましたけれど、今日は分かりませんわ。」
「やはりしい姿をしているのですか?」
「そうですわね。」
俄然、アドリアンの目が輝きだした。
「それは是非ともお會いしたいですね。」
「おい、バカ殿。」
それまで黙っていたジーヴァが口を開いた。
「二番目の妻の寢室と、婚約者の寢室を見せろ。お前の寢室もだ。」
『やっぱりジーヴァも魔が絡んでいると思うの?』
見上げたユーディトに、ジーヴァは頷いた。
『お前も気付いただろう?はっきりとはしないが、気配はある。』
『そう……。』
「ところで、『バカ殿』って、僕のことですか?」
二人の會話に、アドリアンの間延びした聲が割り込んだ。
「そうだ。」
「そうですわ。お似合いでしょう?」
彼の質問に二人揃って肯定されて、アドリアンは何とも言えない顔をした。
お月様はいつも雨降り
僕の部屋に見知らぬ企業から一體の少女型の人形が送られてきた 人間のように話す僕の過去を知る人形 彼女と出會ったその日を境に 僕の日常は少しずつ変わっていった 多分、それは破滅に向かって
8 106冥府
山中で夜間演習中だった陸上自衛隊の1個小隊が消息を絶った。 助け出そうと奔走する仲間たち、小隊を付け狙う地獄の使者、山中一帯に伝わる古い伝承。 刻々と死が迫る彼らを救い出すため、仲間たちは伝承に縋る。 しかしそれは、何の確証も一切ない賭けだった。 危機的狀況で生きあがく男たちの戦いを描きます。 カクヨムにも掲載しています。
8 140もしも変わってしまうなら
第二の詩集です。
8 144【完結】辛口バーテンダーの別の顔はワイルド御曹司
ナンパから自分を救ってくれたタクミというバーテンダーに淡い戀心を寄せる道香だったが、タクミが勤めるバーで出會ったワイルドなバーテンダーのマサのことも気になり始めて…
8 89連奏戀歌〜愛惜のレクイエム〜
少年、響川瑞揶は放課後の音楽室で出會った少女と戀仲になるも、死神によって2人の仲は引き裂かれ、瑞揶は死神の手によって転生する。新たに生まれたのはほとんど現代と変わらない、天地魔の交差する世界だった。 新たな友人達と高校生活を送る瑞揶。彼は戀人が死んだ要因が自分にあると攻め、罪に苛まれながら生き続ける。居候となる少女と出會ってから前向きに生き始めるが、その果てに何があるか――。 世界を超えた感動の戀物語、ここに開幕。 ※サブタイに(※)のある話は挿絵があります。 ※前作(外伝)があります。
8 122婚約破棄予定と言われたので透明になって見たら婚約者の本性を知り悩んでいます
侯爵家令嬢の私…イサベル・マリア・キルシュは昔からの親同士の決めた會ったこともない婚約者ニルス・ダーヴィト・シャーヴァン公爵令息様と 16歳の學園入學の際にラーデマッハ學園で初めてお會いすることになる。 しかし彼の態度は酷いものだった。 人混みが嫌いでこの世から消えたいと思い透明薬の研究を進めてついに完成したイサベルは薬で透明になり婚約者の本性を知っていくことに…。
8 116