《幽霊公(プランセス・ファントム)》3-6
結局、夕食の時間が近付いていたので、殘りの調査は明日、ということになってしまった。
その日の晩餐には、バベットも顔を出した。今日は合が良いとのことだ。
ジーヴァの存在をアドリアンに知られてしまったので、今晩は彼も人間のふりをして席についている。ジーヴァの人とは違う目を誤魔化すための眼鏡は、アドリアンが用意した。
ユーディトの向かいに座る金髪の青年に、オーギュスタン家の老練な執事は、ほんの僅かだけ表をかした。ジーヴァを、年若い公の人か人とでも思ったのだろう。
彼の反応を見逃さなかったユーディトは、薄く口元に笑いを刷いた。もう一つ客間を用意するように、とアドリアンが指示を出していない以上、當然の解釈だ。
(どうでも良い事だわ。)
貴族の間では、人など珍しくもない。
夜になって雨腳が強くなった。風の加減で時々、ざあっと水滴が窓に打ち付けられる音が食堂に響く。
今夜も食事には手をれないユーディト同様、ジーヴァもワインだけを口にしている。もちろんユーディトは、後でデザートだけは食べるつもりだ。
「公(プランセス)ソブラスカ、昨夜はご挨拶出來ず、大変失禮いたしました。」
アドリアンの婚約者、バベット・シュヴェイヤールは、金髪碧眼のしい娘だった。華やかなドレスに包まれた下腹部は、まだそれほどせり出してはいない。
五ヶ月くらいだろうか、とユーディトは目算した。
「いいえ。こちらこそ、お加減が優れない時にお邪魔してしまって、申し訳ありませんわ。」
「お城の中は見られまして?」
彼には、ユーディトは灰城館を見學するために訪問した、とだけ知らされている。彼がユーディトのことをどう思っているかは知らない。メイドの噂話くらいは聞いているだろう。
「旅の疲れが出てしまいまして、あまり。明日、ゆっくりと見させていただきますわ。」
「そうなさって下さいまし。ご一緒できなくて申し訳ありませんわ。」
「どうぞお気遣いなく。」
なくとも表面上は和やかに、二人が笑みをわそうとした時、がちゃん、とグラスの割れる音がアドリアンの席の方からした。
「バベット、食べるな。毒だ…。」
蒼白な顔で言葉を押し出すと、アドリアンのは、がくん、と仰のいた。
もしも変わってしまうなら
第二の詩集です。
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