《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》さようなら、俺達 ④
「昨日駿に電話をかけたら、駿のお姉さんと繋がりました。その後駿の口から事実を知らされました。自分のお姉さんと関係があるって。それは本當ですか?」
……
……
なんか言ってよ。
間が
間が怖い。
先生は日本酒の盃を置き、また一つため息をついた。
「白咲さん、もしそれが本當ならどうするんですか?」
「わからないです。正直頭が追いつかなくて……。」
「噓なら?」
「う、、噓をつくようなじはしなかったです。もし噓をつくならもっとまともな噓をつくと思います。」
俺も先生もお互い視線を逸らすことはなかった。
俺の話を真剣に聞いてくれてる、目を見ればわかる。
「さっきも言ったが俺達は兄弟同士接はなかった。誰のことが好きで誰と付き合ってるかなんかわからない。普通の家庭は家族同士沢山コミュニケーションを取るみたいだよな。それも家出してから知ったんだよ。……でも今ならわかる。何故俺達は接がなかったのか」
先生はをし乗り出し、両肘を機に置き組んだ手の甲に顎を乗せた。
「俺達は本當の兄弟じゃないかもしれないってことだ」
「本當の兄弟じゃない?」
「俺が見る限りでも、家の中で知らない男が行ったり來たりしていたからな。今住んでいる人達も本當の母親か父親か……わからないよ」
日本酒をクイっと一口で飲み、また盃には日本酒で満たされた。
なに言ってんだ、この人。でも噓やはったりを言ってるようなじでもない。
俺はがカラカラになりお茶を一口飲んだ。
「……」
「言葉失うよな、異常過ぎて。聞いてるだけでもそんな気持ちになるんだ。でも俺達はそこで生活をしていたんだ。駿や俺の気持ちをしでも理解してもらえるとありがたい」
理解しろって言われても、無理だよ。
同じ家で住んでいる人達が本當の親か兄弟かわからないこととかあるか?
赤の他人とルームシェアしてもある程度のことはわかるぞ。
「家庭環境は最悪だった。外面は立派な家庭に見えるだろう。最低限の勉強はして、學校も行っていた。そこは謝している。でも両親に言われたんだ、友達は一切作らないでくれと。言われた通り友達は作らなかった。外にもいかない、友達とも遊ばない。學校以外は自分の部屋にいてほぼ狀態だったよ。母親と父親の言うことは絶対だった。、、、この異常な家庭のことを聞いて、それでも駿を助けたいというのであれば俺は止めない。ただ覚悟はしておいたほうがいい。」
想像してみた。
俺がもしその家庭環境で育ったら……。
いや、想像出來ない。
難しすぎて、わからない。理解できない。
「先生、過去は変えられない。でも俺達は縁があって出會えたと思っている。助けたいとかスーパーマン気取りをしているわけじゃなくて、駿と普通の暮らしをしたいんです。」
「事故にあったとは言え、君はしずつ取り戻すように普通の生活に近い形で暮らしてきた。いいか。わざわざ、危険で辛い道を選んで普通の暮らしを潰さなくていい。」
「駿を助けることが危険で辛い道だとは思っていない」
「人の家庭に首を突っ込まない方がいいって言ってるんだ!」
先生はし聲を荒げ、機を叩いた。
ビクッと肩が震えたが、ここまできたら引き下がれない。
俺が首を突っ込みすぎなのはわかってる。
でも、もう一回駿と會ってきちんと話がしたい。もう一度會いたい。
「助けてください。お願いします……」
俺は頭を下げた。
目に溜まった涙は下につたい、服のを染めた。
「……ダメだ。俺はもう過去に戻りたくない。あの家庭に首を突っ込みたくない」
それでも先生は首を縦に振ることはなかった。
「駿の自宅……。駿の自宅を教えてください。もし、家にいてなかったら諦めます。お願いします」
「……考えさせてくれ……」
気まずい雰囲気で、出されたご飯を口に運ぶ。
勿無い。食べないといけない。涙の味がして味しくない。
味しい匂いは漂っているのに。
駿は
駿はご飯食べてるのかな……。
あの出て行った日
どんな気持ちで俺に言ったんだろう……。
助けてしいって言ってるような気がした。
俺は弱いから助けてあげれなかった。
今はまず、駿を探して見つけ出さないと。
本人の口から事実を聞くんだ。
気持ちをしっかり持つんだ。
俺は出された料亭の料理を掻き込むようにして食べた。
料理を食べ切り、特に先生と話をすることなく外に出た。
やっぱり重たい雰囲気になっちゃったな。
ある程度は覚悟してたけど……。
そう思いながら料亭を出ると、外はもう真っ暗だった。
外を見上げると、しだが星が見えた。
「今日はごめんね。重たい話になって。一人で帰れるかい?」
ったのは俺だったのに、先生は俺がトイレに行ってる間會計を終わらせてくれてたみたいだ。料亭の中の時とは別人のように先生は笑顔で接してくれた。
「帰れます。味しかったです、ありがとうございました。」
俺はの前で手を合わせて、頭を下げた。
「白咲さん、さっきの話、頭を冷やしてきちんと考えてみるよ。君も無理しないで」
先生は俺の頭をポンポンと叩いた。
先生と話をすると帰る道が途中まで一緒みたいだった。さっきは俺が話を振って悪い雰囲気にさせたから、次は雰囲気を悪くしない話を振ってみよう。
「さっきの料亭行きつけって言ってたんですけど、誰かとよく行くんですか?」
「んー……これと言って誰ってないかなぁ……。看護師とか」
悩みながら話していると、いきなりあっ!と思い出したように言った。
「駿とも來たかな」
「駿と?」
「家を飛び出して家族の縁を切ったってメールがきて。何もすることがないからって、悪い人達と喧嘩ばっかりしてたみたいでだらけで俺の病院來たよ。顔を見てなにしてるんだよって思ったけど、駿は家を出て楽しそうにしていた。人を傷つけることはよくないが、なくとも家にいた時よりは生命力があったよ」
なんだかんだ言って、先生も駿のこと心配してたんだ。
外で悪いことをしてもそれ以上に家にいることが辛かったんだろう。俺は家が家族が大好きだったから、その気持ちは正直わからないけど。
改めて読んでいただき本當にありがとうございます!
謝しています。
PVを見てるとすごく嬉しい気分になります。
もしよければ次に繋げれるよう、想、レビュー、いいねを頂けると嬉しいです。
我儘ではありますがよろしくお願いします
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