10分くらいドアの叩く音が聞こえたが、ピタっと聞こえなくなった。

また、離れちゃうのかな。

開けようと思えば開けれたのに。

駿、會いたかったよ！って言ってあげればよかった。

なにやってるんだろ……俺。

自分から手離しちゃった。

しして、宅配も來てドアを開けたが見える範囲では誰もいなかった。

ほんの一瞬の出來事。幻のような時間だったじがする。

心がモヤモヤした狀態でもう一回仕事に取り掛かかった。

外は雨なのか、雨の音と雷の音が響いている。モヤモヤが取れなくて、作業も思ったより進まなかった。

ぐぅうぅ……

このお腹の音で現実に戻された。さすがに1日水分摂取しかしてなかったから、が飢狀態になっていた。

「腹減ったー！」

大きな獨り言を言って、臺所に向かった。

臺所でご飯の準備をしていると、ふと視線をじた。

振り返ったが、誰もいない……。

當たり前だけど。

でも……視線をじる……。

さらに周りをよく見渡した。

リビングにある大きな窓のカーテンか揺れた。

誰かいる……。

泥棒か？

いや、まさか……

まさか……

恐る恐る影の方に行き、カーテンし開けた。

影の方を見ると、育座りをして雨に打たれた駿が震えながらそこにいた。

その姿を見た時、幻かと思った。

小さな子犬がご主人を探して待っているようで涙が出そうになった。

俺は窓をし開けた。開けた音が聞こえたのか駿がチラッと後ろを振り返り俺を見た。

「なにしてんの？」

「はなし……したくて……」

「風邪ひくじゃん」

「寒いね、確かに」

震えるが止まらないが、顔は笑っていた。

「なんで來たの？」

「はなし、したくて」

「それさっき聞いた。なんの話をするの？」

「わかんない。本當はしでも律に會いたくて」

「急にいなくなって、急に來んなよ」

「そうだね。あ、そうだ。これ……」

駿は立ち上がり、びしょびしょに濡れたポケットから茶封筒を取り出した。

「なに？」

「前泊らせて貰ったからそのお禮のお金。」

「いらないって」

「け取ってよ……」

茶封筒を無理矢理俺の手に握らせた。

「律、ありがとう」

駿は濡れた手で俺の頭をでた。

「兄さんから電話かかってきてさ。休み明けに律のカルテを見たら暴力された跡があったって。律は病院で頑なに言わなかったみたいだけど、気になって兄さんは家に電話したみたい。親はバカだからさ、誇らしげに全部話したみたいだよ。ごめんね、痛かったよね……」

駿は涙なのか雨なのかわからないが、目から溢れるものがあった。濡れているを気にせず俺を抱きしめてくれた。

冷たい

震える

その狀況に俺は心が痛み、駿を抱きしめた。

俺の勝手な行で駿をこんなに苦ていたなんて……

俺が謝らないといけないんだよ……？

「このアザもこの怪我も本當は律がけなくていいものだったのに」

抱きしめていたを離し、駿の冷え切った両手が俺の頬を伝う。

「ありがとうだけ伝えたくて。でも、律をこれ以上辛い目に遭わせるのは間違ってる」

駿は今までにない真面目な目をして俺を見て言った。

「ここで本當のさよならをしよう」