《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》俺達は本當の兄弟 ②

今日はお風呂も貸してもらい、著替えも用意して貰って至れり盡くせりだ。自宅にいたときはなにもかも全部自分でしないといけなかったから、とても嬉しかった。

ベッドもフカフカで雲の上を飛んでいるようだ。大人三人くらい寢れそうな広さ。

……でも逆に落ち著かないな……。

周りを見渡すと、殆どなにもないが本棚があった。

本棚には沢山の本が隙間なく埋め盡くされていた。一冊ずつ見ると、漢字からして難しそうな本だ。読めない、、というか読む気がしないな。

「ん?」

一冊だけ明らか本ではないものを見つけた。

背表紙にはなにも書いていない。

「駿」

手に取ろうとしたら、兄さんが部屋にってきた。

「俺休みだから、一緒に病院行こうか?」

「いや、いいよ。休みなんだろ?」

「殘ってる仕事あるし、いくよ」

休みなのに、病院に行ったらそれはもう休みじゃなくて仕事だろう。病院の仕事って見た目以上に本當に大変なんだな。

「なぁ、この本何?」

俺が指を指すと、兄さんが俺の橫に立ち指差した背表紙のない本を見た。

「あーアルバムだな。見ていいよ」

許可がもらえたのでそのアルバムを手に取り、ベッドに腰掛けた。

俺の前で手を組み兄さんが立っている。

「これって……」

昔は寫真を撮った記憶がなかったから、てっきり最近のアルバムかと思った。

寫真の橫にいつ撮ったか日付けが書かれているが明らかに俺が産まれる前だ。兄さんが産まれた年くらいか?

捲っていくと、両親の若い頃の寫真もある。

「……」

あいつ、、、父さんが新米教師だった頃だろうか。笑顔で映る寫真を見つけた。

「こんな笑顔初めて見た」

俺が捲る手を止めると兄さんが立ったまま、寫真を覗きこんだ。

「それ、確か父さんがまだ先生をして1年目だったと思う。山岳部の顧問だったみたい。山岳部は危険なこともあるから顧問が三、四人いてたらしい。ほら、周りに先生もいてるだろ?」

その寫真は四人の先生が肩を組んで笑って立っていた。

俺は一人一人先生の顔を見た。

そして、気付いた。

いや、気づいてはいけなかったかもしれない。

「この人……」

    人が読んでいる<親の操り人形は自らその糸を切ろうとしている>
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