《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》俺の心は ③
コトン……
機の上に置かれた熱いココア。
甘い匂いが鼻を通る。
熱いのでコップの取っ手に指をかけ、コップの淵から息を吹きかけ、冷ましながら飲む。
「ねぇ、律。大事な話するんだよね。だったらさ。俺の橫の椅子に座って」
椅子の座板をポンポンと叩き、目で訴えてきた。
「なんだよ、急に」
「一回車椅子から離れて話してみようよ。同じ目線で。いつも俺がちょっと目線を下にするから変なじがしたんだよね」
やっぱり駿はなにを考えてるかわからない。
別に目線が一緒だろうが下だろうが俺は慣れているから違いがわからなかった。
まぁ、でもそう言うなら椅子に座ってみようか。
正直、車椅子の座席のほうが慣れてはいるんだけど、
肋骨の痛みもあるため、俺は駿に抱き抱えるような形で椅子に移した。
同じ椅子でも今座った椅子はかない椅子。ちょっと居心地は悪いが、確かに目線は駿と同じになった。
「いいね。で、なんの話をしようか」
なにが“いい”のかやっぱり俺にはわからない。
肘を機に置き、指で顎をり“うーん”と唸りながら悩んでいた。
「律のお父さんの過去を調べるんだよね」
「そう。調べるには山下さんは捕まったし、お父さんはいない……。そうなると、駿のお父さんしか頼れる人はいてないような気がして」
「また怪我して帰ってきたらどうするの?」
時々顔を出す、急に表が消える駿の顔。
凍てつくような冷たい表だ。
これがなにを意味してるかはわからないが、話を続けるにはし勇気がいる。
「それにあいつを頼る前に俺達でまずやれるところまでやってみようよ」
また、急にコロッと表が変わった。
今度はニコニコした表。
「どうやって?」
「図書館とかは?昔の新聞とか置いてるから」
確かに大きい図書館だと昔の資料を置いていることが多い。調べるなら図書館に行くのが一番……ってお父さんが言ってたような気がする。
「でも大丈夫?」
「なにが?」
「過去を調べるのは結構辛いと思うよ。俺だって、過去を振り返るのに姉さんに會ったけど、フラッシュバックで心が死にそうだったから」
大丈夫だよ!なんて言えない。だって調べる前からもうすでに怖いんだから。
なんのために調べているのかって言われたらわからない。だって俺ら側に全くと言っていいほどメリットはないのだから。
でも、引っかかる。あの優しく溫厚なお父さんが恨まれていたことを。
そしてあの時の山下さんは噓をついてるようには見えない。
もし、山下さんの人生を狂わせたのがお父さんならそれを知る権利が俺にはあるはずだ。
そして、駿のお父さんも……。
これは運命の悪戯ではなく、もしかすると必然的俺達は出會ったのかもしれない。
俺は警察でもなければ、スーパーマンでもない。だからこそこの調査は自分の自己満にすぎない。
それを充分にわかった上での調査だ。
「覚悟は出來ているよ」
「そっか」
冷め切ったココアを口いっぱい飲み込み、図書館へ行く準備をした。
改めて読んでいただき本當にありがとうございます!
謝しています。
PVを見てるとすごく嬉しい気分になります。
もしよければ次に繋げれるよう、想、レビュー、いいねを頂けると嬉しいです。
我儘ではありますがよろしくお願いします
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