図書館……

と言えば本が整列しているどうしてもいイメージがある。しかしそこは親しみの深い空間でもある。

小さい頃から行っていた人もいれば、學校で慣れ親しんだ人もいる。もちろん、大人になってから行った人もいるだろう。

俺は前者にあたり、小さい頃から好きな空間だ。いつもなら好きな本を借りるのだが、今日は違う。嫌いな過去を調べなければならない。

「過去のことは新聞で調べたらいいと思う」

広い図書館で新聞が並ぶエリアを探した。

ニ、三年も前だからあるかどうかもわからないけど。

莫大な本.雑誌が並ぶ中、新聞があるエリアに辿り著いた。

「ねぇ、いつ事故が起きたか覚えてる」

事故の詳細を忘れようとしても、日にちは忘れることができない。家族の命日でもあるから。

「覚えてる」

年月日を駿に伝えると、ファイリングを一つずつ目でおった。

「あ……あった」

ギリギリだが資料が殘っていた。

手に取ると、近くにあった機へ移し新聞を広げた。

記事を調べると、俺が思っていた以上に大きく取り上げられていて、事故の詳細や寫真が大々的に載っていた。今になり初めて記事を見た様な気がする。

駿が記事の書いている文章を一字一字指でななぞり、小さな聲で読んでいく。

新聞の寫真は空から撮った寫真と近くから撮った寫真と二枚あった。

高速道路で二臺の車が炎上している寫真。

死亡者は四名。

“熱い……”

“痛い……”

“赤い悪魔が目の前に広がっている”

やばい……

しずつだが、頭の中で事故の映像がショートムービーのように流れた。

冷や汗が額を伝った。

の気がサーと引くのがわかる。

心臓の音が激しく鳴り響く。

記事を見てると事故の記憶がさらに鮮明に蘇って來た。今まで固い蓋で開かなかった瓶がゆっくりと回転しながら開くような覚。

もし全部開いてしまったら……

「ま……待って……」

俺は記事をなぞる駿の手を、握り止めた。

駿は俺を見て驚いていた。

たぶん顔が真っ青だったのだろう。

「大丈夫？一回やめよ」

なぞる手を止め、俺の肩に手を添えた。

をると鼓が手のひらまで伝わってくる。あー……ダメだ。このじ。

胃からなにかが噴き出てきそうだ。

「吐きそう」

俺が口元に手を抑えて前屈みになると、駿は新聞を急いで閉じトイレへ車椅子を押してくれた。