《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》俺達が知る事故の詳細 ②
「大丈夫ですか?」
トイレにる前、制服を著たが走って俺達のところに來た。
「私、図書館司書をしています。すみません、先ほど見かけたので気になりまして」
「本を読んでいて気分が悪くなったみたいです」
はとても心配そうに駿と俺を互に見た。は膝を床につけ屈み、俺と目線を合わせた。俺はハンカチを口に押さえて、の目を見た。
「無理であれば、休憩室もあるので私にお聲をかけてくださいね」
「……ありがとうございます」
俺もし會釈をし、そのままトイレに車椅子を向けた。
トイレの便座の底を見る様に、俺は顔を下に向けた。
無理だ。
俺には無理だ。
思い出しただけで蟲唾が走る。
なにもされてないのにが熱く、痛い覚に襲われる。
吐いても吐いても殘る罪悪。
吐いても吐いても出てくる事故の映像。
今も目の前で事故現場が殘像として殘っていた。
思い出したくなかった過去が一気に蘇ってしまった。
背中をりながら、駿は俺に聲をかけた。
「調べるのやめよ。律が辛そうだよ。休憩室に行く?」
「……いや、帰りたい。落ち著かないから。ごめん……」
「わかった。帰ろう」
“帰ろう”その一言で安心したのか、がふっと軽くなっだ。もう調べなくていい。もう見なくていい。
初めは調べるくらいなら大丈夫と軽く思っていたが、忘れたかった記憶が突然かつ鮮明に思い出すとは思っても見なかった。
しため息をつくと、車椅子は図書館の出口へと向かって行った。
「律、一回自分で整理して過去を思い出してみたらどうかな?」
外に出ると図書館で味わった重たく澱んだ空気が噓の様に今は清々しい空気へと変わった。
「思い出す……?」
「いきなり、寫真や記事を見て強制的に思い出したからしんどかったかもしれないよ。自分でちょっとずつ思い出すことができたら自分で思い出すことをコントロール出來ないかな。」
確かに今まで殆ど思い出したくなかった過去の事故。さっきはパンドラの箱をいきなり開けたように全部放出したじだった。
「そうだね、やってみようかな。俺も事故を思い出さないと調べる材料もないし」
「それで無理なら……今は思い出す時じゃないんだよ」
道中で吐き気も収まっていた。家に著くと、調不良も全くなく、さっきのことが噓の様にじた。
それでも、駿はまだ心配そうな顔をしていた。
「それかまた、また明日にする?」
湯気が立つ熱いほうじ茶を機の上に置いた。
俺の隣に座り、眉をハの字にさせ悲しそうな顔をした。
「いや、大丈夫。一回休んだらまた一から思い出さないといけなくなるからこのままの流れできちんと全部思い出したい」
「辛くなったり、しんどくなったら言って」
ほうじ茶を一口飲んだ。
湯気が目の前を曇らせた。
いや、もしかすると思い出すのに目に涙が溜まって霞んでいるだけかもしれない。
一度眼を閉じ、深呼吸をした。
大丈夫、大丈夫と自分に暗示をかけた。
そしてをで下ろし、目をゆっくり開けた。
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