《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》俺達が知る事故の詳細 ⑤

“あー腹減った!”

店が近づくにつれておの焼いたいい匂いが鼻をそそり、食がそそられる。

店にると奧にお父さんとお母さんが並んで待っていてくれた。

機の上には、おや飲みが盛大に並べられていた。

“お!律に春座れ。乾杯するぞ”

はーいと聲を揃えて、同じタイミングで座る。

それを見てお母さんはクスクス笑った。

“本當に仲がいいのね”

それを聞くと俺達は顔を見合わせて、ニコッと笑った。

“では。律の二十歳になった日を盛大に祝いましょう!かんぱーい!!”

四人のグラスが軽く當たる音が鳴り響いた。

鉄板の上で焼かれるは赤から茶に変化していく。食べごろを見計らい、お父さんは次々お皿に置いていってくれた。

その置かれるスピードに負けじと大の男二人が口におを運んでいく。

“本當によく食べるわね”

お母さんは呆気に取られていた。

“なぁ、お父さん。春もあと數年で二十歳じゃん。はやいよな。春の二十歳のお祝いも焼にしようよ”

俺はテンションが上がり、春が二十歳になってもこうやって焼たべたいなぁと思っていた。

だけどお父さんはおを焼いていた手を一瞬止めた。

“あー……そうだな。でもその時の気分によるかもしれないしな”

あれ……ガラッと雰囲気がし重くなった。

俺変なこと言ったかな……。

でも、その時一瞬だけでまた明るい雰囲気に戻った。気のせいだったのかな。

“ビール飲むか?”

お父さんにお酒を勧められたが、この楽しい気分を味わいたく今日はノンアルコールで偽酔い気分を味わった。

何時間いたのだろう。

服に焼の匂いが染みついている。俺達は胃や腸が出てくるくらい満腹に食べた。

幸せだ……。

お母さんは清算を終わらすために、先に席を立ちレジへ向かった。

俺達もあとからついて行き、お母さんを橫目に外に出た。

もう外は暗く、空気も冷たい。

“あー、寒い”

俺達は車の後部座席に急いでった。あとからお父さん、お母さんも車にってきた。

車の中は暖かく、エンジンがかかる音が聞こえた。

“律、今幸せか?”

お父さんがバックミラー越しに俺達を見た。

“なに、急に”

ミラー越しに目があって照れてしまった俺は深く腰をかけ窓の外を見た。

“聞きたいんだ”

“……幸せだよ。お父さん、お母さんには謝している。ありがとう。”

チラッとバックミラーを見るとお父さんは笑顔で俺を見ていた。

“ごめんね、律。ありがとう”

お母さんは聲を振るわせながら言った。

泣いてるようなじだったが実際にはわからない。

その時のお父さんの問い、そしてお母さんの涙……どういう思いがあったのか。

今では謎のままだ。

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