《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》俺達が知る事故の詳細 ⑧
「まぁいいか」
きっとどっかで名乗ったのだろう。そう自分に言い聞かせ、とりあえず新聞をゆっくり開いた。
事故の寫真が目に飛び込んできた。
ドクン
やばい……
また來た。
深呼吸するんだ、目を閉じろ
大丈夫。
昨日も見たじゃないか。
……
し目を開けてまた寫真を見た。
催眠にかかったかのように自分に暗示をかけた。大丈夫…大丈夫…。何回も頷き、に手を置いた。
吐き気や冷や汗はあった。でも自分の中で押し殺すようにを無にした。
そして再度寫真をみた。
寫真には二臺の車の衝突。
一臺は故障のために止まっていたが、それに気づかず二臺目が衝突した。
この二臺目が俺達の車だ。
高速道路の防犯カメラから詳細が明らかになった。
……
やっぱり、書かれていない。
俺達の車にはドライブレコーダーが付いていたはずだ。
間違いない。だって
“お前達の命を守るためにな、ちょっと高かったんだけどドライブレコーダーを買ったんだ”
と言っていた、確かな記憶。
でも、ここには防犯カメラの詳細は書かれていたが、ドライブレコーダーのことは一切書かれていない。
記事を読めば衝突の瞬間は映っておらず、夜遅かったため目撃者もなった。
……
新聞を読むのに沒頭していた。
次のページを捲ろうとすると
「!!?」
突然、悪寒がした。
普通の悪寒ではなく、脳が痺れるくらいの悪寒。
誰かに見られてる、そんな気がする。
振り返るが誰もいない。しかし視線はまだじる。
一度外に出た方がいい。
新聞を借りるため付でカードを発行して貰った。そのまま太ももの上に新聞のファイルを置いて急いでその場を後にした。
「……で、借りてきたの?」
家に帰ると先に駿が帰っていた。図書館であった出來事を全部駿に話した。
今は夜の八時過ぎ。
駿はファイルを開き目を通していた。
俺はと言うと、駿に話をしながらアクセサリー作りに集中していた。
「なぁ、駿は夏焼さんって知ってる?」
「なつやき?……知らないなぁ、誰?」
「なんかさぁ……あっ」
俺が話始めようとすると糸に通していたビーズが抜けて床に散らばった。
床にビーズが落ちる小さな音が響く。
「図書館司書の」
「あー……」
車椅子をし下げると、駿がビーズを拾ってくれた。
「骨ヒビってるんでしょ?」
拾うのしんどいから俺に言ってくれたらいいのに、みたいな顔をしていた。
手にヒラに拾ったビーズを置き、そのビーズを機の上に置いた。
「で、その人がどうしたの?」
「俺の名前を知ってた」
「え?」
「俺達名乗ってないのに、白咲さんって呼んできた」
拾ったビーズを糸に通すと、駿は俺の橫に座り頬杖をついた。
「昨日名乗ったんじゃないの?」
「駿のことはお連れ様って言ってた。ありえない。」
図書館司書と言えども、図書館の利用客を全員覚えてるか……と言われれば難しい。
利用客は名札なんてつけてないから尚更だ。
もし俺達が夏焼さんの前で名乗っていたとして、俺の名前だけはっきり覚えていて、駿の名前だけ覚えてないなんてありえるだろうか?
俺達が呼び合っているのを聞いていた……なんて言われたら俺達は下の名前で呼び合うことはあっても苗字で呼び合うことはここ最近はない。
たぶん、俺を個人的に知っている。
何故だ……
申し訳ないが、會った記憶が全くない。
「なぁ、律。俺思ったんだけど、山下さんにもう一回會いに行かない?」
「……なんで?」
「俺思うんだ。律の事故も元々はあの山岳部の時になにかあったんじゃないかって」
「……探偵みたいなこと言うなよ」
「あいつも律のお父さんも山下さんも俺達の知らないところで繋がりがあったんだ。俺はこれがただの偶然とは思えない」
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