《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》俺達は探す、死んだ男の正 ③
二十三年前といえば俺は産まれていない。
一何があったのか……。
學校の帰り道、図書館に足を向け俺は早足で向かった。
律が隣にいる時は車椅子の位置や幅を考えて歩いていたけど、今はなにも考えずに歩くことが出來る。最短で新聞コーナーまで行った。
二十三年前……
今の時代、新聞を買っている人はどれくらいいるだろうか。
俺は正直、新聞をこの図書館で初めて見た。
さっき、スマホで調べたが新聞は朝夕2回來るみたいで休刊日もあるらしい。
休肝日を考えないで、ざっと計算すると一年は三百六十五日、それを掛ける二をすると七百三十……
見ての通り莫大な數の新聞から探さないといけないことになる。
まぁ考えても仕方ない……やるしかないか。
機の上に大量の新聞を置き捲っていった。
別に全部調べなくてもいい、テレビ欄や株価……そこを飛ばせば探すところなんてない。でもやっぱり量は多い。
「こんにちわ」
頭を抱えて新聞を読んでいると後ろから聲をかけられた。
「あ……」
あの図書館司書だ。
「こんにちは、夏焼さん。今日は律はいませんけど……」
俺は夏焼さんに自己紹介をけていない。でもわざとらしく名前を呼んでみた。
「律……?」
律という名前に疑問を呈した。
「白咲律です」
「あぁ……白咲さん」
夏焼さんはし上を向き、軽く頷いた。
この人律の名前知らなかったのか?
なんでだ……
「律が前一人で図書館に來た時俺に言ってました」
「なにをですか?」
「貴方に名前を名乗ったことがないのに、白咲さんって名前を呼ばれたって」
……
空気が一気に変わった。
夏焼さんの引き攣った笑顔。明らかに芯をついたようなじだった。
「貴方達、名乗りましたよ」
「俺の名前は知らなかったのに?」
「白咲さんだけ名乗ってました」
苦しい言い訳、でも証拠はない。
「こんな大量に新聞のファイルを機に置いてなにをされているんですか?」
「俺、この寫真について調べています」
夏焼さんに持っていた寫真を顔の前に見せつけた。質問されたから答えただけなのに……。
夏焼さんの顔が一気に変わった。強張った顔だ。この人、なにか知ってる……絶対。
「なんのためにですか?」
「プライバシーなので言えません」
寫真を機の上に置き、俺は新聞を再び捲り始めた。俺の隣に夏焼さんは座り、小聲で俺に語り始めた。
「他人の貴方がこんなことを調べてなにになるの?白咲さんの友人だがなんだが知らないけどそれこそプライバシーの侵害だわ」
「貴方も赤の他人ですよね?調べられてなんでそんな焦っているんですか?まさか、寫真のこと知ってるんですか?」
俺は機の上にあった寫真を再度夏焼さんの近くに寄せた。俺には確信があった。この人を泳がせばなにか口走るかもしれないことを。
「知ってたらなに?」
「教えてくれたら辭めることも考えます」
「貴方の考えていることが全然わかんないわ。メリットがなさすぎる。白咲さんが一人だったらやりやすいのに……」
最後に行った獨り言のような小言。
俺は聞き逃さなかっだ。
「さっきから俺のこと赤の他人やメリットがないや、結構言いたいこと言ってますけど俺の名前教えてあげましょうか?」
「……」
イラっとした俺は今どんな目をしていたのだろう。こういう非なところはもしかするとあいつに似たのかもしれない。
誰もが恐れる目、存在。
たぶん変えることはできないだろう。
変えようとしてくれた人はいるけれど……。
「俺の名は一ノ瀬駿。この寫っている男の息子です」
- 連載中177 章
後は野となれご令嬢!〜悪役令嬢である妹が婚約破棄されたとばっちりを受けて我が家が沒落したので、わたしは森でサバイバルすることにしました。〜
「すまん、我が家は沒落することになった」 父の衝撃的ひと言から、突然始まるサバイバル。 伯爵家の長女ヴェロニカの人生は順風満帆そのもの。大好きな婚約者もいて將來の幸せも約束された完璧なご令嬢だ。ただ一つの欠點、おかしな妹がいることを除けば……。 妹は小さい頃から自分を前世でプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢であるとの妄想に囚われていた。まるで本気にしていなかった家族であるが、ある日妹の婚約破棄をきっかけに沒落の道を進み始める。 そのとばっちりでヴェロニカも兵士たちに追われることになり、屋敷を出て安全な場所まで逃げようとしたところで、山中で追っ手の兵士に襲われてしまった。あわや慘殺、となるところを偶然通りかかった脫走兵を名乗る男、ロスに助けられる。 追っ手から逃げる中、互いに惹かれあっていく二人だが、ロスにはヴェロニカを愛してはいけない秘密があった。 道中は敵だらけ、生き延びる道はたった一つ。 森の中でサバイバル! 食料は現地調達……! 襲いくる大自然と敵の兵士たちから逃れながらも生き延び続ける! 信じられるのは、銃と己の強い心だけ! ロスから生き抜く術を全て學びとったヴェロニカは最強のサバイバル令嬢となっていく。やがて陰謀に気がついたヴェロニカは、ゲームのシナリオをぶっ壊し運命に逆らい、計略を暴き、失われたもの全てを取り戻すことを決意した。 片手には獲物を、片手には銃を持ち、撃って撃って擊ちまくる白煙漂う物語。 ※この物語を書く前に短編を書きました。相互に若干のネタバレを含みます。またいただいた感想にもネタバレがあるので読まれる際はご注意ください。 ※続編を別作品として投稿しておりましたが、本作品に合流させました。內容としては同じものになります。
8 54 - 連載中55 章
身代わり婚約者は生真面目社長に甘く愛される
ごく普通のOL本條あやめ(26)は、縁談前に逃げ出した本家令嬢の代わりに、デザイン會社社長の香月悠馬(31)との見合いの席に出ることになってしまう。 このまま解散かと思っていたのに、まさかの「婚約しましょう」と言われてしまい…!? 自分を偽ったまま悠馬のそばにいるうちに、彼のことが好きになってしまうあやめ。 そんな矢先、隠していた傷を見られて…。 身代わり婚約者になってしまった平凡なOL×生真面目でちょっと抜けている社長のヒミツの戀愛。
8 59 - 連載中33 章
【完結】苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族戀愛~
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下著泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 當たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏 24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以來、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 戀愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を與えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以來、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 表紙畫像 湯弐様 pixiv ID3989101
8 107 - 連載中99 章
家庭訪問は戀のはじまり【完】
神山夕凪は、小學校教諭になって6年目。 1年生の擔任になった今年、そこには ADHD (発達障害)の瀬崎嘉人くんがいた。 トラブルの多い嘉人くん。 我が子の障害を受け入れられないお母さん。 応対するのはイケメンのイクメンパパ 瀬崎幸人ばかり。 発達障害児を育てるために奮闘する父。 悩む私を勵ましてくれるのは、 獨身・イケメンな學年主任。 教師と児童と保護者と上司。 「先生、ぼくのママになって。」 家庭訪問するたび、胸が苦しくなる… どうすればいいの? ・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・ |神山 夕凪(こうやま ゆうな) 27歳 教師 |瀬崎 嘉人(せざき よしと) 6歳 教え子 |瀬崎 幸人(せざき ゆきひと) 32歳 保護者 |木村 武(きむら たける) 36歳 學年主任 ・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・ 2020.8.25 連載開始
8 87 - 連載中5 章
王子様は悪徳令嬢を溺愛する!
「スミマセンお嬢さん」 ぶつかって來た彼は、そう言って笑った。 女遊びにイジメは見て見ぬ振り、こんな調子じゃ結婚したらなおさらでしょう。 アリエノールは國王に宣言した。 「たとえ、これから良家からの縁談が無くなったとしても、私はこの馬鹿王子との縁談を破棄させて頂きとうございます」 謎の留學生マリク。彼は一體何者なの!?
8 165 - 連載中67 章
奴ら(許嫁+幼馴染諸々)が我が家に引っ越してきたのだが…
春休みが終わり、高校生二年目が始まろうとするその日、父親が長期間海外で滯在する事になったことを聞かされた天坂 興。この日を境に許嫁、幼馴染諸々が引っ越して來て我が家がシェアハウス狀態に。 そして興は彼女たちの心を、自分の本心を知ることになる。果たして興はどんな答えを出すのか……。
8 153