名前を名乗った途端、夏焼さんはの力が抜けたように椅子の背もたれに重を乗せた。

「そう。どういう繋がりなの？貴方達」

「です」

「……。何故今こんなこと調べているの？」

「……俺達の好奇心……って言いたいんですが、この寫真に寫っている山下さんが律のお父さんを恨んでいるようでそれが気になっただけです」

夏焼さんは一つため息をついて

「そう……ねぇ、一つ聞かせて」

「なんですか？」

「白咲さん……律君だっけ？あの子はなんで生きているの？」

「え？」

「……なんで死んでないの？」

機の上で組んだ手の爪が皮に食い込むくらいキツく握りしめた手。顔が別人のような恐ろしい形相に変わった。

「今まで々犠牲にしてきたのに、なんであいつが生きているのよ……」

夏焼さんは立ち上がり、ブツブツと小言を言いながら俺の方を振り返った。

「本當に最初から最後まで迷な子だわ。今すぐ消えてしいくらい」

俺を見下ろす目にはなかった。まるで人形と話しているみたいだ。

そのまま、俺から離れていくと俺は夏焼さんの肩を持ち睨みつけた。

「俺は律に生きる希をもらいました。だから、俺は律を守るって決めたんです。変な恨みや気持ちだけで俺達の未來を潰さないでください。俺達は必死で今この時を生きているから」

それを言うと夏焼さんは俺の肩を揺さぶってきた。

「貴方、あいつと仲良いみたいだけど本當に邪魔なの。車椅子になってまで生きているってなに？本當に……あの時殺しておけばよかった」

この目……

あの時の目だ……

殺意に満ちた目

道中でじた目に似ている。

「律は絶対傷つけさせない！！」

「無理よ、時はもうき始めている。貴方がこのことを調べているなら尚更だわ」

夏焼さんはそれだけを言い、立ち去った。名前を呼んでも振り返ることはなかった。

あの人は何をじていたのだろうか。

そして俺はさらに強く思った。

やっぱりこの事故を、この山岳部でなにがあったのか真実を知る必要があることを。

俺は気持ちを落ち著かせ、もう一度寫真をよく見た。

場所も山も詳しくない俺はよく見てもよくわからなかった。また寫真が白黒だからわかりにくい。

「……ん？……」

男達の足元を見るとたくさんの花が咲いていた。結構変わった花だな。

もしかすると調べれば季節はわかるはずだ。

季節がわかれば、この寫真が撮られた月が絞られるかもしれない。

俺は図書館にあった花図鑑を開いた。

小學生以來だな、花を調べるなんて。

季節は山のじ、そして服裝を見るじで春か秋……。

「あ、あった」

寫真にがついてないから確信はないが図鑑の寫真に似ている。

ホトトギスだ、季節は秋に咲く花。

寫真の裏には“四人で最後に撮った寫真”と書かれていた。ということはこの寫真を撮った以降になにかがあったはずだ。

ホトトギスの最盛期が九月から十月ごろまでならそれ以降の新聞を見ればいい。

二十三年前の十一月からの新聞を置き、俺は探しつつけた。

そして見つけた。

「これは……」

俺はその新聞の見出しをコピーし、鞄にれ持ち帰った。