《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》俺達は探す、死んだ男の正 ⑤
「ただいま」
「おかえり」
ドアを開けると、夕ご飯のいい匂いがした。
家に誰かがいるというのは本當に安心する。
「変わりなかった?」
「変わり?」
安心しすぎてなにも考えずにとっさに出た言葉。
やばい。さっき夏焼さんに言われた言葉が頭から離れない。変わりないことぐらい見ればわかるのに、何か悪いことが起こってしまうかもしれないという不安に駆られてしまう。
「あー、うまそう!今日は鍋?」
さっき自分の言った言葉をかき消すように、テンションをワザと上げて鍋を覗きこんだ。
律に変な心配をかけないように……そして自分のために。
「手洗うわ」
「うん」
今はまだ外はそんなに寒くはないが、あと數ヶ月できっと寒くなるだろう。そんな時に食べたくなるのはやっぱり鍋だ。
鍋の中には野菜やが沢山っていて、食べ盛りの俺にとってありがたい。
毎日ご飯を食べているとこれだけ食材を揃えるのにお金がかかる。それなのになにも文句を言ってこない律にも謝している。
こんないい人なのに、なんであんな恨まれ方されなくちゃいけないんだ。
まさか……律にも裏の顔が……
「駿?」
「え?」
「疲れた?名前呼んでも返事ないから」
今は自分でいっぱいいっぱいだ。現に律を疑い初めている。疑うなんてどうかしている。きっと疲れているんだ、そう自分に言い聞かせた。
しかし、図書館であった出來事で頭がいっぱいになっている。律は夏焼さんを知らないが夏焼さんは律を知っていた。まずそこにも疑問が生まれる。
なんなんだ、このモヤモヤした気持ちは。
今すぐ確認したい。通學鞄の中に資料がっている。でもさすがに律の前で開くことができない。
どうすれば……
「なぁ、律。俺さ験生だから自分の部屋がしい……あ、いや。倉庫とかでもいいから勉強したくて。夜中に電気付けたら迷かかるかなぁて思って」
勉強って噓ついちゃったけど、一人になれる一番いい言い訳だと思った。部屋に籠れば、律に気を使わず々調べれるし。
「あー……二階にある弟の部屋使ったら?」
律は二階のほうを見て、指を差した。
二階……そういえば事故に遭ってから思い出すのが怖くて行っていないって言ってたな。
「二階には部屋があって、左からお父さんの書斎、俺と弟の部屋、両親の寢室になってるよ」
「へー……え?律の部屋にれるの?」
「なに?その目」
「……エロ本とかある?」
「ないわ」
俺のボケに素早く突っ込まれた。
「そういやさ、前にしずつ片付けてほしいって言ってたじゃん。今すぐはできないけどこれを機にしずつ片付けるよ。部屋借りていい?」
「もちろん」
「ありがとう」
部屋を借りれたのはいいが、本當はいい気がしない。俺は緒で事故を調べたいから部屋を借り、律は俺が勉強するために部屋を借りると思っている。罪悪で苦しい。
ここまできたら、とことんバレないように噓をつかなければならない。
そう思い俺は鞄を持って二階へ上がった。
- 連載中75 章
カノジョの好感度が上がってないのは明らかにおかしい
『好感度を上げすぎるとその人との関係がリセットされる。』 ある日、そんな無慈悲な呪いをかけられた彼は、戀人も友達も一切いない哀しい學園ライフを一人謳歌していた。どうせ消える関係に期待するなんて馬鹿らしい。そうのたまい、人と深く関わること自體を拒否してきた彼だったが、突然転校してきた少女や、様々な人々と接していく中で、彼は少しずつ変わっていく。 呪いと過去が交錯する中、彼は何を望み、何を失い、何を摑みとるのか。 ※カクヨムにも連載中です。
8 145 - 連載中51 章
引きこもり姫の戀愛事情~戀愛?そんなことより読書させてください!~
この世に生を受けて17年。戀愛、友情、挫折からの希望…そんなものは二次元の世界で結構。 私の読書の邪魔をしないでください。とか言ってたのに… 何故私に見合いが來るんだ。家事などしません。 ただ本に埋もれていたいのです。OK?……っておい!人の話聞けや! 私は読書がしたいんです。読書の邪魔をするならこの婚約すぐに取り消しますからね!! 本の引きこもり蟲・根尾凜音の壯絶なる戦いの火蓋が切られた。
8 186 - 連載中14 章
とある腐女子が乙女ゲームの當て馬役に転生してしまった話
前世は、大學生。恥ずかしながら、當時はオタクライフを送っておりまして、いわゆる男性同士の戀愛を愛好するタイプのオタクでありました。そんな私が転生してしまったのは、前世でプレイしていた魔法學校を舞臺とした「Magic Engage」の世界。攻略対象は、全部で5人。「紳士×腹黒」ハース・ルイス。「小悪魔×女たらし」ルーク・ウォーカー。「元気×さわやか」ミヤ・クラーク。「マイペース×ミステリアス」ユリウス・ホワイト。「孤高×クール」オスカー・アーロン。そんな彼らと戀に落ちる戀愛シミュレーションゲーム。前世でその腐女子屬性をフルに活用して邪な考えでプレイしていた天罰が當たったのか、私はというとヒロインではなく、ゲーム內でいういわゆる當て馬役に転生してしまったようで…。 とどのつまり、「とある腐女子が乙女ゲームの當て馬役に転生してしまった話」でございます。 この作品は「コミコ」にも掲載しています。
8 94 - 連載中101 章
元豚王子VS悪役令嬢
最悪な豚王子に転生したけど痩せて頑張る王子の一途な戀愛模様--- 俺は貧乏國ブッシュバウムの第一王子に転生していたんだけど體型が見事に豚で婚約者の悪役令嬢に捨てられそうなんだ…。 だから必死でダイエットに勵みます!! 見てろよ!俺は変わる!そして悪役令嬢クラウディアにギャフンのドキュンのバーンしてやる! 女神様!流行りの悪役令嬢攻略頑張ります!
8 117 - 連載中47 章
付き合ってから結婚するまで
少し前に間違って消してしまった「付き合ってから結婚するまで」シリーズを1から書き直してみました。 毎週土曜日更新。 主人公五十嵐優人と、幼なじみでヒロインの工藤陽菜が付き合い、結婚するまでのストーリーとなっております。 また、結婚してからのストーリーも「付き合って結婚した後」として、連載中です。
8 162 - 連載中80 章
家族に売られた令嬢は、化け物公爵の元で溺愛されて幸せです~第二の人生は辺境地でほのぼのスローライフを満喫するので、もう実家には戻りません~
「レーネが売れた! 化け物公爵が娶りたいと言ってきたんだ!」 家族に虐げられていたレーネは、祖母が殘した形見の薬草と共に、化け物と恐れられる獣人、マーベリック公爵の元に嫁ぐことを決意する。 決して不安がないわけではないが、狂気に満ちた笑顔で人の不幸を喜ぶ家族の方が化け物に思えて仕方なかった。 「早く出ていけ。目障りだ」 すでに自分の居場所がないと悟るレーネは、祖母とのある約束を守るため、化け物公爵の元を訪ねる。 しかし、黒い噂が流れる殘虐な公爵様の姿はなく――。 「嬢ちゃん。今は無理せずに休むべきだ」 「無理は良くない、奧方。筋肉が悲鳴を上げている」 屋敷で働く家臣の獣人たちに親切にされ、傷ついた心が癒されていく。 もしかしたら、本當の旦那さまは優しい人かもしれない。 會えない気持ちで思いが募り、妄想という名の戀心が芽生え始めるのだった。 「はぁ~。私の旦那さまはいったいどこに……」 一方その頃、レーネを売り払った家族の元には、なぜか次々に災難が押し寄せてくることになり……? ※この作品は他サイトにも掲載しています。 【無斷転載禁止】小説投稿サイトやYouTubeに載せないでください。
8 153