《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》俺達は探す、死んだ男の正

「ただいま」

「おかえり」

ドアを開けると、夕ご飯のいい匂いがした。

家に誰かがいるというのは本當に安心する。

「変わりなかった?」

「変わり?」

安心しすぎてなにも考えずにとっさに出た言葉。

やばい。さっき夏焼さんに言われた言葉が頭から離れない。変わりないことぐらい見ればわかるのに、何か悪いことが起こってしまうかもしれないという不安に駆られてしまう。

「あー、うまそう!今日は鍋?」

さっき自分の言った言葉をかき消すように、テンションをワザと上げて鍋を覗きこんだ。

律に変な心配をかけないように……そして自分のために。

「手洗うわ」

「うん」

今はまだ外はそんなに寒くはないが、あと數ヶ月できっと寒くなるだろう。そんな時に食べたくなるのはやっぱり鍋だ。

鍋の中には野菜やが沢山っていて、食べ盛りの俺にとってありがたい。

毎日ご飯を食べているとこれだけ食材を揃えるのにお金がかかる。それなのになにも文句を言ってこない律にも謝している。

こんないい人なのに、なんであんな恨まれ方されなくちゃいけないんだ。

まさか……律にも裏の顔が……

「駿?」

「え?」

「疲れた?名前呼んでも返事ないから」

今は自分でいっぱいいっぱいだ。現に律を疑い初めている。疑うなんてどうかしている。きっと疲れているんだ、そう自分に言い聞かせた。

しかし、図書館であった出來事で頭がいっぱいになっている。律は夏焼さんを知らないが夏焼さんは律を知っていた。まずそこにも疑問が生まれる。

なんなんだ、このモヤモヤした気持ちは。

今すぐ確認したい。通學鞄の中に資料がっている。でもさすがに律の前で開くことができない。

どうすれば……

「なぁ、律。俺さ験生だから自分の部屋がしい……あ、いや。倉庫とかでもいいから勉強したくて。夜中に電気付けたら迷かかるかなぁて思って」

勉強って噓ついちゃったけど、一人になれる一番いい言い訳だと思った。部屋に籠れば、律に気を使わず々調べれるし。

「あー……二階にある弟の部屋使ったら?」

律は二階のほうを見て、指を差した。

二階……そういえば事故に遭ってから思い出すのが怖くて行っていないって言ってたな。

「二階には部屋があって、左からお父さんの書斎、俺と弟の部屋、両親の寢室になってるよ」

「へー……え?律の部屋にれるの?」

「なに?その目」

「……エロ本とかある?」

「ないわ」

俺のボケに素早く突っ込まれた。

「そういやさ、前にしずつ片付けてほしいって言ってたじゃん。今すぐはできないけどこれを機にしずつ片付けるよ。部屋借りていい?」

「もちろん」

「ありがとう」

部屋を借りれたのはいいが、本當はいい気がしない。俺は緒で事故を調べたいから部屋を借り、律は俺が勉強するために部屋を借りると思っている。罪悪で苦しい。

ここまできたら、とことんバレないように噓をつかなければならない。

そう思い俺は鞄を持って二階へ上がった。

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