《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》失いそうな俺達の友

とりあえず、実家の中にさえってなければ今すぐにでも助けることができる。

そう思いながら、走って向かった。

立ち止まってGPSを見ても、大の位置しかわからないし相手がけば探すのは難しい。

焦りが出てきた。その焦りからか急に苛立ちが募ってきた。

どれだけ焦っても考えても前には進めない。とりあえず、探すしかないか……。

実家前にたどり著いたが、周りを見ると律らしき人はいない。

「くそっ」

外は暑くないのに、妙な汗が出てくる。服の首元で汗を拭き、スマホを見ようとした時

「あれ?駿じゃん」

聞いた事がある聲……後ろを振り向くと、不思議そうな顔で律が俺を見ていた。

「なんでここにいるの?」

「律こそなんでここにいるの?」

俺は律がいた安心と本當に実家近くでいた焦燥が拭えず、律の近くに行き目線を合わせ両肩を持った。

「なぁ、勝手に俺の実家に行くなよ!律も事故のこと調べてるなら俺に言ってよ。勝手に危ないこと行かないで」

「え?」

律の顔は、俺が何故そんなことを言っているのかわからないという表をしていた。

「俺、山下さんの働いていたビルに行ってたんだ。山下さんに渡したアクセサリー置いたままだったから」

「え?」

「何個かは警察に持って行かれたんだけど數個余ってたから取りに來ますか?て言われて。駿はしんどそうだし、一人でも大丈夫かなぁて思って來たんだけど……なんか心配させてごめんね」

律の太を見ると、明の袋に數個アクセサリーがっていた。

俺は下を向いて大きなため息をついた。

「なんだー俺の勘違いか、よかった」

「GPS見たの?」

「そうそう、よかった」

俺はに手を當て、立ち上がった。

「ごめんな、なんか変な心配して」

「……駿は俺達の事故を調べてるの?」

「え?」

予想外の言葉に俺は驚いた。

律の顔を見ると俺に向けられたその視線は疑いの眼差しだった。

「さっき言ったよね。律も事故のこと調べてるのかって。“も”ってことは駿も調べてるってことだよね」

「いや……」

「答えて」

律が今までそんな目をした事がなかったから、怖くなった。

律と目線を合わせる事が出來ず、目が泳いだ。

「調べてるわけないじゃん。焦ってたから……そう言ってしまったかもしれない」

さっきは暑くて出てきた汗が今度は噓をつくことで心拍數が上がり出てくる汗。

バレないように深く息をして自分を落ち著かせることにいっぱいいっぱいだった。

「本當?信じていいの?」

この噓は本當についていい噓なんだろうか。

今言えば許してもらえるかもしれない。でも、俺にはまだ本當のことを言う自信がなかった。

事故を調べているとは言え、仮説ばっかりで確証はない。しかもその仮説は明らかに律のことを傷つけることばかりだ。

仮説が定説に変わるまで、律に言いたくなかった。

「駿……」

「……信じて。調べてないから。前の怪我のことがあるから心配になっただけ……」

早くこの話から話題を変えたい。

「そか、ごめんね。一緒に帰ろ」

謝らないで、律。

俺が噓をついて曖昧な返事をしたから悪いんだ。

もう戻れない噓なら、それを隠し通すしかないと思った。

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