《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》失いそうな俺達の友

「は?」

唐突な言葉に俺は言葉を失った。

なに言ってんだ、この人。

「貴方一番あいつに近いんだよね。車椅子ではすぐ逃げれないし、包丁でひと突きしてくれれば」

俺に近づいてきて腕を摑まれた。腕には爪が食い込んでくる。

やばい、目がイってる。俺は怖くなり後退りをしたが逃げれない。

「あぁ、そうね。さすがに友達ならすぐ出來ないわね。私が刺すから貴方はお手伝いしてくれればいいわ」

友達だろうが、赤の他人だろうがすぐに包丁で刺すことなんて出來ないだろう。普通の人ならわかるはずだ。

「なぁ……お前が恨んでるのは律のお父さんじゃないのか?」

「あいつも恨んでるわ。でも一番この世でいらないのは白咲律よ!!元はあいつが生きていたから……」

そう言うと我に返ったかのように、夏焼さんは俺の摑んでいた腕を離した。そして頭を抱え首を橫に振った。

そしてニコッ笑を浮かべ、俺を見た。

「まぁ考えておいて。早かれ遅かれやつらには天罰がくだるわ」

路地裏で響く、夏焼さんの笑い聲。その不適な笑みが俺の心を抉り取った。俺は怯えたまま走ってその場を逃げた。

走っても走っても夏焼さんに言われた言葉や表が頭から離れなかった。

確実な恨み、それは律に向けられている。

俺はてっきり律のお父さんが全ての原因だと思っていた。しかし、律やお父さんといった個人的なことではなく白咲家自が恨まれている。

律、俺はなにを信じたらいい?……

息が上がり俺は立ち止まった。

誰かに聞いてほしい……徐ろにスマホを取り出し電話をかけた。

『もしもし』

「もしもし、兄さん?」

俺のたった一人の家族。やっぱり頼れる人は兄さんしかいなかった。

『どうした?聲が暗いぞ』

「家に行っていい?」

『……ダメだって言ってもくるだろ?』

この気持ち、誰かに吐き出さないと俺がおかしくなりそうだ。

「どうした、その顔……」

兄さんは玄関を開けてすぐにその言葉を発した。俺はどんな顔をしていたのだろうか。

兄さんは俺を頭から足まで見て苦笑いをしていた。

俺は中にり、座ると思いが発したように口から聲が出てきた。

機の上に暖かいカフェオレ、クッキーが並べられていたがそれには目もくれず言葉だけが出てくる。きちんと話せているだろうか、伝わっているだろうか。そんなことは全然考えてなかった。

とりあえず話したい、楽になりたい、その一心で。ある程度話終わると俺は兄さんを見た。

俺は一どこまで話したっけ……それぐらい無我夢中だった。

「落ち著け。話はわかった」

俺は息が上がり呼吸が荒いが兄さんは當たり前のように落ち著いている。

「話を聞いている限りでお前は白咲さんを信じてないように思う」

「……」

「信じていて今まで一緒にいたんじゃないのか?」

兄さんの目。こちらを鋭く見つめている。まるで俺の心を読んでいるかのようだ。

「でも……」

「でも、なんだ?そんなに不安で疑うならお前が白咲さんから離れて獨立したらどうだ?」

「え?」

「一緒にいるな、離れろってことだ」

兄さんから返ってきた意外なアドバイス。

俺は律が一番の理解者で一番一緒にいたいと思っていた。

……一番の理解者?

いや、今は理解しようとすればするほど理解できなくなり疑いの心が大きくなっている。

でも、離れる?

俺が?

「いや……それはできない」

「何故?」

「約束したから、一緒にいるって」

「だったら、その疑いの心は消すべきだな。一回白咲さん自に聞いてみたらどうなんだ?」

それが出來ないから一人で調べてるんだろ……と兄さんに言いたい。

「俺があげた寫真と記事見せてみろ」

兄さんが差しべ手に俺は鞄から記事と寫真を取り出し手渡した。

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