《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》の繋がらない俺達 ④

俺が話終わると一息付いた。あれだけのことがありながら、冷靜に話ができたほうだと思う。

「俺はあの後自力で車椅子に戻ったんだ。最初なにを言われてるかわからなかったけど、さっき駿が言ってたことを思い出して。やっぱりきちんと聞いてもらいたいって思ったんだ。自分が恨まれているって思ったらいい気はしないし、もし謝れるならその人に謝りたいし……。だから……」

ふと駿を見るとなにも返事もなく、微だにもしない。

ただ、椅子に深く腰をかけ顔を下に向いているせいか前髪で表が見えなかった。

「駿……?」

「俺が親父を殺してやるよ」

「え?」

駿は雑に立ち上がり、鞄を持って家を出ようとした。

「ま……待って!」

「律を二回も酷い目に合わせてマジ許さねぇ」

「違うって!確かに怖かったけど、駿に怒ってしくて言ったわけじゃないから!!」

「でも、あいつか生きてる限り律がいつどこかでまた危ない目に遭うかもしれないだろ!?」

またあの表のない目をしている。決してその目には誰も映らないそんな非の目。

こうなると誰にも止められなくなる。

「駿行くなって!!別に駿が犯罪者になる必要なんかないじゃん!!」

駿の腰を抱きしめたが、それを振り払い駿はドアノブに手をかけた。

「駿、行くなって!!」

その時……

駿は足をピタっと止め俺の方を向いた。

「兄さん……」

「え……?」

振り向いた駿の頬に涙が伝っていた。

……駿は急に思い出したと言っていた。

駿のお兄さんが家を出ていった時、必死に聲あげて止めても決して歩みを止めず消えていったことを。

俺がんだ時に自分と重なってその寂しさ、悲しさが溢れ出したみたいだ。

駿にあの非な目はなく、いつもの優しい目に戻っていた。俺は駿の腕を引っ張り一度椅子に座らせた。

「落ちついた?」

力盡きたかのように駿は椅子に座った。

「うん……でも、俺やっぱりあいつを殺したい……。自分も律も人生を滅茶苦茶にしたあいつが憎い……」

俺は駿の手を挾むように握った。手は冷え切っていて、心の中を映し出しているようだった。

「駿が犯罪者になったらそれこそ俺達の人生はめちゃくちゃになるよ。まだ怪我だけですんでよかったじゃん。生きてるってすごいことなんだよ。俺達、生きていなかったらこうやって出會うこともなかったんだから」

「俺が手を出しそうになったら止めてくれる?」

「もちろん」

「律は俺より長生きしてくれる?」

「うん」

「一人じゃ嫌だから一緒にいてくれる?」

「うん、もう言わなくても大丈夫だよ」

泣くのを我慢して、を噛み締める駿に俺は頭を優しくでた。やっぱりまだ子供だ。

「駿、俺達もう一度調べよう。山岳のことも通事故のことも。俺なにがあっても大丈夫だから。今度こそ真実が見つかるまで出來る限りのことをしよう」

駿は軽く頷き、俺を抱きしめた。

読んでいただきありがとうございます。

ややこしくてすみません。コンテストに出すためにキリのいいところまで書きました。

まだ続きますが16時、21時更新します。

よろしくお願いします

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