《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》俺達は一からスタートする ②

橫で電話をかけている駿の橫顔を見た。

今更なら男前だなと思う。俺だったらこんな顔になりたいなって思うくらい。まぁでも黒髪になってからダークさは増したけど。

ずーと見すぎて、駿に気づかれた。口パクで“なに?”と聞かれたので首を橫に振った。

「あ、もしもし。あのさ……」

駿は今まであったことを一ノ瀬先生に説明をしていた。すると俺の方を見て、また口パクで“メモは?”と聞かれたので下のリビングを指差した。

駿は頷き、電話をしながら降りていく。

本當は俺が取りに行かないといけないのになぁと思いながら眺めていた。

……意外に手すりを持ちながら降りることが出來るかも……

一人になると止める人がいなくなるのでやってみたくなる。

階段の手すりを両手で摑み腕に力をれ、座ったまま足をばしおだけで一段降りてみた。

ゴンっと鈍い音がおに響いた。

「いって……」

降りる事はできた。だが、足に全く力がらないため、おが直に當たってしまう。一段くらいなら大丈夫だが、これが何段となればおが赤く腫れそうだ。

今度は膝裏に手をれ、両膝を曲げてみた。

手すりを抱え込むように腕に力をれた。するとおし浮いた。

「あ!」

嬉しさのあまり後ろを振り返ると、手の力が抜け、おった。

やばい……落ちる……!!

本當にやばい時って目の前がスローモーションになるって言うけど、あれは本當だ。俺の目の前がゆっくりいていった。

「律!?」

駿のび聲が聞こえると同時に、階段の駆け上がる音が聞こえて俺は必死に目を瞑った。

が宙に浮いた。ドタドタドタと落ちる衝撃があったが、俺は駿に抱きしめられ守られた狀態で落ちたみたいだ。

ゆっくり目を開けると、俺は駿の元に頭を乗せていた。上半起こすと、駿が俺の下敷きになっていることに気づいた。

「駿!駿!大丈夫!?」

を揺さぶるが全く反応がない。

そりゃ、あんな高さのある階段から俺を抱えて落ちたんだ。頭の一つや二つ打っててもおかしくはない。

「救急車……」

駿の近くに落ちていたスマホを拾い、電話をかけようとすると急に駿がむくっと起きた。

「あーよかったぁ」

ほっとで下ろすといきなり俺の両頬を勢いよく引っ張ってきた。

「律を抱えて階段から落ちたから、すげぇあちこち痛いわ!!目離したらすぐ変なことし出すし!!」

「いたぁー!!」

両頬が千切れそうなくらい引っ張られて、離してくれた時は頬がジンジンしていた。

「ひ……ひどい」

引っ張られた両頬を俺は優しくでた。

「兄さんが昔、家の鍵が開けれなくて頼んだ地元の鍵屋さんがあるんだって。ほら、電話番號。俺かけて頼んでみるわ」

メモに書いてあった鍵屋の電話番號。駿の地元では有名みたいで一ノ瀬家とは舊知の仲らしい。

さすが、急な電話でも対応が早い。小一時間で來てくれるみたいだ。

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