《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》俺達の知らない父親の素顔 ②

「鍵田さんは夏焼さんの子供はお腹の中で死んだって言ってたけど赤ちゃんはちゃんと産まれていたんだね」

「なんでそんな噓をついたんだ。それに俺ここが気になって……」

駿は日記のある部分に指を差した。“していた”この部分。

「“していた”てことは過去形になるだろ?俺、ドラマで亡くなる前の人が“これからもしている”とか“し続ける”とか現在進行形で言ってること多いイメージだけどしていたって言葉。今後はせないって言ってるのと同じだぜ?」

もうすぐ死んでしまう、その瀬戸際での言葉選んで相手に伝えるのは難しいと思う。切羽詰まって言い間違えたかもしれない、もしくはお父さんの聞き間違えという可能もある。ここはそんなに深く考えなくてもいいかもしれない。

さらに日記をめくるとそこから何故か數十ページほど破られていて無くなっていた。

他のページをめくって読んでみたが、日常的な日々が綴られていただけだった。

「特にこれと言ってなさそうだな」

最後のページをめくると、パラっと寫真が一枚落ちた。

そこには赤ちゃんを抱く図書館司書、そしてお父さんが並んで寫っていた。

「夏焼さんが亡くなった後に撮ったんだろうな。この赤ちゃんどこに行ったんだろう」

俺は駿を見ると、駿も俺をみていた。

たぶん考えてることは一緒だ。

もう一度あの図書館司書に會いに行って聞くしかない。

駿は言った。

「律はあの人に恨まれているから、なにかあったら対応出來るように図書館で話をしよう」

と。図書館で話し合えば周りの目もあってあの人も発狂したりしないだろう。そう思っていた。

駿がなんの迷いもなく付に一直線に向かった。図書館司書は駿を見るなり、睨みつけていたが俺の姿が見えると表が一変驚いた顔をしていた。

「お時間あります?」

「ないわ、仕事中」

「時間作ってくれませんか」

駿はポケットからあの寫真をチラッと見せた。

初めは興味なさそうに寫真を見ていたが、その寫真を見るなり駿から奪い取り、飛び出しそうな目をして寫真に食らいついていた。

「この寫真どこで?」

「……時間作ってもらえませんか?」

「……」

俺達は新聞コーナーに移して、改めて寫真を図書館司書に見せた。

「どこで見つけたの?」

「律のお父さんが持ってました。日記帳に挾んで大事に保管していました」

「當たり前よ、大事に決まってるじゃない」

赤ちゃんの寫った寫真を見て険しかった顔が噓のように綻んだようにじた。

「この赤ちゃんどこにいるんですか?」

「知らないわ」

「知らない?貴方の子供ですよね?」

「だって捨てたから、この赤ちゃん」

俺達はその言葉に驚愕し、言葉が出て來なかった。

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