《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》俺達の知らない父親の素顔 ③

「捨てた?自分の子供でしょ?」

「あら、白咲さん知らない?」

今思ったが、駿と話をしているはずなのにずっと俺の方を見ている。しかも汚らわしいものを見るような目をしていた。

「この赤ちゃん、私と貴方のお父さんの子供なんだけど。聞いてなかった?」

……え?

聞いてるも何もそんな赤ちゃんの存在なんて知らなかった。それよりもお父さんが夏焼さんとの間に赤ちゃんがいるなんてことも初耳だ。

「一回だけの関係だったのにできちゃったし。とりあえず、旦那にはバレなかったから産んだけど旦那は死んじゃったし。まぁ唯一お金を沢山殘してくれたからよかったけど」

言い方が他人が亡くなったような言い方でが微塵もないように聞こえる。

「旦那がさ死んでから聞いたけど、産んだ赤ちゃんと一緒にお金を分けてしいって言ってたみたいで。冗談じゃないわって思ったわ。だから、貴方のお父さんにこの赤ちゃん殺しといてって頼んだのに……

なんで今私の目の前でこうやって生きているんだろうね?」

俺を見て失笑した。

駿は何故、図書館司書が俺を見て笑ったのか。俺にはまだ理解は出來なかったがもしかすると駿は理解できていたのかもしれない。

「殺すにしても赤ちゃんが可哀想だから、最後に名前をつけたいから名前を送るねってメールが來たわ。“律、白咲律”てつけたって。どうでもよかったんだけど」

図書館司書は思い出したかのように、はぁと大きなため息をついた。髪を掻き上げ舌打ちをした。

「あいつちゃんと始末しといたよって言ってたのに……。そしたら通事故の前日にあんたのお母さんが來て不倫の謝料を請求してきたの!バカなの?あれだけ殺せって言っといたのに、あんたが生きてるからこんなことになったのよ!!」

ここが図書館なのを忘れて、俺達に向けて罵聲をかけてきた。

周りの人が俺達を異様な目で見ている。

「駿、帰りたい」

「え?」

「ここにいたくない……帰りたい」

俺は涙を堪えながら、図書館司書に近づいて行った。

俺のことを見下ろす冷徹な視線。

「貴方の話が本當だったとしても、俺は今後一斎貴方を本當のお母さんだと思いたくありません。話して頂きありがとうございました」

本當にこの人が、産みの母親だったとしても俺はお母さんだと思うことができなかった。

俺は深く一禮をすると、図書館司書はその場に座り込み泣いていた。

「あんたを一度も私の子供だと思ったことはない。本當、今でも死んでしいと思うわ」

そんな小言を俺に聞こえるように発していた。

「ごめん、無理かもしれない」

家に著くと今まで溜まっていた涙が溢れ出て來た。

を作れるようになってから何回泣いただろうか。

「律……」

「俺、お母さんと春とが繋がってなかったみたい。家族だと思ってたのに……っ」

言いたいことが涙と嗚咽で言えない。

駿が目線を合わせようとしゃがんだと同時に俺は駿の首に手を回し抱きしめた。

「辛い……つらいよぉ……苦しいよ……」

「ごめん……もう辭めよ……俺も辛い」

駿はそれ以上なにも言わずに抱きしめてくれ、頭をでてくれた。駿の肩が震えていた。あの時駿も一緒に泣いてくれたのだろうか。

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