《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》本當は弱い俺達 ①

帰ってきて俺達は機の上に今までの資料を広げていた。

駿は機の上にうつ伏せになり、頭だけし上げて唸っていた。

そしていきなり言うんだな、この人。

「律がだったらいいのに」

ほら、意味がわからないことを言った。

「その、俺がだったら駿にどんなメリットがあるわけ?」

顎に手を當て、天井を見ながら考えている。なにを考えているか想像するだけで恐いが。

「あ!本當に結婚できたら本當の家族になれるじゃん」

開いた口が塞がらない。でも言ってることは間違ってはない。

「律のお父さん、どんな気持ちだったんだろう」

「え?」

「律のお母さんが好きで結婚したのに違う人と関係を持つってどんなじなんだろうって思って」

そんなこと言われてもわかるはずがない。俺の両親は本當に仲がよかった。でも実は俺達の知らないところで仲が悪かったのかなって思ってしまう。でもそれって夫婦に限らず人だってそうなる可能はある。

夫婦と人寢違いは、紙切れ一枚で契約してるかしてないかだけ。

「わかんない、結婚してないし不倫も浮気もしたことない」

「……俺はさ、お父さん、お母さんっていう固定概念が全くなくて家でいろんな男やが出りしてたから。正直、律のお父さんが他の人と関係持ったって言われた時あんまりピンと來なかったんだよね。でもそれって正常じゃないんでしょ?」

「普通はショックだと思うよ」

普通ってなんだろうと思うが、でも駿がそう思うのは仕方のないことかもしれない。壊れた家庭環境で育った駿に正常な答えを求めるのはなかなか難しい。

「お父さんよりもお母さんはどんな気持ちだったんだろう……。いつから知ってたんだろう……って思う」

「図書館司書が言ったこと覚えてる?“あの通事故の前日に不倫の謝料請求しに來た”って。てことは律のお母さんは通事故のし前に不倫を知ったってことじゃない?」

「だから?……はっきり言ってよ」

駿は俺に遠回しでなにか言いたそうにしている。

「いや……だから通事故に遭ったのかなぁて。喧嘩して」

「やめて、だったとしても三人も命が失われてるんだよ。それにもし不倫関係で通事故が起こったのなら俺達は関係ないじゃん。たまたま起こったことなんだし」

「本當に?本當に通事故はたまたま起こったの?ここまできたらもしものことは考えられない?」

駿の目が疑いの目に変わっているのをじた。まさか、通事故は偶然起こったんじゃなくて、必然的に起こったってことか?

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