《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》本當は弱い俺達 ⑤

「えっと……」

俺の方をチラッと見て、顎をり出した。

「一ノ瀬翔の弟で一ノ瀬駿です」

「へー……」

「俺の友達です」

「なるほど。用件はなにかな?」

漫畫に出てきそうなレザーチェアに座り、手を組んだ。ちょっと態度でかいな。

「俺のお父さんが起こした事故について聞きたくて」

「今頃?」

「……今だからこそ聞きたいんです。前は々あって整理できなかったから」

佐藤さんはし頷き、視線を右側に向けた。

「佐藤さんは被害者の家族に會いましたか?」

「もちろん」

「あれだけの大きな事故を起こして案外あっさりを引いたみたいですけど、何故ですか?」

「家族の意向だからね、僕からは詳しく言えないよ」

なんだろうか?ハキハキ話してる割に歯切れの悪い返事。

「被害者の家族に會うことは出來ますか?」

「え?いや……まぁ。でももしかすると被害者の家族の方も思い出したくないかもしれないし」

「それは、佐藤さんの想像ですよね?」

「君はなんなんだ?さっきから……」

俺のツッコミにしイラつきを見せてきた。組んでいた手に力がっている。

「被害者は南純一さん。年齢は82歳。事故當時はハンドルの上に頭を乗せた狀態で見つかり脳があったと新聞に書いてありました」

「それで?」

「誰でもおかしいって思いますよ。普通、起きた狀態で後ろから衝突されたら、その衝撃でが前に押し出されますよ。しかも炎上するということは車のスピードは出ていたということはわかりますよね。起きた狀態であったとしたら脳よりまず頸椎捻挫もしくは外傷頚部癥候群があるはずだと思います」

何故俺がそんなことを知ってるかって?俺は一度あいつに勢いよく背中を蹴られて、首が鞭打ち狀態になったことがある。その時に主治醫が説明してくれたのでよく覚えていた。

人の力でそんなことになるんだ。車の力ならもっと力が加わるはずだ。

「佐藤さんは弁護士だから俺よりもっと賢いでしょ?もしかするとこのことを知ってた……とか?」

「……君はどう思うんだ」

「俺は、最初から南さんは車のハンドルの上でうつ伏せの狀態で寢ていたと思います。そしてなんらかの理由で律のお父さんが衝突した……と。その衝撃で頭がハンドルに當たり脳が起こったのではないかと」

想像で言った割に、辻褄は合ってるようにじた。佐藤さんは大きなため息をついた。

「君の想像に拍手を送りたいね。でもこの事故は被害者の家族が深く追求してこなかったから捜査が終了している。この事件は終わったから真実はわからない」

「佐藤さん、被害者の家族も苦しんでる。でも加害者の家族も苦しんでいるんだ。本當のことを知りたいって思うのは當たり前のことだと思います」

「あの……」

俺達が言い合いをしてる橫で律が口を開いた。

「俺、被害者の人に謝りたくて。だから教えてもらえると嬉しいです。會いたくないなら會いたくないで仕方ないですし、だから一度電話してもらえませんか?」

「ダメだ」

「何故ですか?」

「……君がよく知ってる人だからだ」

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